県内でも26地区が「交通空白」 どう確保する地域交通?【徳島】
「行きたいときに自由に使えないのは、誰かを頼らなければならないのは苦しいですね」
買い物をしたい、病院へ行きたい、しかし、移動する手段がない。
県内でもこうした「交通空白」地域が広がっています。
人口減少や路線バスの廃止が進む中、県内の交通空白の現状と解消に向けた動きを取材しました。
(豊成アナウンサー)
「ここからは、全国で広がる『交通空白』についてお伝えします」
「まず、交通空白とは、バスや電車などの公共交通機関がなく、通学や通院、買い物といった日常生活に必要な移動手段が十分に確保されていない地域のことです」
(豊成アナウンサー)
「国土交通省の最新の調査によりますと、こうした地域は全国で892市町村、2740か所あり、2025年の調査に比べ683か所増加しています」
(豊成アナウンサー)
「背景にあるのは、人口減少やバスの運転手不足による路線バスの廃止です」
「国交省によりますと、2008年からの15年間で、全国の乗合バスは約2万3000キロの区間で運行が廃止されました」
(豊成アナウンサー)
「県内も例外ではありません。2026年の調査では、鳴門市や小松島市、阿南市や那賀町など9つの市や町の26地区が『交通空白』地区となっています」
「こうした地域で、住民の移動手段を確保するため、どのような取り組みが進められているのか取材しました」
午前9時。
交通空白地区の一つ、鳴門市大麻町の集会所に住民が集まってきました。
この日行われていたのは、交通空白解消に向けた「移動支援事業」の実証実験。
社会福祉法人などと連携し、地域の集会所と駅やスーパーを結ぶもので、この日は70代から80代の8人が利用しました。
(利用者)
「連れて行ってくれてありがたいです。普段困っています。病院行くときはタクシーで行っている」
(利用者)
「今までは車運転していました。骨折してから運転を子どもに止められて」
「私ら若いころは(バス)もこの前通っていました、この道を。もうここ通っていません」
2025年12月に始まったこの実証実験は、毎週木曜日に無料で行われています。
もともと地元の社会福祉法人が利用者向けに行っていた送迎サービスを、市がガソリン代や自動車保険料を負担することで事業化しました。
利用者にとっては、生活に欠かせない大切な移動手段となっています。
鳴門市は2026年度、このような交通空白の解消に重点的に取り組む「地域交通推進課」を新たに設置しました。
(鳴門市 地域交通推進課・喜多 剛士課長)
「鳴門市に住んでいる方の幸福度を上げるという意味でも、交通は一つ重要な要素になると考えておりますし、町全体の交通体系の見直しにも、長期的な視点でチャレンジしていけたらなと考えている」
鳴門市では、かつて市営バスを運行していましたが、利用客の減少や財政状況の悪化に伴い、2010年に事業から撤退しました。
その後、路線を引き継いだ民間バス事業者も、一部路線の変更や減便を余儀なくされています。
さらに、2年前に始まった別の地区での移動支援事業は、協力事業者の都合で運行休止に。
交通空白の解消に向けて、市は現状をどう捉えているのでしょうか。
(鳴門市 地域交通推進課・喜多 剛士課長)
「各地域で協力してもいいよと、手を上げていただいたみなさま方のご協力の下で(事業者の)善意で成り立っている事業。それだけではなかなか続いていかないと市の方も認識している」
一方、交通空白が広がる背景には「家庭環境の変化」も、深く関わっていると言います。
(鳴門市 地域交通推進課・喜多 剛士課長)
「かつてはご高齢者のみの世帯は少なくて、2世帯、場合に行っては3世帯の中で生活されていて、買い物や病院に誰か送迎してもらえる方がいた。核家族化が進んでいる中で、足となってもらえる方が少なくなって、公共交通の重要性が増した、その中で国の方も今交通空白地域を埋めていこう(と取り組んでいる)」
民間調査会社の試算では、交通空白による経済損失が、全国で年間約10兆円に及ぶとされています。
家族の送迎で働く時間が限られ所得が低下したり、外出が減って消費が落ち込むためです。
こうした中、国交省は、2025年度からの3年間を「集中対策期間」とし、交通空白解消に向け自治体への財政支援を強化しています。
鳴門市では今後、利用者の予約に合わせて運行する「デマンド交通」や、一般ドライバーが自家用車で送迎する「公共ライドシェア」など、地域の実情に合わせた新たな交通手段を検討していくということです。
こうした動きは県内各地に広がっています。
阿南市の新野地区では、地元のタクシー事業者が手がける「公共ライドシェア」が2026年度から運行を開始。
海陽町宍喰でも町営バスの廃止に伴って試験導入された「公共ライドシェア」が、10月から本格運行へ移行します。
人口減少が進む中、空白地区はさらに増える恐れがあります。
持続可能な公共交通をどう確保していくのか、地域の実情に合わせた取り組みが求められています。
