歌舞伎町にできたシェアモビリティの大規模ポート…設置2ヵ月後に現地で取材した意外な“利用実態”
歌舞伎町にできた100台規模のポート
世界最大級の電動マイクロモビリティシェアリングサービス『Lime』が日本でもシェアを広げている。世界約30ヵ国、200以上の都市で電動キックボードや電動自転車を展開する企業だ。’24年から日本でもサービスを開始しており、渋谷区、港区、新宿区など都内16区にポートが設置されているので、街中で同社の車両を目にしたことがある人もいるかもしれない。
このLimeが6月15日、言わずと知れた繁華街、新宿・歌舞伎町に合計100台クラスの大規模ポートを設置した。
昨今、シェアモビリティサービスを巡っては、安全面への懸念が高まっている。信号無視や2人乗り、飲酒運転など、利用者による交通ルール違反が後を絶たず、サービスそのものへの批判につながっている。6月2日に東京都北区で発生した交通事故では、『LUUP』利用者が死亡した。ただでさえ利用者のマナーに注目が集まるシェアモビリティは、新宿歌舞伎町でどのように利用されているのか。設置から2ヵ月が経った現地を取材した。
歌舞伎町を訪れると、LUUPに乗った人はちらほら見かけるものの、Limeを利用する人の姿はほとんど見られなかった。約5時間周辺を観察したが、街中でLimeを利用していたのは1人だけ。しかも、別のエリアから歌舞伎町まで移動してきた利用者で、新設されたポートの利用者ではなかった。数日間、通ってみたが、新しくできたポートからの利用者は片手で数えるほどに収まる結果となった。
周辺の人に聞いてみると、まず知名度の問題がありそうだ。LUUPについては年代を問わず認知している人が多かったが、Limeについては「知らない」「聞いたことがない」「初めて知った」といった声が相次いだ。歌舞伎町に新しくLimeのポートが設置されたことも、知っている人はほとんどいなかった。
歌舞伎町で働いている30代男性Aさんは、仕事が終わる時間帯が遅く、電車がないのでいつもLUUPを利用しているという。
「(Limeは)最初は面白そうなのでアプリを入れましたが、すぐに使わなくなってそれっきりです」(Aさん)
Aさんの最寄り駅は中野。Limeを利用する場合は家の最寄りのポートまでは少し歩くそうだ。LUUPは家の近くまで乗ることができるため利用しているという。ポートが増えていることを伝え、アプリで調べると「家の近所にもできている」とのこと。再度利用を検討してみるという。Limeを知っている人でも、実際にポートがどこにあるか分からないと、使う機会はないようだ。
「明治通りと職安通りからは出るな」
取材を進めると、「歌舞伎町ではシェアモビリティ自体が使いにくい」といった声が多かった。地雷系の服装をした女性Bさんは電動キックボードに乗っているだけで職質を受けると苦言を呈する。
「夜にLUUPに乗っているとすぐに職質を受けるんです。1週間前も警察に呼び止められました。お酒も飲んでないし、信号無視もしていないのにです。私と同じ体験をした人も多いみたいで、交通違反をしている人が多いから警察が目を付けているんだと思います。なので、夜はできるだけ乗らないようにしました」
電動キックボードに乗っていると警察に職質されやすい──。歌舞伎町で働く男性Cさんの話もこれを裏付ける内容だった。
「今も歌舞伎町でみんなが乗っているモペットってあるじゃないですか。一時期は違法モペットの取り締まりで、歌舞伎町の外に出るとすぐに職質されたんですよ。今でも似たような状況で、飲酒運転や2人乗り、信号無視をしている人がたくさんいて、捕まえやすいから見張ってるんじゃないですか?」
ジュースの缶を持っているだけでも呼び止められるようで、LUUPに乗っているとよく職質されると話す。
「歌舞伎町の中だと小回りが利いていいんですけどね。『職質されるから、明治通りと職安通りからは出るな』なんて言われています」(Cさん)
新しく歌舞伎町にできたポートの実際の利用状況はどうなっているのだろうか。Lime株式会社の広報担当者に話を聞くと「個別のポートについて、また特定エリアについての利用状況はお答えできません」との回答だった。
「Limeでは安全なサービス提供を重要事項と位置づけ、利用者への交通ルールの周知や安全啓発、アプリを通じた案内などを継続的に実施していきます。また、今後も地域の状況や利用動向を踏まえながら自治体や関係機関と連携し、安全で利便性の高いサービス提供に努めます」(Lime株式会社広報担当者)
現地で取材した結果、新しく歌舞伎町にできたLimeポートの利用者は意外にもわずかだった。LUUPと比べると知名度はまだ低く、新設されたポートを知らない人も多いのが理由の一つだろう。「職質が多い」結果、不便だという声も多かったが、シェアモビリティ利用者の交通違反が問題視されている現状では、仕方がないことなのかもしれない。
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取材・文・写真:白紙緑
