〈BBQ客のごみが「クマ」を呼ぶ?〉奥多摩の河川敷に大量の食べ残し、住宅地にも不法投棄…自治体は対策も悲鳴「状況は変わりません」
夏休みが終わり、9月に入った。残暑が続く中、連休などを利用してアウトドアレジャーを楽しむ人もいるだろう。一方、近年は利用客によるバーベキューごみの投棄など、マナーの悪化が問題となっている。中でも東京の山間部に位置する奥多摩地域では、多摩川などの河川敷に多くの人が訪れることに伴い、ごみの問題が深刻化。自治体も対応を迫られている。その実態について、奥多摩町などを取材した。
【画像】河川敷や遊歩道に捨てられた大量のゴミ、ゴミ、ゴミ…なかには住宅地に放置されるケースも
河川敷に放置された大量のごみ…「クマなどの野生生物を誘引する可能性があります」
「河原へのゴミの放置は景観を悪くするだけではなく、クマなどの危険な野生生物を誘因する可能性があります」
こうしたコメントとともに、河川敷に捨てられた大量のごみの写真をXに投稿したのは東京・奥多摩の観光協会だ。
この投稿に対し、「罰金制度設けるしか対策ない」「監視カメラつけたらいいと思う」など、対策を求める声が多くあがった。
奥多摩町は、その全域が秩父多摩甲斐国立公園に指定されており、自然保護の観点からさまざまなルールが設けられている。しかし、ごみの放置や直火での焚火など、マナー違反行為が後を絶たないという。
河川敷のごみ投棄の現状について、奥多摩町観光産業課の担当者はこう説明する。
「コロナ禍以降、河川を利用する来町者が増加したことにより、ゴミの放置も増えてきました。主に氷川渓谷、鳩ノ巣渓谷の河原やその周辺の遊歩道、観光トイレ等に放置されています」
町のホームページによれば、ほかにも住民用ごみステーション周辺や観光用公衆トイレなどへの悪質な不法投棄が目立っているという。
放置されたごみは、町観光産業課職員や観光案内所職員が回収を行ない、町の廃棄物集積施設である奥多摩町クリーンセンターへ持ち込む形で処理しているという。
観光ごみ袋、ICTゴミ箱、防犯カメラ…それでも「ごみの放置がある状況は変わりません」
こうした状況を受け、町は対策に乗り出している。
「観光マナーとして、基本的にごみを持ち帰るよう周知しています。電車で来町し、どうしてもバーベキューごみ等を持ち帰れない場合は、奥多摩駅前の観光案内所で観光ごみ専用ごみ袋(可燃、不燃、資源の3種類)を販売し回収も行っています。
また、今年度は、実証実験としてJR青梅線鳩ノ巣駅に、クラウドを通じてごみの量が把握できるICTゴミ箱(可燃、不燃、資源の3種類)を8月8日から9月23日までの47日間2箇所設置し、捨てられる観光ごみの検証を実施しています」(奥多摩町担当者)
さらに、奥多摩駅周辺や氷川小橋に防犯カメラを設置するほか、マナー啓発の動画やチラシを日本語と英語の2言語で作成し、外国人に対しても啓発を強化。
これらの取り組みの甲斐あってか、ごみの放置は減少傾向にあるものの、まだ道半ばだ。
「この2~3年は町のホームページや観光協会のSNSなどで観光マナーの周知を行うとともに、8月のお盆期間中はマナーアップ強化キャンペーンとして、行政や関係機関と地元事業者が協力して河川利用の周知や注意喚起を粘り強く実施しています。ただ、ごみの放置は減少傾向にあるものの、まだまだごみの放置がある状況は変わりません」
河川敷でのバーベキューを原則禁止した狛江市では「2万円以下の過料」
住民からの苦情などを受け、バーベキュー自体を原則禁止した自治体もある。その一つが、多摩川の下流域に位置する東京・狛江市だ。
同市では「狛江市多摩川河川敷の環境を保全する条例」を2012年に施行。多摩川河川敷環境保全区域でのバーベキュー等および花火を禁止することや、多摩川河川敷環境保全区域内でバーベキュー等および花火をしようとする者に対し、指導員による勧告を行うことなどを定めた。さらに2013年4月1日より、バーベキュー等および花火をした者に対し、2万円以下の過料を科すことも決定した。
狛江市環境部環境政策課の担当者は、条例の施行に至った経緯についてこう説明する。
「狛江市では、多摩川の河川敷の近隣に多くの住民の方が住んでいます。特に、マンションに住む方からは、夏場になると『バーベキューの煙や臭いが毎日のように漂ってくる』ですとか、中には『睡眠の妨げになっている』といった声も寄せられていました。
ごみに関しても、バーベキューなどで使用して残った食材や紙皿などのごみが大量に不法投棄されていたという状況でした」(狛江市担当者、以下同)
市では検討を重ね、条例を制定。その後、河川敷の状況に変化はあったのか。
「条例制定以降、多摩川の河川流域の監視業務などを外部に発注する形で実施しています。そうした取り組みもあり、花火やバーベキューの使用等については、件数としてはかなり減ってきています」
バーベキューを始めようとする利用者に対して、口頭で注意するようなケースはあるものの、実際に過料の徴収に至ったケースに関しては、「昨年度と今年度では、ない」と担当者は話した。
多くの自治体が面している多摩川の河川敷は、アクセスの良さもあり、多くの人が訪れる。
身近に自然を楽しめる貴重な場所である一方で、住民の生活や自然環境への影響は少なくない。誰もが気持ちよく利用できる場所であり続けるためにも、訪れる際はマナーとルールの遵守が求められる。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
