気象庁は今日9日、最新の「エルニーニョ監視速報」を発表しました。8月のエルニーニョ監視海域の海面水温は、基準値との差が+3.4℃と高く、これまで8月として最も高かった1997年の値を上回りました。今後、冬にかけて基準値との差がさらに大きくなる見通しで、この先もエルニーニョ現象が続く見込みです。

2026年8月の実況 基準値との差が+3.4℃と高い

2026年春からエルニーニョ現象が続いているとみられます。 8月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値からの差は+3.4℃で基準値より高く、8月として1949年以降 最も高かった1997年の+3.0℃を上回りました。エルニーニョ/ラニーニャ現象発生の判断に使用している5か月移動平均値の6月の値は+1.9℃で3か月連続で基準値を超えました。

太平洋赤道域の海面水温は、中部と東部では平年より高く、西部では平年より低くなりました。太平洋赤道域の海洋表層の水温は、中部と東部では平年より高く、西部では平年より低くなりました。対流活動は、太平洋赤道域の日付変更線付近で平年より活発で、中部太平洋赤道域の大気下層の東風(貿易風)は平年よりかなり弱くなりました。

このような大気と海洋の状態は、エルニーニョ現象時の特徴が2026年春から次第に強化されていることを示しています。このことから、2026年春からエルニーニョ現象が続いているとみられます。

これから冬にかけてエルニーニョ現象が続く

今後、冬にかけてエルニーニョ現象が続く見込みです(100%)。実況では、太平洋赤道域の中部から東部に見られる海洋表層の暖水が、中部から東部の海面水温の高い状態を維持しています。大気海洋結合モデルは、今後も大気と海洋の相互作用により、太平洋赤道域の中部から東部の海洋表層の暖水を維持し、エルニーニョ監視海域の海面水温が冬にかけて基準値より高い値で推移して最盛期を迎えると予測しています。このため、今後の基準値からの差はこれまで最盛期の値が最も高かった1997年12月の+3.6℃に匹敵する見込みです。

以上のことから、今後、冬にかけてエルニーニョ現象が続く見込みです(100%)。

西太平洋熱帯域及びインド洋熱帯域の状況

【西太平洋熱帯域】8月の西太平洋熱帯域の海面水温は、基準値より低い値でした。今後、冬にかけて基準値より低い値で推移すると予測されます。

【インド洋熱帯域】8月のインド洋熱帯域(IOBW)の海面水温は、基準値に近い値でした。今後、冬にかけて基準値より高い値で推移すると予測されます。8月のインド洋ダイポールモード(IOD)指数は+0.35でした。

エルニーニョ現象とは?

「エルニーニョ現象」が発生するのは、太平洋赤道域です。このあたりは貿易風と呼ばれる東風が吹いているため、通常、暖かい海水は西側のインドネシア付近に吹き寄せられる一方、東側の南米沖では、海の深い所から冷たい海水がわき上がっています。

ただ、何らかの原因で東風が弱まると、西側の暖かい海水が東側へ広がるとともに、東側にわき上がる冷たい海水の勢いが弱まり、南米沖の海面水温が通常より高くなります。このように、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて、海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象を「エルニーニョ現象」と呼びます。
(「エルニーニョ(El Nino)」とは、スペイン語でイエス・キリストという意味で、クリスマスのころに海面水温が高くなることから名づけられました。)

「エルニーニョ現象」は海で起こる現象ですが、発生すると大気にも影響を及ぼし、世界各地で気圧配置などがいつもとは違った状態になります。雨や雪の降りやすい場所や、風の吹き方、気温などが変わってくるのです。「エルニーニョ現象」発生時の日本は、冷夏や暖冬になりやすいと言われています。