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沖縄県北谷町(ちゃたんちょう)のホテルに火を付け、宿泊客18人を殺害しようとしたとして、沖縄県警が9月1日、米国籍の男性(32)を現住建造物等放火と殺人未遂の疑いで逮捕したと報じられました。

沖縄タイムスなどの報道によると、男性は8月15日午前3時半ごろ、沖縄県北谷町の宿泊施設に放火し、居合わせた宿泊客18人を殺害しようとした疑いが持たれているそうです。客の一人が一時意識不明の重体となったものの、その後快方に向かっているといいます。男は認否を明らかにしていません。

ネットでは「アメリカ政府の圧力で引き渡しと減刑がなされる可能性」を疑う声や「日本の法律で裁くべき」「逃げ得は絶対に許さないで欲しい」といった声が上がっています。逮捕された米国籍の男性は、旅行者と報じられています。外国人旅行者が日本で罪を犯した場合、裁判はどのように進むのでしょうか。

アメリカ人でも、日本の法律で裁かれる?

刑法は「日本国内において罪を犯したすべての者に適用する」と定められています(刑法1条1項)。国籍は関係ありません。

したがって、この米国人の男は日本法によって裁かれる可能性があります。

現在逮捕されているそうですので、日本人と同様に勾留・起訴されて刑事裁判を受ける可能性が高いと思われます。

●保釈などで帰国してしまわないのか

勾留されている被疑者には、弁護人がつきます。私選弁護人がいない場合には、国選弁護人がつけられます。これは外国人であっても同じです。

勾留を解くための手続きとして、「準抗告」などがありますが、日本に生活拠点がない外国人旅行者の身柄を解放してしまうと、逃亡のおそれは高いと判断される可能性が高く、身柄解放は認められないと思われます。

また、起訴後の身柄解放は「保釈」という制度によることになります。

保釈とは、保証金を納めて、判決まで身柄の拘束を解いてもらう制度です。

保釈には「権利保釈」(保釈をしなければならない場合)と「裁量保釈」(裁判所の裁量で保釈を認める場合)とがあります。

権利保釈については、今回は対象外です。今回の容疑は殺人未遂罪と現住建造物等放火罪という重罪であり「死刑又は無期若しくは短期1年以上の拘禁刑に当たる罪を犯した」にあたるからです(刑訴法89条1号)。

裁量保釈とは、裁判所が職権で許す保釈です(刑訴法90条)。しかし、日本に生活の拠点がない外国人旅行者に認められる可能性は、ほとんどないでしょう。

●有罪になったら、どこの刑務所に入る?

刑は日本の刑務所(刑事施設)で執行するのが原則です。アメリカに送り返して終わり、とはなりません。

例外として、受刑者本人と日米双方が同意するなどの要件を満たした場合に、米国の刑務所に移して残りの刑を執行してもらう制度があります(国際受刑者移送法)。

刑を終えたあとは、原則として日本から退去強制(強制送還)されます。

外国人犯罪は甘くなるのではないか、という不安を持つのは自然なことだと思います。ただ、量刑は国籍ではなく、行為の中身と結果、その人の事情で決まります。

むしろ日本に拠点のない外国人は、保釈のないまま判決まで拘束が続く可能性が高いなど、手続きでは不利な場面の方が多いように思います。

小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士