来季も続投?

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井上監督は続投?

 中日ドラゴンズが9月8日から始まった読売ジャイアンツとの3連戦で白星スタートを切った。翌9日、10日は落としたものの、このカードが注目された理由は巨人の優勝争いだけでなく、中日の「最下位脱出」が絡み合っていたからだ。

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 中日は前カードでヤクルトに2勝し、1試合を雨天中止で流した。その間、2位・巨人が最下位の広島に3連勝。阪神と巨人のゲーム差は「2.5」に縮まり、中日は勝率で僅か5厘差だが、5位に浮上して巨人3連戦に臨んだが、またもや最下位に(11日現在)。優勝の行方はもちろんだが、“最下位争い”にもファンの熱い視線が向けられているのである。

来季も続投?

「セ・リーグ6球団でQS(先発投手が6回強を投げて自責点3以内に抑える)達成率がもっとも高いチームは中日なんです。8日に柳裕也(32)が7回無失点と好投し、63パーセント超となりました。チーム防御率トップの阪神が57パーセント台。巨人と東京ヤクルトも50パーセント台ですが、12球団で60パーセント以上の数値を出しているのは中日と埼玉西武だけ。中日は代打の打率(2割3分7厘)がリーグトップで、盗塁成功率でもリーグ2位の7割2分6厘と高い数値を出しています。総本塁打数108はリーグ2位、出塁率もリーグ3位の3割1厘を記録しています」(在京球団スタッフ)

 これだけ高い指標を残しておきながら、勝率4割2分5厘で借金19はおかしい。何かしらのテコ入れをすれば「勝てるチーム」にも変貌できるはず。そのテコ入れでもっとも分かりやすいのは、指揮官の交代だ。しかし、そうした見方と同時に広まっているのが井上一樹監督(55)の続投説である。

「続投が予想されているのは、球団は明言していないものの、24年オフの就任発表時に交わされた井上監督との契約が3年と見られているからです。そうであれば、来季も指揮を執ることになります。球団首脳陣も投打の指数が決して悪くないことを分かっているので、これまで積み上げてきたものを根底から崩すことは得策ではないと考えているのではないでしょうか」(名古屋在住記者)

 とはいえ、投打の高い指標を勝利に結びつけるにはある程度のチーム改造は必要だろう。その必要性を決定づけたのが9月4日の東京ヤクルト戦だった。

「両チーム合わせて27残塁。中日はヒット6本と5四死球で何度も得点圏に走者を進めましたが、得点は初回に出た福永裕基(29)のソロ本塁打による1点だけ。試合展開を伝えていた両チームの公式Xには『野球ではなく、違う競技を見せられているような…』の書き込みもありました」(前出・同)

 5回、先頭打者の石伊雄太(26)がヒットで出ると、次打者で先発投手の高橋宏斗(24)が送りバントを決めた。1番・福永は凡フライに終わったが、2番・村松開人(25)がレフト前ヒット。3番・細川成也(28)も四球を選び、二死満塁。しかし、4番のサノー(33)が打ち上げてしまい、無得点。7回も3者連続で四球を選び、一死満塁としたが、細川、サノーが倒れて無得点。この日のヤクルト打線も3たび得点圏に走者を進めたが、やはり初回に挙げた西村瑠伊斗(22)のソロ本塁打による1点だけだった。

「『あと1本が出ない』なんて言葉で片付けられません。9回、代走の田中幹也(25)が村松のレフト前ヒットで本塁突入を試みたものの、タッチアウトでした。同日は、クリーンアップがノーヒットでしたが、三塁で止まって細川、サノー、石川昂也(25)に託すべき場面だったかもしれません」(前出・同)

後任がいない?

 得点好機に打てなかったから、本塁突入の強行策に出たのか--。

 中日の攻撃面での作戦は、主に井上監督が決めてきた。しかし、指揮官の参謀役を含め、中日ベンチの様子が変わってきたという。シーズン序盤は井上監督が単独で攻撃の作戦を決めていたが、そのすぐ近くには松中信彦打撃統括コーチ(52)がいて、周囲に話し掛ける場面も見られた。最下位に低迷していた間は井上監督から“笑顔”が消え、眉間に皺を寄せていた。セ・パ交流戦あたりから、嶋基宏ヘッドコーチ(41)に話し掛けるようになり、最近はまた一人で難しい表情を浮かべている時間が長くなったそうだ。

「嶋ヘッドコーチはフロントが招聘したと聞いています。井上監督と嶋ヘッドコーチが話をするところはあまり見掛けません。ミーティングルームでは違うのかもしれませんが、お互いに遠慮しあっているという話もないわけではありません」(前出・同)

 続投説が本当であっても、このシーズンを終えてしまえば、6年連続Bクラスとなる。コーチスタッフの入れ替えは避けられないだろう。

 また、続投説が消えない理由として、「めぼしい後任候補がいない」との声も聞かれた。本当にそうだろうか。フロントには本部長補佐となってチーム戦力を把握している荒木雅博氏(48)がいて、前任の立浪和義氏の時代から投手陣を預かり、選手からの人望も厚い落合英二投手コーディネーター(57)もいる。井端弘和氏(51)も侍ジャパン監督の大役を終え、現在はフリーだ。

 しかし、「めぼしい後任がいない」という情報は、こんなふうにも言い換えられる。それは「オリックスバファローズからやってきたスタッフが増えた」、ということ。ファーム担当の高山郁夫投手コーチ(64)、前田大輔二軍捕手コーチ(46)、藤井康雄二軍打撃コーチ兼コーディネーター(64)がそうだ。

「荒木氏のフロント入りを早くから聞かされていた球団OBは少なくありませんでしたが、オリックスから複数のコーチが招聘されたのは知らなかったらしく、驚いていました。昨季途中、岩崎翔(36)を金銭トレードでオリックスに渡してしまいました。昨季までのファームのウエスタン・リーグ時代のつながりで関係が構築されたのかもしれません」(地元テレビ局員)

ファンは熱いが…

 話は5月24日に遡る。朝田憲祐球団本部長は、借金15でセ・パ交流戦に突入する状況について聞かれ、主力選手に怪我人が多く出たことを敗因として挙げ、井上監督を庇っていた。だが、交流戦中、遠征先のエスコンフィールド(北海道)まで出向き、再度、井上監督と話し合う姿が報道陣に目撃された。この時点で球団創設90周年のメモリアルイヤーに「指揮官の途中交代」を予想する声も多く聞かれたが、朝田本部長はやはり、井上監督を庇う発言に徹していた。

 故障者が続出し、ベストメンバーが組めなかった時期も長く、井上監督に同情すべき点も多いが、本拠地バンテリンドームは連日満員となっている。

 負けてもファンの支持を失わないという、営業を含めた球団の努力はさすがだ。観客動員数はうなぎのぼりで、連日のように“満員御礼”状態が続く。その満員のスタンドが「決断を鈍らせている」との声もないわけではない。

デイリー新潮編集部