「糖尿病」の発症リスクが高いのは「和菓子」と「洋菓子」どっち?医師が徹底解説!

糖尿病の発症リスクが高いのは「和菓子」と「洋菓子」どっち?メディカルドック監修医が和菓子や洋菓子を食べ過ぎると現れる症状などを解説します。

監修医師:
久永 香織(医師)

【経歴】
2015年宮崎大学医学部医学科卒業.東邦大学医療センター大森病院,東京蒲田医療センターなど勤務.糖尿病専門医,指導医,内分泌代謝専門医,内分泌代謝・糖尿病内科領域指導医,医学博士の資格を有する。

糖尿病とは?

糖尿病と聞くと、「血糖値が高くなり、目が見えなくなったり、足を切断したりする怖い病気」というイメージを持つ方もいるかもしれません。糖尿病は、インスリンの作用不足などによって慢性的に血糖値が高くなる病気です。

インスリンは膵臓のβ細胞から分泌されるホルモンで、血液中のブドウ糖を筋肉などの細胞に取り込ませることで、血糖値を下げる働きをします。インスリンの分泌量が不足したり、インスリンが効きにくくなる「インスリン抵抗性」が生じたりすると、血糖値が高くなります。慢性的な高血糖が持続することで網膜症や腎症といった合併症を発症します。

糖尿病の発症には、遺伝的な要因に加えて、食べ過ぎや運動不足、肥満などの生活習慣が関係します。和菓子や洋菓子にも糖質や脂質が含まれているため、種類や量、食べる頻度によってはエネルギーの過剰摂取や体重増加につながる可能性があります。

ここでは、和菓子と洋菓子の特徴を比較しながら、それぞれを食べる際の注意点について解説します。

和菓子に含まれている成分とは?

和菓子には「洋菓子よりヘルシー」というイメージを持つ方もいるかもしれません。確かに、一般的な和菓子はバターや生クリームなどを使用する洋菓子と比べて脂質が少ない傾向があります。一方で、糖質を多く含むものもあるため、食べる量には注意が必要です。

糖質

和菓子はもち米などの米、砂糖を原料としており糖質を多く含みます。糖質はたんぱく質、脂質と並ぶ三大栄養素の1つですが、体内に入るとブドウ糖となり、脳や体を動かす原動力となります。消化吸収が早く急速に血糖値を上げることが分かっています。

食物繊維

小豆の皮や寒天には比較的多く食物繊維が含まれています。食物繊維は糖質の吸収を穏やかにする働きや、腸内環境を整える作用があります。

たんぱく質

小豆や大豆、もち米にはたんぱく質も含まれています。たんぱく質は筋肉や臓器などの体を構成する栄養素で、糖質に比較すると吸収は緩やかで血糖値も急に上がることはありません。

脂質

和菓子には脂質はほとんど含まれていません。中にはパイ生地に餡子が包まれている和菓子と洋菓子の間のようなお菓子もあり、その場合には脂質も一定量含まれます。脂質は急激に血糖値を上昇させることはありませんが、だらだら少しずつ上げて戻りにくくする性質があります。またカロリーも1gあたり9kcalと高値です。

洋菓子に含まれている成分とは?

ケーキやクレープ、パンケーキ、フィナンシェなどの洋菓子は、普段の私たちの生活になくてはならないものになっています。なんとなく洋菓子の食べすぎは体に良くないと思っている方も多いと思いますが実際はどうでしょうか。

脂質

洋菓子は、バターや生クリームなどの乳製品を多く使うため、和菓子に比べて脂質が非常に高い傾向にあります。先ほど述べたように脂質はカロリーが高く少量でも高カロリーになりやすいため、エネルギーの過剰摂取につながりやすいです。また血糖値を急激には上げないものの下がりにくくする性質もあります。

糖質

洋菓子にも砂糖やチョコレートなどの糖質がたくさん含まれています。これらは血糖値の急激な上昇を招き、それに伴いインスリン分泌も増やします。

たんぱく質

卵や牛乳、チーズを使用する洋菓子の場合にはたんぱく質も含まれます。洋菓子でたんぱく質が含まれていても、糖質や脂質も同時に多い点に注意が必要です。

和菓子を食べ過ぎると現れる症状

和菓子は洋菓子と比較して糖質を多く含みます。そのためカロリーは高くなくても急激に血糖値が変動することが考えられます。

血糖値スパイク

食後の血糖値が急上昇と急降下を起こすことを血糖値スパイクと言います。糖質を多く含む和菓子は消化吸収が早くなり、血糖値スパイクを生じやすく注意が必要です。1)DECODE研究などの疫学調査では血管障害や動脈硬化リスクとの関連が示されています。

反応性低血糖

和菓子を食べた直後に血糖値が急上昇すると、身体はそれを下げようと膵臓から大量のインスリンを分泌します。その結果、急激に血糖値が低下し、脳へのエネルギー供給が一時的に滞ることで、食後に強い眠気や疲労感、だるさを感じることがあります。

体重増加

糖質を一度に多く摂り過ぎると、インスリンの働きによって使い切れなかった糖分が中性脂肪へと変換され体に蓄えられ体重増加の原因になります。

洋菓子を食べ過ぎると現れる症状

洋菓子には糖質も脂質も多く含まれており、急激な血糖値の変動に加えてなかなか正常な血糖値まで戻りにくくなります。またエネルギーの過剰摂取にもつながりやすいので食べ過ぎには注意が必要です。

体重増加

上記の通り、高脂質・高カロリーな洋菓子は内臓脂肪を増やしやすい性質を持っています。内臓脂肪が蓄積すると、アディポサイトカインという物質の分泌バランスが崩れ、インスリンの効き目を悪くする「インスリン抵抗性」が増大します。インスリン抵抗性は2型糖尿病の発症に関する重要な要因です。

胃もたれや胸焼け

脂質が多い洋菓子は胃にとどまる時間が長く、消化に負担がかかります。そのため、食後に胃が重く感じたり、胃もたれや胸やけ、吐き気を引き起こしたりすることがあります。

ただし、これらの症状は洋菓子だけが原因とは限りません。症状が頻繁に起こる場合や強い症状が続く場合には、ほかの消化器疾患が隠れている可能性もあるため、医療機関を受診しましょう。

脂質異常症

洋菓子に多く含まれる飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を過剰摂取すると、血液中のLDLコレステロールや中性脂肪が増加します。定期的な健診で脂質異常症と指摘されるリスクが高まります。

糖尿病の発症リスクが高いのは「和菓子」と「洋菓子」どっち?

結論から言うと、「洋菓子の方が肥満やインスリン抵抗性を介して糖尿病の発症リスクを高めやすい傾向があるが、和菓子も食べ方次第で十分にリスクとなる」というのが医学的な見解です。高カロリー、高脂質でインスリン抵抗性を惹起するためと考えられますが、食べる頻度や量によっても異なります。

和菓子を食べる際の注意点

和菓子は脂質が少ないため肥満のリスクは洋菓子よりやや低い面がありますが、血糖値を上げやすい食品が多いという点に注意が必要です。砂糖や餅を多く使う和菓子は、短時間で血糖値を大きく上昇させます。長年このような血糖スパイクを繰り返していると、インスリンを出している膵臓のβ細胞が疲れてしまい、インスリン分泌能が低下して糖尿病を発症するリスクが高まります。

食べるタイミング

空腹時に和菓子を摂取すると吸収が早くなり急激な血糖値の上昇を招きやすくなります。食後のデザートとして少量だけ食べたり、活動する時間帯に摂るのがいいでしょう。

暖かい緑茶と一緒に摂る

緑茶に含まれるカテキンやポリフェノールには、腸管での糖質の吸収を緩やかにする作用が期待できます。2)和菓子を食べる際は、甘いジュースや砂糖入りの飲み物ではなく、無糖の温かい緑茶や玄米茶などを一緒に選ぶと効果的です。

食物繊維も一緒に摂る

食物繊維には、糖質の吸収を緩やかにする働きがあります。和菓子の中でも、寒天を使った「みつまめ」「あんみつ」「水羊羹」や、小豆の皮が多く含まれる「つぶあん」の製品を選ぶと、食物繊維の効果で血糖値の上昇を比較的和らげることができます。

洋菓子を食べる際の注意点

洋菓子には多くの脂質が含まれています。洋菓子を選ぶときには、商品の栄養成分表示を確認し、脂質やエネルギー量を確認しましょう。

脂質の量に注意

洋菓子を選ぶ時には、商品の栄養成分表示を確認し、脂質やエネルギー量を確認しましょう。シフォンケーキなど、比較的脂質の少ないものを選ぶ方法もあります。ただし、種類によって栄養成分は異なるため、「洋菓子だから低脂質」とは限りません。

総カロリー量を計算する

洋菓子には脂質が多く含まれており、少量の脂質でもカロリーは多くなります。洋菓子を食べる日には主食の量を少し減らして、トータルのカロリー量を多くなりすぎないようにするなどの工夫が必要です。

「糖尿病の和菓子と洋菓子」についてよくある質問

ここまで糖尿病の和菓子と洋菓子について紹介しました。ここでは「糖尿病の和菓子と洋菓子」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

大福とシュークリームではどちらが血糖値の上昇を招きますか?

久永 香織(医師)

大福には精製された糖分が含まれるので、食後30分~1時間で急激な血糖値の上昇を招きます。一方脂質を含むシュークリームは徐々に血糖値が上昇するものの下がりにくくなります。またカロリーは高くなりやすいです。どちらも食べすぎは高血糖を招くので注意が必要です。

体に良いのは和菓子と洋菓子どちらでしょうか?

久永 香織(医師)

どちらがいい悪いと決めることはできません。和菓子は小豆や寒天など植物性由来の原料が多く、脂質が少ないため脂質異常症や動脈硬化の予防という観点では優れています。しかし、糖質量は多いため、糖尿病予防の観点からは和菓子であっても過剰摂取は厳禁です。
ご自身の健康状態(コレステロールが高いのか、血糖値が高いのかなど)に合わせて適切に選択することが大切です。和菓子も洋菓子も、適量を意識すれば楽しむことができます。日頃から主食・主菜・副菜を基本としたバランスの良い食事を心がけ、間食の量にも注意しながら、無理なくお菓子と付き合っていきましょう。

まとめ和菓子も洋菓子も、適量を意識して上手に付き合いましょう

和菓子と洋菓子は含まれる栄養成分や身体への影響の及ぼし方が大きく異なります。脂質が多く高カロリーな洋菓子は肥満やインスリン抵抗性を引き起こしやすく、糖尿病の発症リスクを高めやすいと言えます。一方で、和菓子は脂質が少ないものの糖質が主体であり、急激な血糖値の上昇(血糖スパイク)を引き起こしやすいという注意点があります。

どちらのお菓子を楽しむ場合でも、1日の適量を守り、食べるタイミングや飲み物の組み合わせを工夫することが健康を維持する鍵となります。日頃からバランスの良い食事を心がけ、無理のない範囲でお菓子と付き合っていきましょう。

「糖尿病」と関連する病気

「糖尿病」と関連する病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

循環器系

虚血性心疾患心不全

婦人科の病気

妊娠糖尿病

糖尿病の罹患期間が長いと動脈硬化が進み心臓や脳など様々な場所の動脈硬化が進みます。日ごろから管理することが大切です。また、妊娠糖尿病は流産、早産、子供にも影響があります。妊婦健診は必ず受けましょう。

「糖尿病」と関連する症状

「糖尿病」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

尿がたくさん出る

喉が渇く

体重が減る

これらの症状は高血糖に伴うものの可能性があります。近くの医療機関を受診してください。

参考文献

Hyperglycemia and stroke mortality: comparison between fasting and 2-h glucose criteria|Diabetes Care(Hyvärinen M, et al., 2009)

血糖値の上昇を抑えてくれる飲み物は?飲み方や上げないためのポイントを紹介|新日本製薬