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 毎日きちんと歯磨きをしていたのに、虫歯になってしまった。そんな経験はないでしょうか。歯磨きをしっかりすれば虫歯は防げる。多くの人がそう信じています。しかし、『もう二度と歯医者の治療がいらなくなる3つの習慣 歯を失わないための本気の予防法』(KADOKAWA刊)の著者であり、歯科医師の前岡遼馬先生は「歯磨きで虫歯予防はできない」と言います。

 歯磨きで虫歯予防ができないとは一体どういうことなのでしょうか?「歯を残す」歯科医師として各メディアで活躍中の前岡先生に、歯の新常識と間違った虫歯予防ケアについて話を聞きました。
◆がんばった歯磨きを無駄にする行動とは?

――先生の著書の中にある「歯磨きで虫歯は予防できない」という項目が、かなり衝撃的でした。

前岡遼馬先生(以下、前岡):虫歯ができる最大の原因は、「歯が溶ける時間」と「歯が修復される時間」のバランスが崩れることにあります。

口の中にはたくさんの菌がいるのですが、虫歯菌は糖質をエサにして「酸」を作り出します。この酸によって歯の表面が溶ける現象を「脱灰(だっかい)」といいます。一方で、唾液には溶けた歯を修復する「再石灰化」という働きがあり、通常は「脱灰」と「再石灰化」のバランスが保たれることで、歯は健康な状態に保たれています。

しかし、再石灰化によって歯が修復されるまでには1~2時間ほどかかるため、その間に甘いものをつまんだり、スポーツドリンクやジュースを少しずつ飲み続けたりすると、歯が修復される前に再び酸にさらされ、溶ける時間のほうが長くなって虫歯になってしまうのです。

――虫歯は「脱灰」と「再石灰化」のバランスの問題だったのですね。

前岡:はい。ですから、どんなに歯磨きをがんばっても歯が修復する前に糖質を口に入れてしまえば、虫歯ができてしまうのです。実際、歯磨きがとても丁寧で口の中がきれいなのに、虫歯を繰り返す患者さんは珍しくありません。

――では、私たちは何のために毎日歯を磨いているのでしょうか?

前岡:歯磨きの本来の目的は、歯の表面にへばりついた細菌の塊である「プラーク」を物理的にこすり落とすことです。このプラークを放置することによって引き起こされるのが歯周病です。ですから、歯磨きは、基本的には歯周病対策なんです。プラークを取り除くことで口内の細菌数が減り、結果として多少は虫歯予防にもプラスにはたらきますが、メインの目的はあくまで歯周病予防なんです。