「『エロくない』と思われるのが一番怖い」MINAMOが引退を決めたワケ…「セクシー女優が恥ずかしい仕事だとは一切思っていません」

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2021年のデビューから5年。MINAMOが、2026年末をもってセクシー女優を引退する。デビュー以来、作品の出演にとどまらず、文筆業やYouTube、そして初の小説『母の泥舟』まで、活動の幅を広げてきた。その根底にあったのは、「セクシー女優だからできないこと」をなくしたいという思いだったという。

【画像】「10年続けるつもりだった」MINAMOが5年で引退を決めた本音

 

数々の目標を実現した末に選んだ、5年という節目での引退。しかし、その決断には「やり切った」という言葉だけでは語りきれない、自身の“エロ”に対する葛藤もあった。なぜ、「エロい女」として認識されているうちに辞めることを選んだのか。5年間の活動を振り返りながら、引退を決めるまでの胸中を聞いた。〈前後編の後編〉

「エロくない」って思われるのが一番怖い

──まず、セクシー女優を引退しようと思ったきっかけは何だったんですか。

MINAMO(以下同) 1年ぐらい前ですかね。ちょうど小説を書き始めるころに、次で5年目を迎えることに気づいたんですよ。「5年目ってキリよくない?」って(笑)。業界でキリがいいとされるのって、3年、5年、10年なんですよ。節目としてちょうどいいかなって思って。

今までの自分の活動を振り返ってみると、結構いろんなことをやってきました。「セクシー女優だからできないこと」をなくそう、そこに対して戦おうと思って活動してきたんです。

次第に目標もいろいろと叶って、「もうこれ以上、ここで戦わなくてもいいかも」というか。やり切ったし、次の挑戦もしたいなって。それで引退を決めました。

──具体的には、どんな目標があったんですか?

小説を出すこともそうだし、コラムをやること、自分の名前が入った番組を持つこと。あとは「この媒体に取材されたい」とか、そういう細かい目標もありました(笑)。

大きいものから細かいものまでいろいろあって、本当に全部叶ってしまったというか、叶えさせてもらいました。

──引退コメントにあった「やり切った」ということ以外にも理由が?

なんか、「やり切った」って言わなきゃ、みたいなところはあると思ってて(笑)。

「やり切った」っていう理由が一番きれいだよね、ということで、「やり切りました」っていうのを前面に出してるんです。ただ、理由はいくつかあって、一つは自分のエロに限界を感じたことですかね。

──「限界」ですか。

今って、同人AVとかも出てきたりして、「エロの形」が大きく変わりつつあると思うんですよ。

私には、単体女優として人気を保ち続けるセンスはあるかもしれないけど、今の時代にセクシー女優として「抜いてもらうセンス」みたいなものは、足りないのかもしれないと思って……。

それでもテクニックを磨いたり、意識をそっちに持っていったりして、なんとか時代の波に乗れるように頑張ってきたんですけど、「もうそこまで頑張らなくてもいいかも」と思ったっていうのは、正直ありますね。

──AVに求められる「エロ」も、時代によって変わっていると。

本当にそう思います。エロの流行り廃りも変わるし、どういう女優さんが売れるのかっていうトレンドも変わる。

私、もともとはこの仕事を10年続けるつもりだったんですよ。でも、あと5年やるってなったときに、その変化にうまく乗りながら、さらに他の仕事でも頑張るっていうのを考えると、「ちょっときついかもな」って。

やっぱり私、「エロくない」って思われるのが一番怖いんですよ。だから、「エロい女」として認識してもらってるうちに辞めようと決断しました。惜しまれながら引退する方が、私のキャラクター的にも合ってるかなと思って(笑)。

「私には結構、居心地のいい世界だった」

──引退については、ご家族にも相談されたんですか?

まだ悩んでるときに、母に電話で相談しました。

やっぱり娘がセクシー女優って、心配じゃないですか。だから辞めるって伝えたら、すんなり「いいやん」って言ってくれると思ってたんですよ。そしたら言われたのが、「ほんまにええんか」「後悔せえへんか」って。「なんで引退したいと思ったのか、その理由を説明してみて」とも言われました。意外でしたね。

母も私の5年間の活動をずっと見ているので、「辞めたら辞めたで、ちゃんと稼がなきゃいけないよね」みたいな、すごく現実的な話もされました(笑)。

──引退後、セクシー女優だったことへの世間の目に、どう向き合っていかれるのか気になります。

裸になって人にセックスを見せるっていうことは、「恥ずかしいこと」と思われるじゃないですか。でも、なんだろう……。やっぱりそれだけじゃないと思うんですよね。

私は裸になって、人前でセックスをさらしても、恥ずかしい仕事をしているとは一切思っていません。今まで5年間、全力で、自分が面白いと思った仕事しかしてこなかったし、人様に対して「恥ずかしい仕事をしてきた」と思うものは一切ないです。でもまあ、そう思われるのも仕方がないかなとは思ってます。

──その気持ちは、デビューした時から変わらない?

はい。そもそも、脱ぐこと自体に普通はみんな抵抗があるはずだし、なおかつ人前でセックスを見せることなんて、もっと抵抗があるじゃないですか。それができる人間って、周りと比べたら、たぶん何本かネジがないと思うんですよ。途中で外れたのか、もともとないのかで言えば、私は完全に後者で(笑)。だから私には結構、居心地のいい世界だったんですよね。

それと、セクシー女優を「恥ずかしい仕事」って思える人は、めちゃくちゃ幸せだと思います。その感覚があるなら、そのままでいいし、別に意見を変えてほしいとも思わない。私にはこの世界が必要な場所で、ここに入れたからこそ人間として成長できたこともある。それが本心です。

「女として見られる」嫌悪感と、それでも好きなアダルトの世界

──この仕事をしていると、「女として見られる」機会も多いと思います。そのことへの嫌悪感はありますか?

うーん……。うっすらと嫌悪感みたいなのを抱えていないと、この仕事はできないんじゃないですかね。セクシー女優だけじゃなくて、夜のお仕事をされてる方とかも多分そうだと思うんですけど。

──それを表に出さないようにするのも難しくないですか?

でも、出して良いことなんてないじゃないですか。だから出さない、っていう。それだけです。

──そうした葛藤を抱えながらも、作品づくり自体にはかなり積極的だった印象があります。出演作にはゾンビものなど一風変わった企画も多かったですよね。

そうかもしれないです。デビューしたときから、王道の作品はもちろん、それ以外にも「私ならでは」の作品を作れたらって思っていました。それで、ゾンビやらなんやら、山あり谷ありいろいろあって。「これは私じゃないとできなかったんじゃないかな」と思える作品は何本もありましたね。

SOD(ソフト・オン・デマンド)って本当に変な会社で(笑)。私、「セーラー服を着たい」って言ったことがあるんですよ。そしたら、なぜかゾンビものの作品で制服を着ることになって(笑)。でも、それがSODなんですよ。そういうところが好きで入ったので。

――引退後も、アダルト業界には関わり続けたいですか?

はい。この業界が嫌いになったから辞めるわけじゃないし、それどころか業界が好きだし、エロも好きなので。SODにもすごくお世話になったし、たくさん支えてもらいました。返しきれない恩もある。だから今後も、何か関われることがあるならやりたいね、という話はしています。

――今回、小説が出るタイミングと引退が重なっていますが、「小説家に転身するから引退する」ということではない?

それ、結構言われるんですけど、全然関係ないです(笑)。でも、このタイミングでよかったと思います。引退したあとも、エッセイとかコラムは書きたいし、もう一冊小説も出したいなとも思ってます。

#1はこちら

取材・文/キムラ 撮影/杉山慶伍

母の泥舟

MINAMO

2026年09月14日

1980円(税込)

四六判

ISBN: 9784041166895

セクシー女優の新境地。圧倒的な筆力で描ききる、半自伝的小説。
常に不機嫌な父、不安定になる母、壊れていく家庭。
“普通の家族”を求めるほど、少女は「母を救わなければ」という思いに囚われていく。
父の機嫌を読み、母を傷つけないように振る舞い、いつしか自分の人生よりも“母を幸せにすること”が生きる目的になっていた。

大人になっても心の奥には埋まらない空白が残る。
なぜ私は、母を救えないのか。
その答えを探すなかで主人公が辿り着いたのは、母にもまた「救えなかった母」がいたという事実だった――。

祖母、母、娘。
三代にわたって連鎖する愛情と支配、祈りと絶望。
近づきたいのに傷つけ合ってしまう“母と娘”という逃れられない関係を、痛みと優しさをもって描く、2026年内をもってセクシー女優引退を表明したMINAMOが、初めて挑んだ半自伝的小説。
愛されたかったすべての人へ贈る一冊。