謝罪会見から4か月――「鹿児島産」と偽り販売し145万円詐取か ふるさと納税返礼品めぐり水迫畜産元取締役を逮捕 業界に波紋
畜産王国「鹿児島」の信頼を揺るがした、指宿市の水迫畜産による牛肉の不適正表示の問題。18日、大きな動きがありました。牛肉の産地を偽装し、県内の企業から代金をだまし取った疑いで、警察が水迫畜産の元取締役の男を逮捕しました。
■ふるさと納税返礼品で産地偽装か 水迫畜産の元取締役を逮捕
食品表示法違反と詐欺の疑いで逮捕されたのは、指宿市の水迫畜産の元取締役・水迫政輝容疑者(55)です。警察によりますと、水迫容疑者は2023年、ふるさと納税の返礼品として送る商品の発注を受けた際、他の県産の牛肉を加工して製造した商品を「鹿児島産」と偽り販売、県内の会社から合わせて、約145万円をだまし取った疑いがもたれています。
当時、水迫容疑者は、食肉加工などを統括する立場で仕入れや在庫管理、商品の原料の指定などは、水迫容疑者が行っていたということです。こうした状況から警察は、今回の事件には水迫容疑者のみが関与していたと判断――。
産地を把握していながら偽装行為を行い、鹿児島産と偽って商品を納め、現金を受け取っていたことから、食品表示法違反だけでなく詐欺の疑いで逮捕したということです。偽装した牛肉は、約60キロで、120パック分とみられています。
水迫容疑者は、調べに対し「意図して偽装したわけではない」と、容疑を否認しているということです。警察は、他の事業者に対しても同様の犯行を行っていた可能性も視野に入れ余罪の有無を調べるということです。
元取締役の逮捕を受け、水迫畜産、水迫栄治社長が、先ほどKYTの取材に応じました。
(水迫畜産・水迫栄治社長(当時・取締役))
「当社から逮捕者が出たことに関しては、ご心配とご迷惑をおかけして申し訳なく思っている」
(内田直之キャスター)
「一連の問題が意図したものではないという主張をこれまでされてきたが、このあた
りについてはいかがか?」
(水迫畜産・水迫栄治社長(当時・取締役))
「そのあたりも当時から変わっているつもりはない。私どもの認識としては、そういっ
たところを社内で感じている部分はない」
■農水省勧告から逮捕へ 水迫畜産問題の経緯
水迫畜産の不適正な表示が明るみになったのは今年3月。「交雑種」や「ホルスタイン」に「黒毛和牛」と表示したり、「原産地」や「個体識別番号」を正しく表示せず販売したとして、農林水産省が表示の是正や再発防止策の実施などを勧告しました。
不適正表示のあった牛肉の多くが、県内8つの自治体の、ふるさとの納税の返礼品になっていたこともあり、畜産王国「鹿児島」の信頼を揺るがす事態に発展しました。寄付額は、合わせて7億5000万円あまりに上っています。
(水迫畜産・水迫政輝容疑者(当時・取締役))
「(再発防止はきちんとまとめきった形でしょうか?)そうですね・・・」
(水迫畜産・水迫栄治社長(当時・取締役))
「お騒がせしております。記者会見ですべてお話します」
水迫畜産は今年4月、再発防止策を国に提出し会見を開きました。
(水迫畜産・水迫栄治社長(当時・取締役))
「このたびは、当社の牛肉製品において不適正表示が確認された。そのことによって鹿児島県の黒毛和牛のブランド、また、ふるさと納税に対しての信頼を大きく毀損する形となったことをとても重く受け止める。心より深くお詫び申し上げる。誠に申し訳ございませんでした」
これまでの経緯や再発防止策などについて説明しましたが、会社は2023年9月末に不適正な表示があったことを把握していたものの、農水省からの勧告を受けるまでの2年半の間、出荷をとめず、自治体や事業者に報告していませんでした。
(内田直之キャスター)
「各自治体や事業者になぜ連絡がされなかったのか。そうすれば被害を最小限にとどめることができなかったのか?と感じるがそこはどう考えるのか?」
(水迫畜産・水迫政輝容疑者(当時・取締役))
「(私として(農水省の)調査が終わったところで、何かしら判断しなければいけないと思っていた。今、考えれば、そこで商品の出荷を停止して、各自治体に速やかに連絡すべきだったと反省しています」
会見の場で反省の弁を述べていた水迫容疑者――。あれから4か月、逮捕となりました。
■「断じて容認できない」自治体が批判
水迫畜産の牛肉を返礼品としていた自治体からは厳しい声が聞かれました。
(鹿児島市・下鶴市長)
「この逮捕というのは、報道で知ったところです。水迫畜産からは、意図的ではないものと説明を受けています。今回の逮捕容疑どおり、意図的なものとすれば極めて遺憾に思う」
塩田知事は「消費者の信頼を揺るがしかねないものであり、ふるさと納税制度に対する信頼も損ないかねないものであり、大変遺憾である」とコメントを発表しました。
郷原市長(鹿屋市)は「畜産業界全体の信頼を著しく失墜させる行為であり断じて容認できるものではありません」とコメントしました。
寄付者への補償は各自治体で進められています。
■組合も憤り 揺らぐ鹿児島和牛の信頼
一連の問題を受け、県食肉生活衛生同業組合は、18日、会見を開きました。
(県食肉生活衛生同業組合・肥後辰彦理事長)
「(組合が)まじめに取り組んでいる矢先に、このような事件が起きて非常に残念に思っている。ホルスタインを和牛で売るなど…。みんな憤りを感じている」
約180の事業者が入る組合。安心、安全な牛肉を消費者に届ける取り組みを進める中、今回の問題が発覚しました。今年5月、水迫畜産を除名処分としました。
(県食肉生活衛生同業組合・肥後辰彦理事長)
「水迫畜産も襟を正して取り組まないと、業界も大変。この事件で消費も落ち込んでいる。今後、信用を取り戻すにはかなりの努力が必要。まじめに販売をしていることを消費者が理解できるような取り組みをしていきたい」
鹿児島が全国に誇る和牛の信頼を揺るがした事件は、業界全体に影響を与えています。

