「小児性愛のオタクやインセル男性が好きそうなコンセプト」

【実際の投稿】韓国に上陸したイコラブに向けられた「小児性愛のオタクが好きそう」という辛辣な批判

「小学校の学芸会レベル」

 韓国の音楽番組に出演した日本の女性アイドルグループ「=LOVE(イコールラブ)」が、現地の視聴者からこんなバッシングを浴びた。

 通称 “イコラブ”。指原莉乃プロデュースの声優アイドルとして、2017年デビューした10人組だ。


=LOVE(イコールラブ)」公式インスタグラムより

「小児性愛のオタクやインセル男性が好きそう」という酷評に1万いいね

 インスタグラム公式アカウントのフォロワー数は90万人に迫り、昨年2月リリースの「とくべチュ、して」は、ストリーミング再生回数が2億回を超えた超人気グループだ。

 韓国でも欧米と同様、コロナ禍を経てZ世代を中心に日本のポップカルチャー人気は高まっている。

 今年に入ってKpopアーティストによるJpopのリメイク曲が次々とヒットし、ストリーミング市場でもJpopの再生回数が急増。実は韓国国内の音源消費が2019年をピークに下降するなかで、Jpopの健闘は際立っている。

 そんな追い風に乗って、イコラブは8月23日に韓国SBS「人気歌謡」のステージを踏んだ。「人気歌謡」はKpopの人気アイドルが最新パフォーマンスを披露する、韓国の代表的な音楽番組だ。

 当日もトップスターの男性グループENHYPENを筆頭に、グランジやY2Kレトロなどのコンセプトで人気のKiiiKiiiなど人気アーティストが登場し、イコラブの韓国進出には絶好の舞台のはずだった。

 イコラブは代表曲の「とくべチュ、して」ではなく、最新曲「恋、はじめました。」(「コイハジ」)の韓国語バージョンを初披露。韓国語バージョンで現地ファンへのアピールを狙ったが、反応は想像以上に厳しいものだった。

「小児性愛のオタクやインセル男性が好きそう」という辛辣なXの投稿は1万件以上の“いいね” を集め、Kpopファンやアイドルオタクから酷評が相次いだ。

「日本アイドルと聞いて思い浮かぶ典型的なイメージで、無難すぎる」

「中学校のダンス部の発表会よりもヘタなんじゃない」

「なんでこれを『人気歌謡』で見なきゃいけないの。これならもっとかわいくて歌もダンスもうまい韓国のアイドル見るわ」

「私ならあの実力でテレビに出ようと思わない」

 中には擁護する声もあったが、多くは以前からイコラブのファンだった日本アイドルオタクで、現地ファンの心を掴んだとは言えない状況だった。

 そうした投稿の多くでイコラブと比較されているのが、“きゅーすと” こと 「CUTIE STREET」と、“ふるっぱー” こと「FRUITS ZIPPER」だ。どちらもアソビシステムが、アイドルプロジェクトKAWAII LAB.を通じてプロデュースしている。

 2グループともイコラブよりひと足先に韓国へ上陸して人気を博し、とりわけきゅーすとはストリーミング1位を記録するなど大成功している。

 きゅーすとはTikTokでのプロモーションから海外での知名度が高まり、昨年からデビュー曲「かわいいだけじゃだめですか?」などが韓国に浸透。特に知名度を高めたのがチャレンジ動画、いわゆる日本でいう踊ってみた系の動画だった。つまりきゅーすとの歌やダンスにチャレンジした動画をSNSに投稿するのが、韓国でちょっとしたブームになったわけだ。

 こうして名前と曲が浸透したところで、「人気歌謡」と並ぶ、韓国の代表的な音楽番組「M COUNTDOWN」に今年3月に出演。

「かわいいだけじゃだめですか?」の韓国語バージョンを初披露するとYouTubeで再生回数700万回を超える反響を呼び、翌月にはシングル曲として正式リリースしている。

 きゅーすとはSNSで知名度を高めてから音楽番組に出演し、すでに知られたヒット曲の韓国語版で喝采を浴びた。

きゅーすとが受け入れられ、イコラブが拒絶された理由

 しかしそれを追いかけたイコラブは、一般層の認知度が高くない状態で進出し、まだSNSで広がりきっていない新曲「コイハジ」を披露。それに対して冷たい反応が集まってしまったわけだ。

 日本で大人気の2グループが韓国進出で明暗が分かれた理由は、韓国アイドルファンの反応にもはっきりと現れていた。

 お国柄というべきか、韓国はアイドルオタクも理屈っぽい。イコラブが炎上したときに、きゅーすとと比較した長文の論考があちこちのSNSで投稿されていたが、ほぼ全てに共通しているのは、「きゅーすとはKpopと世界が違う異文化」として受け入れられ、「イコラブはKpopの延長上にあるのにレベルやコンセプトに違和感がある」と拒絶されたことだ。

韓国人がああいう服を着て踊ったら、オタクじゃない普通の人は引くと思う」

 韓国のアイドルファンはKpopスターに対して、パフォーマンスとビジュアルの完成度、そしてクールかつ個性的でイケているキャラクターイメージを求める。

 だがきゅーすとは最初からKAWAII LAB.のコンセプト通り、“わちゃわちゃしてKAWAII”という日本カルチャーのキャラクターというポジションを強調していた。その結果としてパフォーマンスのレベルもメンバーのキャラクターもKpopと同じ評価基準を当てはめられず「最初からそういうもの」として受け入れられた。

 それはこんなSNSの書き込みからも明らかだ。

「外国人がやるからいいんだよ。韓国人がああいう服を着て踊ったら、オタクじゃない普通の人は引くと思う」

 歌もダンスもキャラクターもKAWAIIに振り切ったきゅーすとと比べれば、イコラブのパフォーマンスはもう少しクール志向でKpop的だ。衣装こそヒラヒラしたいかにも日本アイドル的なコスチュームで差がないものの、歌やダンスの方向性はハッキリ違う。

 韓国のアイドルファンはその差を敏感に感じ取り、イコラブにKpopアイドルを見るときと同じ評価基準をあてはめた。しかしKpopの中に置かれた瞬間に、イコラブは「清楚な少女イメージ」が極端に強いグループに見えてしまった。それが「小児性愛コンセプト」という強い批判を呼んだのだ。

 歌やダンスのレベルについても、「Kpopグループに比べるとかなり厳しい」という評価を受けたことになる。

 韓国の厳しい洗礼を受けた格好のイコラブだが、「Kpopの仲間として認識された」という事実はマイナス面だけではないという見方もある。SNSでは「きゅーすとは、KAWAIIというマイナージャンルのトップになるのが限界。イコラブは今はメジャーの下のほうにいるけど、少なくとも大きなジャンルに挑戦している」という期待の声もあがった。

 異物として受け入れられたきゅーすとと、Kpopの仲間だと認識されたがゆえに炎上したイコラブ。日本を代表するアイドルグループが韓国でどんな存在感を発揮していくか目が離せない。

(高月 靖)