建設業に深刻な影響

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 TBS系「報道特集」で「このまま(ナフサの供給不足)の状態が続けば6月に日本は詰む」との発言が、随分と騒ぎになったようだが、その実感が今もってない。

【インタビュー】ナフサ不足《6月に詰む》発言の境野春彦氏が警鐘「国民生活を守るには中東産原油・ナフサの調達しかない」

 米国のイラン攻撃以降、自分のXにナフサ不足を懸念する発信を開始。番組ディレクターの目に留まり、TBSに呼ばれて日下部キャスターと1時間ほど対談させていただいた。その一部が放映されただけで、普段テレビを見ない自分としては、「ああ、こういうふうに演出してくれるんだ」と、録画を見てノンキに感心していた程度だった。

 しかし、放送の翌日に高市早苗氏のXで「ナフサは足りている」「番組は事実誤認」との発信がなされた直後から、Xやユーチューブ、私の会社のメールにまで「デマを流すな」「公共の電波で嘘を流していいのか」などの誹謗中傷が相次ぐこととなった。

 そのこと自体は、しょせん匿名の誰かが届かない石を投げているにすぎず、全く意に介するものではなかったのだが、気になったのは高市氏のXの内容である。

 まず最初に一番頭に来たところから言わせていただくと、「事実誤認」という言葉だ。そもそも、私もTBSも官邸からは「何も確認されていない」のである。「あれは何に基づいての発言なのか、6月に詰むという根拠は?どんなデータを用いたのか」などとは一言も聞かれていない。要するに「勝手に断定してきた」のであって、そのこと自体が実に不愉快極まりない。

 さらに本質的なところで言わせてもらえば、「ナフサは4カ月分ある」という実に根拠が曖昧な表現である。

 ナフサは通常、ガソリンなどの輸送用燃料と異なり、原料として使用されるがゆえに、原油を分解したらすぐに「クラッカー」に投入される。よって運転在庫は通常半月分ぐらいしかない。

 では、「4カ月の在庫」とは何を指すのか。それは「これから国内で生産する分、これから輸入する分が、2カ月分についてはめどが立っている」ことと、「ナフサから分解されて作られた基礎化学品以降の製品在庫が2カ月分ある」ということであって、つまり、まだ国内の手元には存在しないのである。

 そして案の定、6月に公表された4月の輸入実績は、ホルムズ海峡の封鎖によって中東ナフサの輸入が急減した。前年の196万キロリットルに対して110万キロリットル、実に43.7%減となり、まずは塗料用シンナーの原料となるトルエン、キシレンなど芳香族系の大幅減産に直結。建設業を中心に一部産業に深刻な影響をもたらすに至った。

 高市政権の基本方針、それは根本問題の解決ではなく、「安心感の演出」でしかない。そのことを「報道特集」への出演により、身をもって体感した。私にとって貴重な経験となったのである。