「母乳バンク」知っていますか?小さな命を守るドナーミルク「私も助けられたので、ほかの方たちを…」長野県内でも広がる【長野】
「母乳バンク」をご存じでしょうか?
予定より早く生まれてきた小さな赤ちゃんのために、母親に代わって母乳を提供するという、命を守る取り組みです。いま長野県内でも広がりつつあります。
「これなぁに?アンパンは?」
大好きな砂場で夢中になって遊んでいるのは、長野市に住む2歳の凛ちゃん。
母親
「これ何に入れたの?アンパンマン?」
凛ちゃん
「パン パン パン」
元気に成長している凛ちゃんですが。
「生まれた時が623グラムで、大人の手のひらに収まるぐらいの、本当にちっちゃい赤ちゃんだったんですけど」
妊娠7か月になって間もないころ、子宮頸管無力症になり帝王切開で出産。凛ちゃんは約4か月間、24時間体制で赤ちゃんの体調管理や治療を行う、NICU(新生児集中治療室)に入院しました。
凛ちゃんの母親
「可愛いとは思いました。でもやっぱりちっちゃくて、この先この子がどうやって大きくなっていくのかっていう不安もすごく大きくて。不安の方が、ほとんど大きかったかな」
凛ちゃんを救ったのが「ドナーミルク」でした。
「ドナーミルク」は、事前にドナー登録された女性から提供された母乳のこと。予定日より早く生まれ、母親の母乳が出ない場合などに、第三者から寄付された母乳を赤ちゃんに届ける仕組み、これが「母乳バンク」です。
凛ちゃんの母親
「やっぱり自分の母乳で育てたいって思うところはあったんですけど、量が出なかったりで難しいっていう現実もあった中で、ドナーミルクを提供してくださる方のおかげで母乳を使えたことで(赤ちゃんの)お腹の症状が起きにくかったりとか、赤ちゃんの体にはすごくメリットだったなと思います」
国内では、年間約5000人の赤ちゃんが体重1500グラム未満で生まれています。こうした赤ちゃんに必要な栄養を届けるため、ドナーミルクが大切な役割を果たしています。
母乳バンクのドナー登録ができる施設は、現在、29の都道府県に73か所。おととし初めて、県内にも登録施設が誕生しました。
県立こども病院 新生児科 小川亮医師
「こういう形で、普段から保管させてもらっています」
長野県安曇野市の県立こども病院。県内唯一の母乳バンク、ドナー登録施設です。
ドナーとして母乳を提供したい女性は、全国にある登録施設で血液検査や健康状態を調べた上で、ドナー登録をします。この病院では、先月末までに53人が登録。
無償で提供されたドナーミルクは、母乳バンクに集められ、そこで、低温殺菌や細菌検査などをして安全な状態で冷凍保存され、全国の医療機関へ届けられます。
県立こども病院 新生児科 小川亮医師
「母乳にしかない、今の医学でも提供できないような免疫物質とか、腸の整腸を促すような因子。そういったものがたくさん(母乳には)含まれているので。私たち新生児医療に携わる者としては、なくてはならないもの。早く生まれた赤ちゃんの強い強い味方になってくれているなと感じています」
県立こども病院のNICU(新生児集中治療室)には約40人の赤ちゃんが入院していて、ここでもドナーミルクが役立てられています。
「こんにちは~よろしくお願いします。わぁかわいい~」
千曲市に住む安武さん家族。妻・奈緒さんは、今年3月に三男を出産しました。
安武奈緒さん
「たくさん。そっちの冷凍庫にも実は入ってるんですけど」
奈緒さんは、今月上旬、母乳バンクにドナー登録しました。
無料で支給される専用キットを使って母乳を冷凍し、東京にある母乳バンクへ着払いで郵送します。
ドナーに金銭的な負担はなく、少なくとも2リットル以上の母乳を提供することを前提に、好きなタイミングで提供することができます。
(1回の発送で1リットル以上)
安武奈緒さん
「血液検査をして、それがもうクリアすれば本当に何も(自分で)用意するものもなく、お金もかからずにできるので、育児の合間の忙しい時でも、本当に気軽に出来ると思います」
奈緒さんがドナーに登録したきっかけは、予定日より約3か月早く、973グラムで生まれてきた赤ちゃんです。
出産後すぐは母乳が出なかったため、ドナーミルクを利用しました。
安武奈緒さん
「母乳バンクの母乳を使わせていただいていたっていうこともあったので、ちょっと寄付してみようかなと軽く思ったのがきっかけですね。私が先に退院して、子どもだけ病院にずっと入院していたので、搾乳したのを冷凍して持っていくっていう形をとっていたんですけど、本当に未熟児で飲む量も徐々に増えてはいったんですけど、それでも1回に10ミリリットルとか20ミリリットルとか本当に少量なので、どんどん自宅の冷凍庫にストックが溜まっていってしまって」
生後5か月となったいまは、体重が3500グラムを超え、すくすく成長しています。
夫・安武潤一さん
「気づいたら大きくなってたね」
安武奈緒さん
「早産で生まれて、まだ母乳が十分に出ないのに、母乳じゃないと駄目って言われて、ちょっと悩んでいる方とか不安に思っている方とかに。私も助けられたので、他の方たちも助けられるようになったらいいかな」
県立こども病院では、これまで88人の赤ちゃんにドナーミルクを届けました。
県立こども病院 小川亮医師
「使用されている赤ちゃんも増えていますし、使用量も増えているんですけど。まだ、ドナーミルクってなんですか?っていうようなところから、事前に情報を持ってくださっている方は少ないのかなと思いますので、もっともっと広まっていくといいのかなと思います」
生まれたばかりのかけがえのない命を守る母乳バンク。県内での広がりが子どもたちの成長と笑顔を守ります。

