アルヴェルより足りない部分を補う走りの質感 新型『日産エルグランド』を渡辺敏史が吟味(後編) ドライバーに楽しさ、パッセンジャーに優しさを
他のHEVシステムとは一線を画する美点
今回の新型『日産エルグランド』試乗は東名東名~新東名の高速区間と御殿場、箱根周辺の一般道やワインディングと、短いながらもひと通りのシチュエーションを試すことが出来た。
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運転する側にしてみれば、全域モーター駆動となるeパワーのドライブフィールはクルマをひときわ上質にみせてくれるわけで、その点はエルグランドも同じだ。発進から120km/hの巡航域に至るまでのひたすら滑らかな加減速の感触は、他のHEVシステムとは一線を画する美点といえるだろう。

新型『日産エルグランド』を、ひと通りのシチュエーションで試すことが出来た。 山本佳吾
エンジン稼働時の音や振動も気づかないほど小さく押さえられているのは、eアクスルやインバーター等を一体化しひとつのケースーの中に封じ込めた5in1構造に加えて、エンジンノイズを実に60%軽減するというアクティブ・ノイズ・コントロール(ANC)によるところが大きい。こちらはロードノイズも50%軽減するということで、車内の静粛性にも大きく貢献している。
と、ここまで強力なリダクションシステムとあらば乗員が圧迫感を覚えることもありそうだが、エルグランドの場合、試乗の始終でも全く違和感は抱かなかった。初めて車中にANCを採用したのはそれこそ日産のブルーバードだったと記憶するが、この間の技術的な進化に加えて、人間の側もノイキャンのある暮らしに慣れてきたという一面も影響しているのかもしれない。
ちなみにANCはオンオフの設定が可能なほか、運転席周辺や2列目シート周辺の消音を強化するゾーンコントロール機能も備えている。
タイヤが18インチの決め打ちになっている理由
新型エルグランドはeパワー+eフォースを筆頭に技術的にも満艦飾状態ゆえ、自重は2.4tを突破する。同じ四駆で比べればアルヴェルのエグゼクティブラウンジより約150kg重い計算だが、乗り心地とハンドリングのバランスもきっちり纏められていた。
全輪全域モーター駆動のeフォースは加減速時のピッチングのみならず、コーナリング時の姿勢保持も各輪の増減速で作り出すことが可能だ。そこに1/100秒単位でバネ下入力をスキャンしながら最適な減衰力を設定するIDSダンパーが連携することでその乗り味を支えている。

タイヤは235/60R18の1サイズで、取材車の銘柄は横浜ゴムのアドバンV6だった。 山本佳吾
制御のパラメータは当然膨大なものになるはずだが、試乗ではあらゆる場面でも自然に振舞い、機械的な介入を感じさせることはなかった。
グレード問わず、タイヤサイズが18インチの決め打ちになっている理由も、この統合制御の作動条件を統一して動的質感を担保する意味合いも大きいのだろう。ドレスアップはオーナーのオウンリスクながら、インチアップなどバネ下弄りは慎重に施した方がいいと思う。
第3世代のeパワーに加わったもの
120km/h巡航から峠の上り下り、街中走行なども含めた試乗時のエルグランドの燃費は100km以上を走って11.5km/Lといったところだった。
インスタントな計測ゆえ断じることは出来ないが、感覚的にはアルヴェルのHEV四駆に比べるとちょっと劣るかなという手応えだった。が、日産のエンジニアは双方を同時並走させての燃費でアルヴェルを上回ったと自信をみせる。

第3世代eパワーを搭載する新型エルグランド。エンジン自体はZR15DDTeと呼ばれる直列3気筒。 山本佳吾
仮に燃費で若干下回ろうが、或いは内装の見た目のご立派さが物足りなかろうが、新型エルグランドにはそれを十分に補える走りの質感の高さがある。
新型キックスも然りだが、第3世代のeパワーは従来からの日産の走りに宿る地に足がしっかり着いた安心感をベースに、人当たりの柔らかさや丸さがどっさり加わったようにうかがえる。ドライバーには楽しさを、パッセンジャーには優しさを感じさせてくれる、そんな新しい日産の旗頭として相応しいクルマといえるだろう。
日産エルグランドG eフォースのスペック
全長×全幅×全高:4995×1895×1975mm
室内寸法 長×幅×高:3165×1730×1315mm
ホイールベース:3000mm
トレッド(前&後):1640mm
最低地上高:165mm
車両重量:2440kg
車両総重量:2825kg
乗車定員:7名
最小回転半径:5.8m
燃料消費量(WLTCモード):16.8km/L
駆動方式:4輪駆動
サスペンション(前/後):ストラット/マルチリンク
ブレーキ(前&後):ベンチレーテッドディスク
タイヤ(前&後):235/60R18
エンジン
型式:ZR15DDTe
形式:直列3気筒DOHC
ボア×ストローク:79.7×100.1mm
排気量:1498cc
圧縮比:13.0
最高出力:140ps/5000rpm
最大トルク:23.2kg-m/3600rpm
燃料タンク容量:67L(レギュラーガソリン)
モーター(前/後)
型式:YM52/MM45
最高出力:205ps/4400-8500rpm/136ps/5500-1万900rpm
最大トルク:330Nm/0-4300rpm/195Nm/0-3000rpm
価格:757万9000円

日産エルグランドG eフォース 山本佳吾

