亡くなった父のスマホを整理していると、電子マネーに「10万円」の残高が…。このまま使えなくなるのでしょうか? 家族が引き継ぐことはできますか?

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亡くなった家族の財産を整理するとき、預貯金や不動産だけを確認すればよいとは限りません。スマートフォン(以下スマホ)の普及により、電子マネーやコード決済にもまとまった残高が残っている可能性があるためです。   経済産業省によると、2025年のキャッシュレス決済比率は58.0%、決済額は162.7兆円でした。このうち電子マネーは6.0兆円、コード決済は16.6兆円です。キャッシュレス決済が身近になった現在、こうした「デジタル上のお金」も相続時に見落とせない財産といえるでしょう。   では、亡くなった父親のスマホに10万円分の電子マネーが残っていた場合、家族は受け取れるのでしょうか。今回の記事では、相続時の考え方や注意点を解説します。

亡くなった人の電子マネーも相続財産になる

電子マネーだからといって、相続と無関係になるわけではありません。
国税庁は、相続税の対象となる財産について、現金や預貯金、不動産などに限らず、「金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのもの」としています。そのため、亡くなった人が保有していた電子マネーの残高も、基本的には相続財産として考える必要があります。
例えば、父親のスマホに10万円の電子マネーが残っていた場合、その10万円もほかの財産とあわせて確認しましょう。
ただし、10万円の残高が見つかっただけで、相続税が発生するわけではありません。相続税には「3000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除があります。電子マネーだけで判断せず、預貯金や不動産などを含めた財産全体を確認することが大切です。

10万円の残高を家族が引き継げるかはサービスによって異なる

電子マネーの残高を家族が引き継げるかは、サービスによって異なります。
例えばPayPayでは、故人のアカウント自体を相続することはできません。ただし、PayPayマネーなど対象となる残高は、正当な相続人などと確認された人に、振込手数料を差し引いて振り込まれます。
モバイルSuicaでは、会員が亡くなると退会したものとみなされます。その後、法定相続人がJR東日本所定の手続きを行うことで、払い戻しを請求できます。
このように、残高の扱いや手続きはサービスごとに異なります。故人の電子マネーを見つけたら勝手に使わず、最新の規約を確認したうえで運営会社へ問い合わせましょう。

電子マネーを見つけても勝手に使わず、まずは運営会社へ問い合わせる

父親のスマホを操作できる状態なら、「残っている10万円を買い物で使えばよい」と考える人もいるかもしれません。しかし、本人が亡くなった後に家族が故人名義の決済サービスを勝手に使うことは避け、まず運営会社に問い合わせましょう。
特に、相続人が複数いる場合は注意が必要です。電子マネーも相続財産に含まれるのであれば、1人の相続人が自分のものとして使うのではなく、ほかの財産とあわせて相続手続きを進める必要があります。
また、相続放棄を検討している場合、相続財産を処分すると相続放棄に影響する可能性があります。そのため、電子マネーを見つけても安易に使用しないことが重要です。
手続きでは、死亡した事実や相続人であることを確認できる書類などを求められる場合があります。必要なものは利用していたサービスによって異なるため、まずサービス名と残高を確認して記録を残し、カスタマーサポートへ連絡するとよいでしょう。

電子マネーも忘れずに確認して相続手続きを進めよう

亡くなった父親のスマホに10万円の電子マネーが残っていても、「本人が亡くなったから必ず使えなくなる」とは限りません。サービスによっては、相続人が手続きを行うことで払い戻しを受けられます。
ただし、故人のアカウントを家族がそのまま引き継げるとは限らず、相続や払い戻しのルールもサービスごとに違います。まず電子マネーの種類と残高を確認し、運営会社へ利用者が亡くなったことを伝えましょう。
キャッシュレス化が進んだ現在、相続財産は通帳や財布の中だけにあるとは限りません。故人のスマホを整理するときは、決済アプリや交通系ICなども確認し、残高を把握してから適切な手続きを進めることが大切でしょう。
 

出典

経済産業省 2025年のキャッシュレス決済比率を算出しました
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4105 相続税がかかる財産
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー