“あの調味料”で塩分オーバー?「糖尿病」の人が陥る【落とし穴】

糖尿病や高血圧の管理において、数値の基準を正しく知ることは食事の判断に役立ちます。空腹時血糖値やHbA1c、血圧の目安値、そして1日の食塩摂取目標量について整理し、ポン酢の使用量とどのように関連するかをわかりやすく説明します。

監修医師:
井筒 琢磨(医師)

2014年岩手医科大学卒
2016年仙台市立病院循環器内科
2019年江戸川病院糖尿病・代謝・腎臓内科
2023年岩手県立中央病院糖尿病・内分泌内科 兼 救急診療科
2023年医療法人社団啓愛会理事
2026年孝仁病院美希病院
所属学会
日本医師会 産業医
日本循環器学会 循環器専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医
日本内科学会 総合内科専門医

ポン酢を使う際に知っておきたい基準値

糖尿病や高血圧の管理において、「基準値」を正しく理解することは、自分の状態を把握し、適切な行動をとるための第一歩です。このセクションでは、ポン酢の摂取と関連する血糖値・血圧・塩分などの基準値について解説します。

血糖値・HbA1cの基準値とポン酢摂取の考え方

糖尿病の管理指標として広く用いられているのが、空腹時血糖値とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の数値です。空腹時血糖値の正常範囲は110mg/dL未満とされており、126mg/dL以上で糖尿病型と判定されます。HbA1cは過去1~2ヶ月の平均的な血糖状態を示す指標で、正常値は5.6%未満、6.5%以上が糖尿病の診断基準のひとつとなっています。

糖尿病と診断された方の血糖コントロール目標については、日本糖尿病学会のガイドラインでHbA1cを7.0%未満に維持することが推奨されています(合併症予防の観点から)。この目標を達成・維持するためには、薬物療法だけでなく、食事療法・運動療法を継続することが重要です。

ポン酢の摂取と血糖値の関係を考えると、ポン酢単独で血糖値に大きな悪影響をもたらすとは考えにくい側面があります。ただし、食事全体の糖質バランスを無視してポン酢を多量に使用すると、みりんや砂糖由来の糖質が積み重なる可能性があります。HbA1cの管理目標値に向けて努力している方は、ポン酢を含むすべての調味料の糖質量を食事記録に組み込んで管理することが望ましいといえます。

また、ポン酢に含まれる食酢(酢酸)が食後の血糖上昇を緩やかにする可能性が示唆されていることは前述のとおりです。この作用を活かすためには、食事のはじめの段階でポン酢を使った料理を食べる(たとえば、ポン酢和えのサラダを食事の最初に食べるなど)という食べ方の工夫も参考になります。食べる順番と調味料の使い方を組み合わせることで、血糖値の管理に役立てられる可能性があります。

血圧の基準値と1日の塩分摂取量の目安

血圧の基準値については、日本高血圧学会のガイドラインに基づいて示されています。診察室での血圧測定において、収縮期血圧(上の血圧)140mmHg以上、または拡張期血圧(下の血圧)90mmHg以上が高血圧と定義されています。また、家庭での血圧測定では、収縮期135mmHg以上、または拡張期85mmHg以上が高血圧の目安となります。

正常血圧の範囲は収縮期120mmHg未満かつ拡張期80mmHg未満とされており、これを超えて高血圧の診断に至るまでの間にも、「正常高値血圧」「高値血圧」と呼ばれる段階があります。これらの段階にある方も、将来的な高血圧や心臓・血管の病気のリスクを低下させるために、食事習慣の見直しが推奨されています。

塩分(食塩)の摂取量については、前述のとおり厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」において成人男性で1日7.5g未満、成人女性で6.5g未満の目標量が設定されています。高血圧の方に対してはさらに厳しい目標として6g未満が推奨されており、腎臓に病気がある方ではさらに低い値が設定される場合もあります。

ポン酢を日常的に使用する場合、この1日の食塩目標量を意識しながら使用量を調整することが大切です。たとえば、1日の塩分目標を6gとした場合、ポン酢を大さじ1杯使えば約1gの塩分を消費することになります。残りの5gで、みそ汁・主菜・副菜・漬物などすべての食事をまかなう必要があることを考えると、ポン酢の使いすぎが全体の塩分バランスを崩す原因になり得ることがわかります。

まとめ

ポン酢は使い方を工夫することで、糖尿病・高血圧の食事療法においても活用できる調味料です。血糖値・血圧・塩分の基準値を正しく理解し、使用量と食事全体のバランスを意識しながら取り入れることで、食事の楽しさを損なわずに健康管理を続けることができます。気になる症状や数値がある方は、ぜひ糖尿病内科や循環器内科のかかりつけ医にご相談ください。

参考文献

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」

日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン」

日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」

国立循環器病研究センター「高血圧と食事」

農林水産省「食事バランスガイド」