【為替】為替の大規模介入の効果を考える

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年間介入額の最高は2003年の20兆円=円高阻止介入

これまで確認できる限りにおいて、日本の通貨当局による年間の為替介入額の最高は2003年の20兆4千億円。これは、円高を止めるべく米ドル買い・円売りが行われたものだが、2003年1月から2004年3月まで1年3ヶ月もの長期にわたり、2004年1~3月の分も合わせると介入額の合計は35兆円にも達した(図表1参照)。

【図表1】日本の年間為替介入額トップ5 出所:財務省統計をもとにマネックス証券が作成

2026年は、これまでゴールデンウィークと7月末~8月初めにかけての2局面で円安阻止の米ドル売り・円買い介入が行われている。介入額の合計としてはすでに20兆円以上に達し、年間介入額の過去最高、2003年の記録を更新した可能性もありそうだ。ただ、円高阻止と円安阻止の違いはあるものの、1つの介入シリーズでの介入合計額としては、上述のように2003年1月~2004年3月にかけて合計で35兆円にも達したケースもあったわけだ。

1介入シリーズで合計20兆円前後は円高阻止局面でもあった

年間介入額の第2位は、まだ記憶に新しい2024年の15兆3千億円。「歴史的円安」とされた動きの反転を目指して行われた介入を受け、161円から1ヶ月もしない間に141円まで急激に円高への大反転が起こったケースだった。

年間介入額の第3位は、2011年の14兆2千億円。これは、1米ドル=100円を超える「超円高」を75円で止めた米ドル買い・円売り介入だった。この円高阻止介入は2010年9月から始められたので、それも含めるとこの介入シリーズでの合計額は16兆4千億円となり、2024年を上回る。

改めてこれまでの大規模介入局面を振り返ってみると、2024年の15兆円、そして、すでに20兆円を上回っている可能性もありそうな2026年の円安阻止介入ではあるが、1つの介入シリーズでの介入額の合計としては2010~2011年、2003~2004年の円高阻止介入局面と比較しても極端に突出したということではないのかもしれない。

すでに2025年の貿易・サービス赤字5年分を吸収=大規模介入の需給効果も注目

それにしても、年間で20兆円程度もの為替介入は、中長期の為替需給へ与える効果もかなり大きいのではないか。なお、2025年の貿易・サービス収支は、貿易収支が5千億円、サービス収支が3兆4千億円でともに赤字であり、この結果、貿易・サービス収支は4兆円の赤字だった。ただ、この赤字に伴い、仮に円売りが4兆円発生しても、年間20兆円の円買い介入は、その5年分を吸収する計算になる。

それでも円安が止まらないのは、短期売買を行う投機筋の影響が大きいだろう。ただ、投機筋は円売り一辺倒ということではなく、円の買い戻しも繰り返しながらの取引になる。過去の大規模介入局面が一巡した後は、円相場がそれまでと逆方向に大きく動く傾向が確認されるが、これは大規模介入が中長期の為替需給を変えた影響も大きかったのではないか(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円と大規模為替介入局面(1990年~) 出所:LSEG社データと財務省統計をもとにマネックス証券が作成

これを参考にすると、短期、長期の資本移動を別にした為替の経常需給については、大規模な米ドル売り・円買い介入によりかなりの米ドル余剰(円不足)が発生している可能性があるため、資本の円売りが一巡した後は継続的に米ドル安・円高へ向かう可能性もあるかもしれない。

吉田 恒 マネックス証券 チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティ FX学長