【高校野球】横浜&智弁和歌山苦しめた“紀州の怪腕”市和歌山・丹羽涼介、美容師の思い絶ち「プロ一本」決断の理由激白
最速151キロを誇る市和歌山・丹羽涼介投手(3年)がこのほど、プロ志望届を提出した。昨年のセンバツで147キロをマークしドラフト候補として注目を集めた右腕だが、今春には高校で野球をやめて美容師になる可能性も語っていた。紆余(うよ)曲折を経て、最終的にプロ入りを目指すことを決断した理由を激白した。(取材・構成=高柳 義人)
迷える怪腕が最終決断をした。8月下旬だった。「プロを目指します」。夏休み中に学校に出向き半田真一監督(46)に直接、思いを告げた。
2年生だった昨春のセンバツでは世代屈指の横浜・織田翔希投手(3年)と互角に投げ合った。敗れたものの、147キロをマークし、一躍脚光を浴びた。だが、今年3月には「プロにいくか、野球をきっぱりやめて美容師(を目指すこと)も考えています」と悩める胸中を明かした。NPB12球団のスカウトが熱視線を送っていたドラフト候補生の衝撃発言は、大きな波紋を呼んだ。
美容師に興味を持ったのは高校1年の冬だった。つらい練習で野球への情熱がなくなりかけていた時に、美容系の道に進んでいた友人から話を聞き、魅力を感じた。
その決断を覆したのは、ライバル智弁和歌山の存在だった。春季県大会では6回5失点でコールド負けを喫した。そこから球速が130キロ台になるなど不振を極めたが、「夏の結果で(プロか美容師か)進路を決めたい」と臨んだ夏の和歌山大会では準々決勝で対戦。150キロをマークし7回まで無失点投球。0-2で惜敗も、全国制覇チームを苦しめた。
「智弁(和歌山)戦でああいうピッチングが出来て、野球の可能性を感じたのでチャレンジしてみたいと思いました」。甲子園にも足を運んだ。紀州ボーイズのチームメートで智弁和歌山の背番号12、井戸本陽向(3年)の応援でアルプス席から初戦の社戦、準決勝の横浜戦を観戦。その準決勝で楠本龍生二塁手(3年)が織田から放った3ランには鳥肌が立った。「(センバツで)自分が投げた時は歓声が全く聞こえなかったんですが、楠本がホームランを打ったときのスタンドのどよめきがすごかったです」。そして心の底から思った。「野球をやりたい。うらやましかった。自分も投げたかった」。プロを目指すことを決意した瞬間だった。
美容師への思いは断ち切った。「その時は本当に考えていましたが、今はないです。自分でやるのはゼロです。プロに行くと決めた以上、なめたことは言ってられないです」と言い切った。「(将来は)調子に関係なく、チームを勝たせるピッチングをしたい。髪の毛は清潔に保ちたいです」。人生の決断を下した“紀州の怪腕”は吹っ切れていた。ドラフト会議は10月22日、運命の日を待つ。
〇…丹羽の武器は直球だけでなく、スライダー、フォークのキレも抜群だ。さらに今年、カットボールも習得。夏の決戦1週間前にはチェンジアップをモノにした。智弁和歌山の楠本は甲子園のお立ち台で「(対戦した投手で)一番良かったのは丹羽です。速かったしスライダーが良かった」と真っ先に名前を挙げた。「ホンマですか?」。ライバルの言葉に丹羽はうれしそうにはにかんだ。
◆丹羽 涼介(にわ・りょうすけ)2009年2月10日、和歌山県生まれ。17歳。小学1年で名草少年野球団で野球を始める。明和中では紀州ボーイズに所属し、3年の春季全国大会準優勝。市和歌山に進学し1年春からベンチ入り。2年のセンバツに出場。2年秋から1番を背負う。MLBに興味があり、ポール・スキーンズ、メイソン・ミラーのトレーニング映像をチェック。ヒップホップが大好きで和歌山出身のラッパー・MIKADOが憧れ。184センチ、77キロ。右投右打。
