元カノへの復讐レイプ指示役の身勝手な言い分「僕だけが犯罪者になって泣き寝入り」【裁判傍聴記・後編】
2026年7月17日、指示役のM被告の裁判があった。被害者の意見陳述を弁護士が代読した。
「お金に困っていた私は養ってほしいと。付き合ってほしいと言われて、楽しく過ごした時期もありました。好意をもってくれたことはうれしかった。養ってあげると言われて、甘えていたことは確かです。
最初はお金をもらっていたが、途中からセックスできないのでいらないと。裸の写真を送ってほしいなど、要求がエスカレート。だんだん怖くなりました。好きではない、別れたいという思いを伝えました。
被告人は私の自業自得だと思っている気がしてなりません。玄関ドアを本当に開けるかどうか確認したかったと言っているようですが、ドアを開けた私が悪かったのでしょうか。2人が刑務所に入っている時しか、私が安心して生活できるときはありません」
読み上げられる間、被告人は小さく何度もうなずいていた。M被告は事件画像の消去は承諾したが、その他のAさんの画像については、消去を拒否しているという。
ネット掲示板で元カノへの性的暴行役を募集、レイプした実行犯と指示役の刑罰は【裁判傍聴記・前編】
「4年近く人生と命をかけて援助してきました」
検察官は拘禁刑10年を求刑した。
「怒りを覚えて、辱めを行おうとした。自らは手を下さない卑劣な犯行」と。
被害者参加弁護人が意見を述べた。
「被告人の指示がなければ犯行が成立しない。悪質かつ卑劣。Aさんが自分からお金を要求したり、だまし取ったようなケースではない。たとえ交際していても、性行為をするかどうかは違う。Aさんに問題があるかのような発言。失意のAさんを慰めることでよりが戻るかもと考えた。自身の性的欲望を満たすため、トラウマを与えたい、と。
被告人はまったく反省していない。SNS上で『犯してくれる人求む』と。常軌を逸している。再犯の可能性が極めて高い。被害者は復讐(ふくしゅう)を恐れている。厳しい処罰を望みます。法律上可能な限り長期間の拘禁刑を」
M被告の弁護士は主張した。
「被告人には酌むべき事情がある。被害者から男性恐怖症と言われていた。最終的に被害者の言動を信用できなかったので、確認しようと犯行を。実行犯は指示通りの行動をしていない。殺人などの最悪な事態を回避するために口腔性交を頼んだ。被害者にまったく責任がないとは言えない。被害者にも相応の責任がある」
M被告が最後の弁明を行った。
「ノートを持ってきたので。間違って話したくないので、読んでいいですか?」と。許可されると「ありがとうございます」と大学ノートを開いた。
「Aさんには、ごめんなさいと思っています。2年間の契約書を紙に書いて生活費を受け取りながら、性的行為が終わった後、決まって『身体目当て』と言われました。裏で男を呼んでたりして、うそばかりついていたと思っています。
Aさんがやってきたことは犯罪だと思っています。被害者の人間性は腐っています。今回僕だけが犯罪者になって、泣き寝入り。4年近く人生と命をかけて(援助を)やってきました」
「多額の援助は犯罪を正当化する理由にはならない」
2026年9月4日、指示役・M被告への判決は拘禁刑9年。
「非常に悪質で卑劣な犯行。Aさんの証言は具体的で信用できる。被告人は多額の援助をしたのに、思うようにならないという不満を募らせていた。2024年ごろまで交際していたが、関係を絶たれて復讐を計画。報酬3万円を提示して実行犯を募集した。女性をレイプしてほしいという不特定多数に対する依頼。
レイプという言葉には膣内性交も含む。事件後、どんな体位でしたかと質問。性交等の共謀が成立していた。Aさんは『男性恐怖症でオートロックも開けない』と言われていたと不合理な説明を。実行犯とのやりとりとも整合しない。
途中で殺人や強盗などを止めてくれたら報酬を上げると実行犯に指示。しかし、直接犯行を止めたり、警察に連絡したりしなかった。被害者の肉体的精神的な苦痛ははかりしれない」
M被告は、体を少し左右に揺らしながら聞いていた。何度か首をひねるなど、判決に納得していない様子が見受けられた。裁判長は量刑の理由を説明した。
「多額の援助をしたことは、今回の犯罪を正当化する理由にはならない。Aさんの人間性を批判する発言もあった。強い執着があり、いまだ罪の重さを自覚するに至っていない」と。
その言葉は、M被告には届かなかったのかもしれない――。
文/青山泰 内外タイムス

