渋谷の再開発は2034年度まで続く(C)日刊ゲンダイ

写真拡大 (全4枚)

 渋谷では、2000年代初頭から大型開発が続いている。

西武は渋谷店閉店、池袋本店はヨドバシカメラに…海外ブランドに振り回される国内百貨店の実態

 最初の完成形は2012年に東急文化会館跡地にできた「渋谷ヒカリエ」で、駅周辺だけ見ても、18年に東横線ホーム跡地に「渋谷ストリーム」、19年に東急東横店跡地に駅直結の「渋谷スクランブルスクエア」と東急プラザ跡地に「渋谷フクラス」……といった具合で、とにかく次から次へと大型複合施設が誕生した。

 宮下公園周辺もリニューアルが進んで、17年には都営住宅跡地に複合施設「渋谷キャスト」、公園そのものも20年に低層複合施設「MIYASHITA PARK」として生まれ変わっている。

 一般的な再開発は、ひとつの事業の完了で多くの工事も終了するが、渋谷は場所を変えながら次、またその次の工事も始まり、終わりが見えない。開発を主導する東急の堀江正博社長が自らスペインにある未完成の教会、サグラダ・ファミリアにたとえるほどだ。

「100年に1度」とも言われる大開発で、あちこちのエリアに姿を変えたビルや施設が短期間のうちに乱立すると、「常に工事している」「駅を出ると、ここはどこ? 状態」といった不満が上がるのも無理はないだろう。

 その中でも、乗り換えの難しさも相まって「迷宮」と呼ばれるのが、各線が接続する渋谷駅の構造だ。

銀座線3階、山手線2階…ホームの点在で混乱

 この「迷宮」はいわば再開発による“後遺症”ともいえるが、何とか迷わずに済む攻略法はないのか。実はある。攻略法の前に、駅の構造をややこしくしている原因について説明しよう。

 渋谷はその地名の通り谷にあり、宮益坂を下ったスクランブル交差点辺りは谷底だ。その証拠に地下を走っていた銀座線は渋谷の手前で地上に顔を出し、<図1>の通り銀座線ホームは3階にある。同様に地上を走るJR山手線と京王井の頭線はどちらも2階だ。一方、地下鉄に目を向けると、東京メトロ半蔵門線と東急田園都市線は地下3階、東京メトロ副都心線と東急東横線は地下5階にそれぞれホームがある。

 このように各路線のホームが地下5階から3階に点在している上、改札が必ずしもホーム階にあるわけではないため、ヨコ移動だけでなく、上下のタテ移動を余儀なくされる。エレベーターや階段でタテ移動しながら、ヨコ移動も繰り返すうちに不慣れな人は頭が混乱するのだ。

 しかも再開発に連動する形で東急東横線、東京メトロ銀座線、JR埼京線のホームは、いずれも現在の場所に移動した。ホームの移動も、それまで蓄積された地理感覚を狂わす要因で、渋谷駅の迷宮化に拍車をかけている。

 そんな事情を踏まえた上で、“渋谷駅ダンジョン”の攻略法を紹介しよう。ひとつは、各路線のホームと商業施設などの位置関係をざっくりと理解すること。

これからは「面」でつないでいく

 たとえば京王井の頭線は渋谷マークシティ、JR線と東京メトロ銀座線は渋谷スクランブルスクエア、東急田園都市線・東京メトロ半蔵門線はハチ公広場から渋谷ヒカリエにかけて、そして東急東横線・東京メトロ副都心線は渋谷ヒカリエと、それぞれ把握しておく。もちろん、細かくチェックすると、記載した商業ビルとは別のビルにかかることもあるが、ざっくりとでいい。これでタテの位置関係が大ざっぱに把握できるだろう。

 そうはいっても、それだけで“ダンジョン”から意図したところに脱出するのは難しい。100年に1度の開発には、さらなる“攻略法”も用意されている。

 これまでの渋谷駅周辺の開発は、いくつもの商業ビルを「点」で建てていくものだったが、これからはそれらを「面」でつないでいくフェーズに入る。そこで、ポイントになるのが「アーバン・コア」と「スカイウェイ」だ。この2つが、“ダンジョン攻略法”として重要な意味を持つ。

「アーバン・コア」とは、地下5階から地上3階までをエスカレーターやエレベーターでつなぐ巨大な吹き抜け空間で、すでに開業した商業ビルには設けられている。第1号は渋谷ヒカリエで、1階正面玄関前にある地下3階から4階までをつなぐエスカレーターが設置された吹き抜けがそれだ。2つ目は渋谷ストリームに隣接するアーバン・コアで、東口地下広場がある地下2階から渋谷駅東口歩道橋がある2階までつなぐ。今後開発される商業ビルにも整備される予定だ。

将来的には道玄坂から宮益坂まで一本道に

 アーバン・コアの活用は「スカイウェイ」と密接に結びついている。

 目下建設中のスカイウェイのひとつは、東京メトロ銀座線ホームの真上を通り、渋谷駅を東西に横断するように設けられる空中デッキや回廊のことで、30年度の全面開通を目指している。

 つまり、目の前のビルに飛び込み、アーバン・コアでスカイウェイ階に上がれば、その空中回廊を経由して、さまざまな場所にダイレクトにアクセスできるようになるのだ。

 前記した銀座線上部のスカイウェイが開通すると、道玄坂の坂上から宮益坂の坂上までそのスカイウェイを含む歩行者デッキが一体となって一本道で行けるようになる。谷底地形ならではの歩行者動線だ。

 このほかJR渋谷駅西口駅前広場から国道246号を越えて桜丘方面には2階レベルで歩行者動線がつながる。渋谷東口歩道橋から駅方面のほかに代官山方面に向かう動線がある。

 つまり、渋谷駅を中心に東西南北がつながる上で不可欠なのがアーバン・コアということになり、渋谷の東西を結ぶ大きな空中回廊がスカイウェイという位置づけだ。アーバン・コアでタテの位置関係をざっくり把握することで、目当ての歩行者動線を備える階に移動すれば、そこからはスムーズに目的地に向かって移動できるのだ。

 渋谷の再開発が完了するのは34年度の見込み。それまで“ダンジョン”はもっと複雑化するかもしれないが、アーバン・コアを基準にヨコ動線を覚えれば、“ダンジョン”からの脱出は簡単だ。