千葉豪雨で「懸垂式」のモノレールが本領、鉄道・道路寸断の中で増発や終電延長し移動の生命線に…Xに感謝の声
13日の千葉豪雨では、千葉市内で鉄道のほとんどが運転を見合わせ、道路の冠水で車が通行不能となる中、「千葉都市モノレール」が翌日未明まで多くの人々を運んだ。
軌道桁の下側に車体をつり下げる「懸垂式」で地上約5〜20メートルを走行するため豪雨の影響を受けず、臨時便や終電以降の運行を実施。帰宅困難者らを一時滞在施設などに送り届けた。(千葉支局 河津真行)
市中心部で雨が激しくなったのは13日午後5時過ぎ。JR内房線が一部区間で止まったのを手始めに、千葉駅から出るJR外房線や成田線などはほとんどが午後7時45分までに運休を余儀なくされた。

一方、東京方面から来る総武線快速は運行されており、千葉駅構内は多くの帰宅困難者であふれかえった。千葉県佐倉市の女性会社員(55)は「帰宅できなくなった人が構内に滞留し、トイレや駅の窓口に長蛇の列ができた」と振り返る。
千葉市中央区では午後6時48分、観測史上最大の1時間115ミリの雨量を観測。午後7時には千葉駅から約1キロ南東にある県庁が帰宅困難者の一時滞在施設として開放された。道路の冠水で身動きが取れなくなる車が出始め、バスやタクシーの運行が困難になる中、千葉駅と県庁、千葉市役所をつなぐ千葉都市モノレール1号線(3・2キロ)と、千葉駅から郊外の住宅地に向かう2号線(12キロ)が移動の生命線となった。
通常の運行に加えて午後7時半頃から2号線で計10本の臨時便を増発し、市民の帰宅を支援。1号線では県庁の最寄りの県庁前駅に多くの帰宅困難者を運び、午後11時56分の終電時刻以降も運行した。14日午前0時40分頃に千葉駅を出発した最後の臨時便では、一時滞在施設の千葉市役所に近い市役所前駅に約70人を送り届けた。
千葉都市モノレールの公式Xには「ありがとう、お陰で昨日は帰れました」「これからも災害に強い輸送機関として期待しています」「まさに千葉都市神レール」などと感謝のコメントが30件以上寄せられた。同社の小見隆一・経営企画課長は「多くの人の移動や避難の助けとなることができてよかった」と話す。
モノレールには主に懸垂式と車両が軌道桁にまたがる「跨座(こざ)式」があるが、豪雨下でも運行が可能だったのは懸垂式だったからだ。空中に軌道があるため冠水の影響を受けず、走行装置は車両をぶら下げる軌道桁の中に組み込まれていて水にぬれない。雪にも強く、2014年2月に首都圏で記録的な大雪が降った際には、交通網が寸断される中で通常通り運行した。
桜美林大の戸崎肇教授(交通政策)は「地下鉄や路面電車などであれば、今回の豪雨で運休した可能性が高い。雨や雪に強い懸垂式の強みが最大限発揮された」と評価している。
◆千葉都市モノレール=1988年開業で、千葉市などが出資する第3セクターが運営。急激な人口増加でバス中心の公共交通が限界に達し、地下鉄や専用通行路を走るバスなどが検討される中、道路事情や地形、工事費を踏まえてモノレールが整備された。2両編成で最大約300人を輸送できる。総営業距離15.2キロは懸垂式としては世界最長で、2001年にギネス世界記録に認定された。
