NASA「ローマン宇宙望遠鏡」打ち上げ準備の最終段階へ 早ければ8月30日にも打ち上げ
NASA(アメリカ航空宇宙局)は2026年8月21日付で、「ナンシー・グレース・ローマン(Nancy Grace Roman)」宇宙望遠鏡の飛行準備審査(FRR: Flight Readiness Review)が完了し、最終的な打ち上げ準備の段階に入ったことを発表しました。
早ければ8月30日に打ち上げへ
ローマン宇宙望遠鏡は当初2027年5月に打ち上げられる予定でしたが、開発が順調に進んだことから、スケジュールを大幅に前倒して準備が進められています。
NASAによると、アメリカの現地時間2026年8月20日には、ローマン宇宙望遠鏡の運用チームが打ち上げリハーサルを実施。電源の投入に始まり、ロケットの推進剤充填、気象条件の検討、トラブル発生時の対処といった当日の手順が確認されました。
その翌日となる同年8月21日に実施された飛行準備審査の結果を受けて、打ち上げ準備は最終段階に進みます。フェアリングに格納されたローマン宇宙望遠鏡は、審査から数日以内にケネディ宇宙センター39A発射施設にあるSpaceX(スペースX)の施設に運び込まれ、「Falcon Heavy(ファルコンヘビー)」ロケットへの搭載作業が行われます。
NASAやSpaceXによると、ローマン宇宙望遠鏡の打ち上げは早ければアメリカ東部夏時間2026年8月30日7時26分(日本時間同日20時26分)に実施される予定だということです。

ダークエネルギーの解明や標準宇宙モデルの検証に挑む
ローマン宇宙望遠鏡の主な目標は、宇宙の加速膨張の要因とされる「ダークエネルギー(暗黒エネルギー)」や、質量比で通常の物質の5倍以上も存在するのに電磁波では観測できないとされる「ダークマター(暗黒物質)」の解明です。
計画段階では「Wide Field Infrared Survey Telescope(広視野赤外線サーベイ望遠鏡)」の頭文字から「WFIRST」と呼ばれていましたが、「ハッブル宇宙望遠鏡の母」と称されるNASAの初代主任天文学者Nancy Grace Roman(ナンシー・グレース・ローマン)氏にちなんで名付けられました。

主鏡の直径はハッブル(Hubble)宇宙望遠鏡と同じ2.4mですが、搭載されている2つの観測装置のひとつ「WFI(広視野観測装置)」は、その名の通り広視野を一度に捉えられることを特徴としています。
WFIの視野の広さはハッブル宇宙望遠鏡に搭載されている「ACS(掃天観測用高性能カメラ)」の約100倍、「WFC3(広視野カメラ3)」の約200倍。観測ペースはハッブル宇宙望遠鏡の約1000倍に達する見込みです。

太陽系外惑星の直接観測にも挑戦
もうひとつの重要な観測装置は「CGI(コロナグラフ)」です。これは、明るい恒星の光を打ち消し、そのすぐ近くを公転する暗い太陽系外惑星を直接撮影するための技術実証として開発されました。
CGIは単純に恒星を隠すのではなく、レンズやプリズム、鏡面をリアルタイムに変形できるデフォーマブルミラーなどを組み合わせた複雑な装置です。太陽系外惑星で生命の兆候を探るべくNASAが構想中の大型宇宙望遠鏡「ハビタブル・ワールド・オブザーバトリー(Habitable Worlds Observatory)」に向けた、重要なステップでもあります。
【▲ ローマン宇宙望遠鏡に搭載されたコロナグラフの動作を解説した動画(英語)(Credit: NASA's Goddard Space Flight Center)】
数十億の銀河や数万の新たな太陽系外惑星を観測し、宇宙の謎へさらに迫ることが期待されているローマン宇宙望遠鏡の打ち上げまで、もう間もなくです。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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