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大分市内唯一の高速道路休憩所である東九州自動車道の「大分松岡パーキングエリア(PA)」。ここにETC専用出入口を設ける「スマートインターチェンジ(IC)構想」は、検討開始から7年が経過した現在も足踏みが続いています。なぜ前進しないのか、背景を取材しました。

【写真を見る】大分松岡PA「スマートIC構想」検討7年…なぜ進まない? 知事と市長の“温度差”と問われる優先順位

2018年の大渋滞契機…佐藤知事「早期実現を」

構想のきっかけは、2018年にクラサスドーム大分周辺で起きた大渋滞でした。サッカー日本代表の会場入りが遅れる事態となり、当時大分市長だった佐藤樹一郎氏のもとで市や県などが検討を開始しました。

2020年までに計5回にわたって協議を重ね、イベント時の交通分散のほか、防災機能の強化に効果があるとして、スマートICの整備を目指す方針を決定しました。

その後、2023年に県知事へ転身した佐藤知事は「スタンバイ状態になっているので、検討会が設置できればトントントンで進んでいくと思う。できるだけ早く実現したい」と、立場を変えても強い意欲を示しています。

地元の鶴崎地区自治会連合会の佐藤日出美会長も「ドーム周辺の駐車場整備が進み、さらに活性化が図られ、地域全体の利便性も向上する」と早期開設に期待を寄せています。

スマートIC設置で経済効果も

2017年に開通した熊本県の「城南スマートIC」の事例では、並行する国道の交通量が約5%減少。周辺の工業団地への所要時間が約9分短縮されたことで企業が進出したほか、拠点病院への救急搬送時間も約8分短縮されるなど、大きな経済・防災効果を生んでいます。

一方で、相応のコストも伴います。

ETC設備などはNEXCOが担うものの、アクセス道路の整備費用は自治体の負担となるのが一般的です。県内での設置実績をみると、東九州自動車道の「別府湾スマートIC」で約12億円、「由布岳スマートIC」で約15億円の総事業費がかかっています。

足立市長「平日の一般道ひどくなる」

実現には地方での協議や国の調査など複数のステップが必要とされますが、大分松岡PAについては現在、協議を始めるための事前調査が終わった初期段階にとどまったままです。

佐藤氏の後任として2023年4月に就任した足立信也市長が、平日の市民生活に及ぼす影響を理由に慎重な姿勢に転じたためです。

足立市長:
「設置理由として挙げているドームでの大規模イベントですが、一度大渋滞を起こしたことがありますが、それ以降、大渋滞は聞かないですよね。ワンオクロックのコンサートでも大渋滞はなかった。しかもイベント時のためにICをつくると、平日の一般道の渋滞がもっとひどくなる」

市は、松岡PA周辺にある国指定の主要渋滞箇所の対策を優先したい考えで、市役所の時差通勤や、高速道路を利用した通勤バスの導入など、独自のソフト対策を模索しているとしています。

スマートICの実現には、県と市の連携が欠かせませんが、関係者によりますと、優先度などを理由に慎重な姿勢を示す市長と、広域交通ネットワークの形成に前向きな知事との間に温度差があるとの指摘もあります。

検討開始から7年。地元の期待の一方で、優先すべき課題をめぐり走り出せていないスマートIC構想。幅広く必要性について議論が深まることが期待されています。