広島テレビ放送

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 呉市の夜の名物「屋台」。今年春、オープンした店が人気を集めています。切り盛りしている男性は呉の屋台最年少の24歳、若き店主が奮闘する姿を追いました。

■客
「若すぎるわ」
「広島?」
「音戸よ」

■店主
「あれですよね、若いから箔(はく)がないですよね」

 笑い声が絶えない屋台。見知らぬ者同士でも酒を酌み交わせば、たちまち古い友のような関係に。

■客(呉市)
「マスターと話せるし、他の方とも話せるというのが、やっぱり屋台いいなと思ってきちゃいました」
■客(岩国市から)
「いいですよね。知らない人と気軽にお話ができるし、お互い酔っ払いですし。サイコー!!」

 切り盛りする平川多聞(たもん)さん。屋台の店主としては異例の24歳という若さ、呉屋台の中では最年少です。
 店は、いつも笑い声でいっぱいです。

 平川さんの前職は水産加工業。曽祖父が創業し、家族経営で60年以上続いていましたが、徐々に経営が悪化。そして、2024年秋に予期せぬ出来事が起き、廃業へと追い込まれました。

■屋台店主 平川 多聞 さん(24)
「長年、赤字体質の経営が続いたのと、父が交通事故で亡くなってしまったので」

 会社の立て直しを図ろうしていた最中(さなか)の出来事でした。

■屋台店主 平川 多聞 さん(24)
「家の仕事もない。今まで当たり前に行ってたところが無くなった。居場所もない、話す相手もない、 まあまあキツイですよね」

 父を亡くし、職を失ったあとに始めた仕事は屋台。
 もともと飲食業に興味があった平川さんに、先輩が呉市が屋台の出店者を募集していることを教えてくれました。一念発起し、応募したところ見事、合格。

■屋台店主 平川 多聞 さん(24)
「勢いと先輩らにバンバンとたたかれて、何とか重い腰をあげて、人に助けてもらって」

 屋台の準備が始まるのは、まだ日が高い夕方4時半ごろ。設営は、ほとんど一人で行っています。駐車場から約200メートル、数百キロの重さの屋台を引くのは重労働です。
 通りすがりの知り合いから、声をもらうこともしばしば・・・。

■屋台店主 平川 多聞 さん(24)
「気に掛けてくれてますね。ありがたいことに。久しぶりの人と会ったら5分、10分としゃべってオープンがちょっと遅れたり、手が止まる。しゃべるのが好きじゃけぇ」

 呉屋台は電気・水道完備。呉市が整備したもので、全国でも珍しいといいます。

呉屋台の始まりは定かではありませんが、昭和40年代前半には呉市内に30店ほどの屋台が営業していました。昭和61年に蔵本通りに屋台が集められ、現在の形になりました。

 開店準備中に待ちきれない近所の夫婦がやってきました。オープンから4か月、お店は人気店となりました。

■屋台店主 平川 多聞 さん(24)
「ハイボールです」

 お店の名前は「大きく笑う」と書いて「大笑」。お客さんに、いつも笑っていてほしい、そんな願いがこもっています。

Q.若者が屋台をやってくれるというのは?
■客(呉市)
「やってもらわにゃいけんじゃろ?ねえ!」
■屋台店主 平川 多聞 さん(24)
「そう言ってもらえて何よりです」
■客(呉市)
「若すぎるけど」
「はよう、メニュー多くせーよ」
■屋台店主 平川 多聞 さん(24)
「頑張ります!」

 屋台ツウの地元客からの叱咤(しった)激励です。
 県外から来た女性客からは、驚きの声が。

■客(岩国市から)
「24歳!?」
■屋台店主 平川 多聞 さん(24)
「今年(12月で)25になります」
■客(岩国市から)
「屋台に来たくて(呉に)来た。 いいお店をヒットさせてもらって、ありがとうございます」
■屋台店主 平川 多聞 さん(24)
「ありがとうございます。こちらこそ」

 「大笑」の看板メニューは、ラーメン。その味を確かめるため、料理のプロがやってきました。ちょっと怖そうな、こちらの男性の正体は?

 8月下旬、呉の屋台「大笑」に今、話題の人がやってきました。
 ニット帽をかぶったコワモテの男性、クレイトンベイホテルの日本料理店料理長・鷹林勲(たかばやし いさお)さんです。「大笑」の評判を聞き、動画の撮影に来ました。

■クレイトンベイホテル 鷹林 勲 料理長
「ずっと来たかった。一番楽しみにしているのがラーメン。ラーメン、人気ですよね?」
■屋台店主 平川 多聞 さん(24)
「そうですね、おかげさまで!」

 SNSで呉グルメを紹介している鷹林さん、「コワモテ料理長」として投稿した動画が、つぎつぎにヒットしています。今回、呉屋台のニューフェイス「大笑」を動画撮影の舞台に選びました。
 料理長が食べるのは、看板メニューのラーメン。鉄板であぶったチャーシューを乗せるのが特徴です。コワモテ料理長の評価は?

■コワモテ料理長 鷹林 勲さん
「大笑さん、いただきます」
■屋台店主 平川 多聞 さん(24)
「どうぞー!」
■コワモテ料理長 鷹林 勲さん
「麺はどこのもの?」
■屋台店主 平川 多聞 さん(24)
「広島で汁なし担々麺のお店をしている『くにまつ』さんの運営している『ななも製麺』から仕入れている」
■コワモテ料理長 鷹林 勲さん
「おいしいわ。飲んだあとに最高」

 屋台の味を堪能して、撮影は無事に終了。

■コワモテ料理長 鷹林 勲さん
「若い子が頑張っているというのは。本当に応援したいです」

■屋台店主 平川 多聞 さん(24)
「料理長ですからね、『長(おさ)』ですからね。やっぱり緊張しますね」

 慣れないの屋台での仕事は、今もきつく感じることがあると言います。

■屋台店主 平川 多聞 さん(24)
「今日の営業しんどいなと思っても、結局、お客さんと会ったら笑い話に変わるというか、逆に自分のほうが元気をもらいよるんじゃないか。 本当に人に支えられとる、それに尽きますね」

 家族と仕事を同時に失った平川さん。のれんに掲げた言葉のように、お客さんと自分も一緒に笑っていたいと語ります。
 24歳の挑戦は始まったばかりです。

■屋台店主 平川 多聞 さん(24)
「ありがとうございます。またお願いします」

【テレビ派 2026年9月3日 放送】