「なぜあの人が出世?」の疑問に答えます 815社17万人を分析してわかった「会社から期待されている人の習慣ベスト5」

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2024年に発行されてから、累計20万部を超えるロングヒットとなっているビジネス書『世界の一流は「休日」に何をしているのか』(クロスメディア・パブリッシング)。その著者である越川慎司氏の近刊『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』(ダイヤモンド社)が、大きな注目を集めている。タイトルにある通り、膨大なデータをもとに、周囲から高い期待を受ける人の特徴をまとめた1冊だ。

同じように仕事に取り組んでいても、周囲から高い評価を受ける人がいる一方で、努力が十分に評価に結びつかない人も。その差は一体どこから生まれるのか? その答えを115の習慣として示しているのが本書だ。会社から期待されている人たちの78%が用事がなくても社内を歩いていたり、89%がエレベーターで積極的に「ボタン係」をしていたり……。誰でも簡単に実践しやすい115の習慣が紹介されている。

会社で出世する人たちには意外な共通点が多くあった。それも、決して高度なテクニックではない。越川さんに“報われる努力”の仕方を教えてもらった。

評価は「仕事の結果」がすべて…では、ない!

上司から言われたことを忠実にこなし、同僚との和を大事にしてさえいれば一定の評価を受けられる--、それがかつての日本の会社に対するイメージだ。当然ながら、今や誰もがそんな働き方では通用しなくなっている。働き方改革を支援する会社「クロスリバー」の代表取締役社長・越川慎司さんが、今の日本の会社で“期待されている人”の特徴を調べようと思ったのも、この変化が理由だ。

「今は、言われたことさえやっていれば会社が最後まで面倒を見てくれるという時代ではなくなりました。だからこそ、自分で『何をするか』を選択する『キャリア自律』が大事になってきた。これは、社員が主体的にキャリアを築くという考え方。社員は自身のスキルや経験を磨くことで働く環境を選びやすくなるし、会社にとっても社員の成長は成果につながるので、両者にとってメリットがあります。これからは、この“キャリア自律”を追求することが、出世を目指す重要な手段の一つになってくることでしょう」

ただし、ここで立ちはだかるのが“評価”の曖昧さだ。会社や上司は、社員の一体何を見て「能力がありそうだな」「重要な仕事を任せてみよう」と期待を寄せるのだろうか。

「昔だと上司は、命じたことをきちんとやったかという”遂行能力と結果“を見ていました。ところが調べてみると、どうやら今は、能力や成果よりも意外と『人』を見ている。昨今はチームで成果を出すことが増えています。そうなると『誰と仕事をするか』が非常に重要になってくる。つまり上司やリーダーは、『この人と仕事をしたい』という視点で部下やメンバーを選んでいるということ。『優秀だから』『頑張っているから』と選んでいるわけではないのです。

でも多くの人はそこに気づいておらず、評価を得るために昔ながらの努力の仕方を続けている。日本の会社には、このように頑張っているのに報われない人たちが大勢います。今回私が『期待されている人』の習慣を1冊の本にまとめたのは、そんな人たちに正しい努力の方向を伝えたいと思ったからなのです」

現場と上司の意識のズレ

『会社から期待されている人の習慣115』では、社員側が「評価されている」と思っている特徴と、実際に上司側が評価している特徴の違いを、リストで紹介している。1位はどちらも「時間・約束を守る」で同じだったが、興味深いことに、大きく順位がズレているものもあった。それが以下の2つだ。

相手の話をよく聞く

大きな声であいさつする

「この2つは、社員側はあまり評価していなかったけれど、上司側は高く評価していたものです。『えっ、そんなことで!?』と思うかもしれませんが、このどちらも『上司は<人>を見ている』という話につながります。

誰しも、自分に関心を持ってくれる人を重視するもの。とくにチーム仕事が増えている昨今は、『相手主体』という姿勢は大事。実際我々の調査では『出世の早い人は頷きの角度が平均より4.5~6cm深い』ということが分かっています。しかもその人たちは、月曜の頷く角度がとくに深いのです。これは『機嫌戦略』で、不機嫌になりやすい月曜ほどあえて深く頷くことで、『この人はいつも機嫌がいい』という印象を与えられるから。つまり意図してそう振る舞っているのですが、この好印象の積み重ねが『期待』につながっていくものと思われます」

期待されるのは「巻き込み力が高い人」

「大きな声であいさつする」というのも、同様だ。

「これは、もっとも簡単でコスパのいい『好印象』の築き方。2人の人が仕事で困っていたら、誰しも無愛想な人より元気のいい人のほうを、まず助けようと思いますよね。他にも『相手の目を見て話す』や『周囲への感謝をよく口にする』が、社員側より上司側において順位が高かったことからも、不機嫌でいて得することはないことが分かります。

これらの結果から見えてくるのは、期待されるのは『巻き込み力が高い人』だということ。今は、働く人の80%以上が『人の力を借りないと成果を出すのは難しい』と答えています。『自分一人の力でできる』と答えている人はわずか13%しかいない。求められる成果のサイズが大きくなっているため、いかに人を巻き込めるかが出世には不可欠になっていると言えるでしょう」

そこで「巻き込み力」を高め、期待される人になるために、誰もがすぐ実践できて、かつ効果の高いオススメの習慣BEST5を越川さんに挙げてもらった。

朝のコーヒータイムで社内交流する

期待されている人の56%が、コーヒー時間を「社内交流」の時間ととらえている。

「昨今はどこも人手不足ですから、1足す1を3にするような成果の出し方をしなければなりません。そのためには多様な部門が交流したほうが新しい企画が生まれやすいことが分かってきています。

では期待される人はどうやって多様な交流を生み出しているかというと、これがコーヒータイムなのです。社内カフェや自動販売機の前でコーヒーを飲みながら、他部署の人たちと軽く雑談をして関係性を築いている。かつては喫煙所や飲み屋がこの役割を担っていた、というと分かりやすいかと思います。実際Googleなど多くのテック企業は、社食のランチや近隣のスタバを無料にするなどして、社員が多様な交流をはかりやすいようにしています。

期待される人は約45~60分に一度、かつ毎回同じ時間ではなく少し時間をズラしながら休憩を取っています。このとき是非、近くにいる人に軽く話しかけるようにしてみてください」

意識的に社内を「うろちょろ」する

期待されている人の80%が、1日に7回以上、自分の席を離れる。

「ひとつのタスクが自分の部署だけで完結することって、意外と少ないはず。複数の部署と何らか関わりが出てくるはずですから、スムーズに仕事を進行させるためにも、話しやすい関係性を築いておくことは大事です。社内をさまよっていると、偶然出会った相手と『そういえばあの件ですが……』と相談したりされやすくなり、結果的に仕事が大きく前進することも多い。

ちなみに期待されている人の6割以上が、訪問先への手土産を2つ以上用意していることも分かっています。これは訪問相手だけでなく、その周囲にいる人たちにも『皆さんでどうぞ』と渡すため。こうしてより多くの人との関係性を築いているのです。

かの有名な教育心理学者のクランボルツ教授は、『偶然の出会いでキャリアは決まる、だから意図的に偶然を作ってチャンスに変えよう』という“計画的偶発性理論”を提唱しました。期待される人は、これをしっかり実践しているようです」

会議前に2分間の「雑談」をする

期待されている人の66%が、週に3回以上、会議の冒頭で雑談をして場を和ませている。

「効率性を重視して無駄話を省こうとする人は多いですが、実はこの無駄話が場を和ませ、発言をしやすくしたり反論を受け入れやすくさせ、逆に無駄を減らしているのです。実際に会議冒頭の2分で雑談をした場合としなかった場合を比較したところ、雑談をしたほうが発言数が1.7倍、発言者数が1.9倍となり、終了時間も予定より早くなる確率が45%も上がっていました。

期待されている人は、この冒頭2分の雑談のネタも常にストックしています。最近ランチで行った新しい店、社内報に載っていた面白い数字、など。とくに、人は相手との共通点が見つかると腹を割って話しやすくなるので、雑談中に素早く共通点を見つけるといい。それには飲食ネタがオススメ。たとえば好きなランチを聞いて、相手が『僕はラーメンに目がなくて』と答えたら、『私はラーメンどころ九州の出身で……』などと持っていけますから。昨今はプライベートなことを質問すると問題になる可能性がありますが、飲食ネタなら安全です」

複数のAIを使い分ける

期待されている人の65%が、2種類以上のAIサービスを日常的に併用している。

「今や仕事においてAIを使っていない、という人はほとんどいないでしょう。ところが現実のAIの精度はというと、一番精度が高いChatGPTですら約87%なのです。こう聞くと、13%は間違っているのか……と不安になりますよね。そこで期待されている人は、ひとつのAIサービスに頼り過ぎないようにしているのです。

AIサービスも、提供元によってそれぞれ得意分野のようなものが違います。ChatGPTは〇〇が得意、対してCloudeは〇〇が得意、とういように。期待されている人は、各AIサービスの特徴を2週間に1度はチェックし、それぞれの得意分野に合わせて使い分けて、仕事の質を上げているのです。

どんなにAIが多くの仕事をおこなってくれるようになっても、そのAIを採用するのも、結果を反証するのも人間。最適な使い方をすることが大事です」

有給休暇の計画を年度初めに立てる

期待されている人の77%が、有給休暇の取得計画を「年度初め」に立てている。

「期待されている人は、一般社員より有給休暇の取得率が34%高いだけでなく、取得計画を立てる時期も早く、なんと77%が年度初めに計画を立てていることが分かりました。『あんまり休んでいると周囲への印象が悪くなりそう』とためらう人も多いでしょうが、しっかり休んで成果を出している人と、休んでいなくて成果を出している人がいたら、前者のほうが優秀な気がして抜擢しよう、という気になりませんか?

また前もって休む日を決めておくと、きちんと周囲に引き継ぎをするなど、休むためにしっかり準備をするようになります。期待されている人は普段から雑談などを通して人間関係をしっかり築いているので、この『巻き込み力』も高く、休んでも問題が起こりにくいのです。

近年、有給休暇の取得が強く勧められるようになっていますが、その傾向はこの先もっと強まるはずです。多くの仕事はAIが代わりにやってくれるようになりますから。そうすると人間は、AIに入力する前のアイデアなどを考えることが主な役割になってくる。そのためにもしっかり休んでアイデアのヒントをチャージすることが重要になってくるのです」

上記は、どれも難しいものではない。頑張っているつもりなのに評価されない、という人は、まずこの5つから実践してみるといいだろう。

取材・文/山本奈緒

後編では、ワーク・ライフ・バランスが強く問われる今、出世を目指すことの意味についてうかがう。

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