アテネ五輪競泳代表・森隆弘さん 競泳指導しながら東銀座でエステサロン経営も
【あの人は今こうしている】
【写真】バレーボールとビーチバレーで五輪4度出場 高橋有紀子さんは横浜で寿司屋の女将になっていた
森隆弘さん
(アテネ五輪競泳日本代表/46歳)
アジア大会が19日に、愛知・名古屋で開幕する。日本での開催は32年ぶり。競泳では、男子個人メドレーの松下知之選手らに注目だ。かつてアジア大会で連続金メダル、04年アテネ五輪でアジア人初の6位入賞を果たした森隆弘さんは、今どうしているのか。
◇ ◇ ◇
「アジア大会は中国選手とのメダル争いになるでしょうね。中国や韓国の選手は、国内でのアジア大会の評価が高く、照準を合わせてくるから手ごわいですよ」
東京メトロ京橋駅直結の複合施設「京橋エドグラン」で会った森さん、まずはこう言った。引退から18年にもなるが、今も引き締まった体つきだ。
「余分な肉がたくさんついていたら、水泳指導のとき『本当に速く泳げるの?』と疑われちゃいますから、ジムや自宅で筋トレをしています(笑)。今日はこれから、この近くの学校のプールを借りて水泳指導。この取材の前には、茅ケ崎で個人指導をしてきました。多い日は7、8時間、水に入っていることもあります」
フリーランスの指導者として活躍中だという。
「どこかの所属になると、他からのオファーを受けられない。ボクは基本的に依頼を断るのは好きじゃないし、自由に活動したい。それで引退2年後に独立しました。僕のサイトや日本テレビさんが運営するトップアスリートによるコーチングサービス“ドリームコーチング”、メガロスなどのスポーツクラブを通して依頼をいただいています。もっとも、独立翌年からエステサロンの経営も手がけ、水泳に専念してまだ3年ですが」
競泳のトップアスリートからエステサロンの経営者に転身とは珍しい。
「水泳指導をしながら、ストレッチなどの体全体のケアの指導も求められるようになり、ちょうどアロマエステをやりたがっていた友人がいたので、一緒に東銀座に店をオープンしました。ところが、店に女性雑誌の覆面記者が来て“3つ星サロン”と取り上げられ、一気にエステ希望の女性客が増え、ボクがストレッチを提供するスペースがなくなってしまった(笑)。それで、ボクは店についてはマネジメントに集中していました。ボク、意外と得意なんです」
■競泳と経営は似ている
多いときには従業員8人を雇っていた。
「目標を立て、従業員をその目標に向かってひとつにまとめ、目標をクリアしたらハワイやバリ島にみんなで行ったりしていました。競泳と経営は似ているところがあると思います」
経営は順調だったが、売却しちゃったそうだ。
「友人が『買いたい』というので、もう12年やったし、いいかなと。結構な金額で売れた? いや、そんなことはないです(笑)。もう事業はやらないかな。今はマレーシアなど海外でも水泳指導を始めたり、AIを使って水泳に関する新しいことを始めようと試行錯誤したりしています」
チャレンジ精神旺盛だ。
「スポーツ選手は五輪で活躍しても、引退し一般社会に出ると、結果を出せなかった選手のほうが活躍していたりする。負けないよう、もっとできることがあるんじゃないかと探し続けています。ボクは現役時代から、休日などには経営者らの話を聞き、面白いなと興味をもっていました。そのときは引退後のためにと考えていたわけではないですけどね。休日も水泳の話しかしないんじゃ、面白くないから(笑)」
仕事熱心だが、プライベートはどう?
「結婚し1人息子に恵まれましたが、今は独身。話が合って高め合える女性と出会えたらいいですね」
都内のマンションで1人暮らしだ。
(取材・文=中野裕子)
▽森隆弘(もり・たかひろ) 1980年3月2日、大分県生まれ。生後4カ月で水泳を始め、鈴木大地や岩崎恭子の活躍に刺激を受けて五輪を目指した。2004年、アテネ五輪に出場し、200メートル個人メドレーでアジア人初の6位入賞。08年引退。10年独立。
