「あいさつや人柄を一番に」 BPカストロール・小石孝之名誉会長が選手に伝え続けること
■契約選手への向き合い方カストロールレディースでは、朝の1番スタートホールで行われる選手のスタートアナウンスを、小石氏自らが担当する。今では大会の“風物詩”の一つとなっている。遊び感覚で始めたというスタートアナウンスだが、スカイAで中継が始まってからも『続けてほしい』とリクエストがあり、現在まで続いている。特に契約選手のスタートとなれば、小石氏のアナウンスも一層熱を帯びる。倉田珠里亜には「きのう、焼肉はいつもの5分の1に抑えました」と愛のある“いじり”を交え、昨年レギュラーツアーのシードを手放した野澤真央には「あなたの居場所はここではありません」と檄(げき)を飛ばすこともあった。そこには“チームカストロール”の仲の良さがにじむ。ただ、小石氏が契約選手と向き合う上で最も重視しているのは、成績ではなく“人柄”だ。「プロアマではお客様と回ってもらうこともあります。そういうホスピタリティができるコミュニケーション能力があるかということ。今は、通信制の高校で、団体生活に加わらないこともあります。あいさつや人柄を一番に見ています」17年に下部3勝を挙げた野澤との出会いについても、こう振り返る。「最初はすごく人見知りで、とにかく先輩たちに対するあいさつや礼節はしっかりしなさい、と伝えました」。実際に契約選手たちを取材すると、皆がはきはきと、そして明るく受け答えしてくれたことが印象に残る。小石氏が大切にするあいさつも、ただ言葉を交わせばいいというわけではない。相手の目を見て、しっかりと思いを伝えること。選手である以前に、一人の人間としてどう振る舞うのか。そんな小石氏の思いは、契約選手たちに受け継がれている。■契約選手に求めるもの契約選手たちに今大会への意気込みを聞くと、『小石会長に恩返しがしたい』という言葉を口にする選手も多い。もちろん、ホステスプロとして大会で優勝したいと考えるのは自然なことだ。ただ、小石氏は「プレッシャーをかけなくても、選手自身がすでにかかっているから」と話す。スポンサーとして過度な期待を口にするのではなく、選手が自然体でプレーできることを願っている。昨年は、契約プロの佐久間が年間女王に輝いた。現時点で海外ツアーへの本格参戦は明言していないものの、海外メジャーには積極的に出場している。そんな佐久間の将来についても、小石氏の考えは明快だ。「海外に行きたいのであれば行けばいい。日本でやりたいのであれば日本でやればいい」選手の意思を尊重し、温かく見守る。そんな小石氏の姿勢が、選手たちの『恩返しがしたい』という思いを生んでいるのかもしれない。その一方で、勝負の世界で生きる以上、訪れたチャンスをつかむことの重要性も話す。「ステップでもレギュラーでも、ここで勝つかもしれないという時期が選手にはある。そこで取らないと、その後、勝てない選手もたくさんいる。チャンスは自分で掴み取らないといけない」勝負の世界で生きる選手たちには、計り知れないプレッシャーがある。長年、ゴルフの世界を見てきた小石氏は、その厳しさもよく知っている。だからこそ、選手に求めるのは結果だけではない。むしろ、その根底にある人柄を何よりも大切にしている。
■選手をサポートする立場として思うこと他のスポーツと比べても、ゴルフは競技人生が長いスポーツの一つだ。とはいえ、年齢を重ねれば体力面の衰えは避けられない。長年にわたって大会を開催し、選手たちを間近で見てきたからこそ、小石氏は競技を続けていく上で選手たちが直面する課題にも目を向けている。「技術面では変わらないと思いますが、体力は落ちてくる。優勝しますと言っても、年齢を重ねていけば難しい。この先、結婚もあれば、お母さんにだってなる。どうゴルフと向き合っていくか、その分岐点を自分で決める難しさがある」今大会では23年から託児所を設け、“ママさんゴルファー”をサポートしている。契約プロで今季初出場となった川満陽香理も、子どもを預けてプロアマに参加した。『プレーしていても安心できることは大きい』と、母親としての一面ものぞかせていた。小石氏が話すように、川満は2歳半の息子を育てながら競技を続けている。試合に向けた調整は決して簡単ではない。保育園に子どもを送ってからコースへ向かうこともあり、プロアマを含めて3日連続でゴルフをするのはひさしぶりだったという。とはいえ、生涯スポーツともいわれるゴルフには、他競技と比べて長く競技を続けられるというメリットがある。「そこは恵まれている」と小石氏は話す。選手をサポートする立場として、競技を続ける上での課題を考える一方、ゴルフならではの長い競技人生、そしてその先にあるセカンドキャリアについても思いを巡らせている。■これからステップ・アップ・ツアーに見据えるもの古参大会の一つとして、長年にわたりステップと関わってきた。当初はわずか5試合だったツアーも、今季は22試合の開催が予定され、レギュラーツアーを目指す選手たちにとって重要な実戦の場として成長してきた。レギュラーツアーには、その年の優勝者やメルセデス・ランキング上位者らが出場する最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」が設けられている。小石氏は、ステップにも同様の舞台があっていいのではないかと考えている。「試合数も増えてきているので、ステップ・アップ・ツアーでもやってもいいのでは」また、現在は明治安田ステップ・ランキング(賞金ランク)上位2人に入ると、翌年のレギュラーツアー前半戦の出場権を獲得できる。その権利についても、「数年の権利で与えたい」という思いを持っている。いずれの構想にも、根底にあるのは選手たちへの思いだ。選手には、プロゴルファーとして結果を追い求めながらも、一人の人間として成長してほしいし、そうした環境を整えたい。長年にわたり大会を支え、選手たちと向き合ってきたからこそ、小石氏の視線は今、一つの大会だけでなく、ステップ・アップ・ツアー全体の未来へと向けられている。
<ゴルフ情報ALBA.Net>
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