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映画監督ギレルモ・デル・トロが、クリストファー・ノーラン監督『オデュッセイア』に見た、“AIでは代替できないもの”とは──。

以前から「AIを使うくらいなら死んだほうがマシ」と公言してきたデル・トロ。米国の掲示板サイトRedditの一問一答企画にて、「AIによる映像生成で失われるもの」を問われると、「AIとは、既存のものを半ば知性を持ったように組み替える超高速エンジンのようなもの」だと答えた。

「創造とは、過去に一度も存在しなかったものを存在させること」だとデル・トロは言う。

「制作過程の4分の3こそが、思いつかなかったようなアイデアを考える機会を与えてくれるのです。AIはすさまじい速さで中間地点まで連れていってくれるかもしれませんが、そこから上位10%に到達するには、プロセスそのものとの弁証法的なやり取りがあるのです。」

もうひとつ指摘するのは、「芸術家の“徒弟期間”が失われること」だ。「人は決してマスターにはならない、いつまでも徒弟なのです。これは、クリス・ノーランと共有していることでもあります」と語る。

「彼が『オデュッセイア』を観せてくれたとき、マット・デイモンの海に浮かんでいる場面で、彼に尋ねました。私たちは実物を使った特殊効果がいかに素晴らしいかを語り合い、お互いにいつもミニチュアや模型を使うことを話していたから。“どうやって撮ったの?”と聞いたら、彼は“の海に入ってもらったんだ”と答えたんです。」

デル・トロは、「素晴らしい映像の3割は、“偶然”が生み出しているのです。水滴がレンズに当たったり、カメラが揺れたりすることです」と説く。かつて、ジェームズ・キャメロン監督からも同じことを学んだそうだ。

ともに『ターミネーター2』(1991)を観ていたとき、キャメロンはT-1000役のロバート・パトリックが車の窓を腕で突き破る場面について、あるこだわりを明かしたのだという。

「キャメロンが、“あのフレアが見える?”と言うので、“はい”と答えました。すると、意図的に入れたものだと言うんです。映像のなかに偶然をひとつ入れると、観客はそれを本物だと思うからと。私もその通りだと思います。偶然は不可欠で──しかも最高の偶然は、自分からたぐり寄せなくとも、現実との相互作用のなかで、ただ起こるものなんですよ。」

映画『オデュッセイア』は公開中。