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日本品質を実現するための『R&Dビジョン』

8月31日、日本発の新たな自動車ブランド『エムタ』(EMTA)を展開するモビリティカンパニー『EMT』が、メディア向けセッションを開催。彼らが目指すブランドのあり方や、『日本品質』を実現するための『R&Dビジョン』などを紹介した。

【画像】新たなティザー画像も公開!『EMT R&Dセンター』で開催されたメディア向けセッション 全11枚

EMTは昨年1月30日に、オートバックス、アネスト岩田、中国の奇瑞汽車(チェリー)、国軒高科(ゴーション)、悦達集団(ユエダ)の5社の出資により設立された日本企業。今年5月にエムタのブランド事業を発表し、7月に今回の会場になった『EMT R&Dセンター』を開設した。


EMTは2029年までに計4車種を展開予定。第1弾は来年発表の軽EVで(左上)、他はこのイメージ画像を見る限りはコンパクトカー、SUV、MPVとなりそうだが、詳細は明かされていない。    平井大介

今後は中国に生産拠点となる『EMT工場』を10月に竣工し、2027年には市販車第1弾として軽乗用車EVを発表する予定だ。その後も、2029年までに計4車種を展開するとしている。

軽EVは日本向けモデルとなるが、他の3台はグローバルでの展開も想定されている。今回デザインパートで投影されたイメージ画像を見る限り、コンパクトカー、SUV、MPVとなりそうだが、詳細は明かされていない。

また、今回初公開されたティザー画像では軽EVの愛らしいフロントフェイスがお目見えしているが、これはかなり市販モデルに近いそうだ。本来であればこの日、実験車を会場でお披露目する予定だったが、台風の影響で到着が間に合わなかった。なお到着後は日本国内適合実験が本格スタートし、来年のデビューに備えることになる。

キーとなった言葉は『日本品質』

今回のセッションでキーとなった言葉は、『日本品質』だ。

軽EVが中国で生産され、出資元にチェリーの名前があることで、開発から生産まで全てが中国側で行われると思いそうだが、それは事実でない。他の多くの自動車と同じように、チェリーを含めた様々なパートナーやサプライヤーから供給を受け、それらを統合し、EMTによる意思決定の元で開発を進めている。


今回初公開されたティザー画像では軽EVの愛らしいフロントフェイスがお目見え。これはかなり市販モデルに近いそうだ。    EMT

EMTは神奈川県横浜市のみなとみらいに本社があり、R&Dセンターは同じく横浜市に作られた。実はアネスト岩田と同じ敷地内となるが、みなとみらいに近い立地と偶然空いていたスペースの関係で決めたそう。

これらの事実から導き出されるのは、あくまで彼らが『日本の企業として、日本らしい製品』を作ろうとしていること。エムタの製品には、『日本らしいきめ細かさが活かされる』というのである。

メイド・イン・ジャパンとして世界に向けて

日産自動車に約30年在籍し、初代リーフではプログラムダイレクターとしてグローバル開発をリードしたというCTOの山本浩二氏によれば、今回は中国の力を借りて製品化を実現しているが、他の3車種に関しては日本での生産も視野に入れているという。そのうえで『メイド・イン・ジャパン』として、世界に向けて展開したいそうだ。

市販車第1弾モデルとなる軽EVは、ゼロから開発した新プラットフォームに、最新のeアクスルと大容量床下バッテリーを搭載したモデル。フルスタックOTA(無線アップデート)により納車後もアップデートが可能なSDVとなり、クラウドサーバーは日本に置くとのことだ。

また、スマートフォンとシンクロし、解錠、起動、シート位置、ミラー、エアコン温度、画面設定などをお気に入りの設定に自動変更することが可能。エンドトゥエンド方式のレベル2自動運転システム搭載も開発しているが、これはまだ日本の公道で導入されていないので、将来的な計画となる。

価格は「十分にチャレンジできる」

販売ネットワークに関しては、現在、全国に約600店舗あるオートバックスのうち、400ほどの車両販売が可能な店舗の中で検討しているという。しかしそれでは全国をカバーできず空白地域ができるため、同時に販売会社=ディーラーと交渉を進めている。

交渉を担当するCMOの打越晋氏は、まだ発表前のイラストを見せると「全員が売れると言ってくれます」と手ごたえを感じている。また、アフターサービスがガソリン車に比べて少ないEVはディーラーの利益が少ないため、既存の枠組みとは違う形を考えているとのことだ。


EMT R&Dセンターで開催されたメディア向けセッション。左からTCSディレクターの茂木雅之氏、打越晋CMO、山本浩二CTO、デザイナーの野口孝士氏。    平井大介

ターゲットユーザーに関しては、特にペルソナを設定していない。これは都市部でアーリーアダプターから積極的に選んでもらうというよりは、軽乗用車のEVを本当に必要としている地方でこそ選んでもらいたいという想いがある。

価格に関してはもちろん公表していないが、CMOの打越晋氏は、ガソリン車と同等レベルの価格帯で準備しており、「十分にチャレンジできる」と胸を張る。また、価格破壊が目的でも、補助金頼りでないことも強調した。なおバッテリー容量は大小2種類用意する予定で、当然小さいほうが価格的には目玉となるだろう。

日本企業として品質の高い製品を作り、目の肥えた日本の顧客に認めてもらうことで、グローバルで成功するブランド力を身につけることを目指す『エムタ』。その目的はテクノロジーの追求ではなく、多くの人々を笑顔にすることとし、それを実現するための最前基地が今回の会場となったR&Dセンターとなるそうだ。

EMT=エムタの挑戦は始まったばかりであるが、少なくとも新しい何かが生まれるポジティブな空気感は伝わってきた。今後もその行方を取材していきたいと思う。