“刑務所製”の伝統工芸品が東京タワーに初集結 「矯正展」担当者が明かす開催の狙い
東京タワーの足元に、全国の伝統工芸品が並ぶ--。しかも、それらは刑務所で受刑者が手がけた品だ。
8月29日(土)・30日(日)の2日間、東京タワーで初めてとなる「東京タワー矯正展」が開催される。
「東京タワーは東京、日本を象徴するシンボルの一つ」。主催する府中刑務所の担当者は、日本有数のランドマークでの初開催に込めた狙いをそう語った。
矯正展とは、刑務所作業製品の展示・即売などを通じて、矯正行政や刑務作業への国民の理解を深めるとともに、受刑者の更生や社会復帰に向けた取り組みを広く知ってもらうことを目的としたイベントだ。
東京都内では、毎年夏と冬に新宿駅で開く「新宿矯正展」や、東京国際フォーラムで開催される「全国矯正展」などが知られる。
ただ、同じ会場での開催を重ねるうちに、ある課題が見えてきたという。担当者は「毎年同じところでやっていると、どうしてもすでに知っている人しか来ない」と打ち明ける。
「これまで矯正展に足を運ばなかった人にも届けたい」。そんな思いから新たな会場を探し、白羽の矢が立ったのが、国内外から多くの人が集まる東京タワーだった。
府中刑務所は外国人の受刑者を多く収容しているという特徴があり、担当者は「海外からの来訪者や日本に住む海外の方にも、矯正行政について理解を広げたい」と期待を寄せる。
目玉は全国の伝統工芸品グローバルな来場者を意識し、今回は「東京タワーで魅せる伝統工芸品」と題して、全国の刑務所で作られる工芸品を前面に打ち出す。
なかでも目玉となるのが、佐賀県の織物「佐賀錦(さがにしき)」、熊本県の彫金「肥後象眼(ひごぞうがん)」、青森県の漆器「津軽塗(つがるぬり)」の3つだ。
「佐賀錦」は、金銀の箔や漆を塗った和紙を細く裁ち、織り台に貼って、絹糸を綾織りと平織りで織り込んでいく、根気のいる手作業でできあがる。
「肥後象眼」は、約400年前の江戸期に刀の鍔(つば)の装飾から始まった彫金芸術で、タガネで布目状に刻んだ地金に金銀をのせ、鹿の角で打ち込んだもの。
「津軽塗」は、江戸中期に弘前藩主・津軽信政が全国から職人を集めて始めたとされ、当初は刀の鞘(さや)を彩るために用いられた。明治6年のウィーン万博への出展を機に、その名が広まったという。
もちろん「頑固な汚れが落ちる」とSNSでも話題のせっけん「ブルースティック」など、定番の刑務所作業製品も並ぶが、担当者は「今回は通常の矯正展以上に、伝統工芸品を出品するスペースをより広く確保した」と述べた。
売り上げは犯罪被害者支援に刑務所作業製品は「キャピック商品」と呼ばれ、その売り上げの一部は公益財団法人矯正協会を通じて、犯罪被害者支援団体の活動に助成されており、2005年度から2025年度までに累計8750万円が支援されている。
「東京タワー矯正展」は、8月29日(土)・30日(日)の9時30分から18時まで、東京タワーフットタウン2階の通路スペースで開かれる。入場は無料だ。
夏の終わりのお出かけに、塀の中で生まれた工芸品に触れてみてはいかがだろうか。

