かつてレディース総長を「張って」いたかおりさん

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 令和7年版『警察白書』によると、令和2〜6年で暴走族のグループ数は113から116、総人員は4505人から4483人へとほぼ横ばい。一方、総人員のうち女性、いわゆる「レディース」の数が197人から271人に増えている。

【写真を見る】二児の母となったかおりさん。レディース暴走族「貴族院女族」を結成した当時の写真も

 30年以上前に出版されていた伝説の暴走族雑誌「ティーンズロード」に掲載され、全国的に有名になったレディース暴走族「女族」元2代目総長・かおりさん。幼い頃から親と一緒に暮らした記憶がない。喧嘩に明け暮れ、自分の居場所を必死に探し続け、たどり着いた場所が「レディース」だった。

 カリスマレディース総長として名を馳せたかおりさんは、CDデビューの誘いを受け、全国からレディース5人が集まり「初代鬼風刃(きふうじん)」としてデビュー。メディアへの出演も増えたある頃、伝説のお昼の番組『笑っていいとも』(フジテレビ)に出演し、ある事件が起こる。そして、凍りつく現場を救ったのは、名司会・タモリだった──。

 社会への不信感を抱く少女らに届く"大人の態度"とは。

 かおりさんが自らの壮絶な非行と再生の人生を語った一冊『「いつ死んでもいい」本気で思ってた…』(大洋図書)より、ヒヤリとする生放送でタモリが見せた手腕を、一部抜粋して再構成する(全3回の第3回。第1回から読む)。

『笑っていいとも』に出演してあわやケンカに

 初代鬼風刃のデビューが決まって、いろんな雑誌、新聞のインタビューを受けた。悪いことをして"少女A"以外で新聞に載ることになるなんて……正直嬉しかった。「うちら、実名で出るんだなぁ」初代鬼風刃全員でそう思った。

 取材では、同じ質問を何社からもされる。「チーム名お願いします」「どうしてCD出そうと思ったんですか?」「目指すところは?」とかね。それに逐一答えていかなければいけないのだが、まだまだヤンキー感が抜けない私たちは、「さっきも言ったよ」なんて、1日に7〜8回も聞かれると最後は不機嫌になりだるい感じで答えていた。だけど、「目指すは、紅白歌合戦」そんな大きい夢をいつしか持つようになっていた。

『笑っていいとも!』に出たこともある。アウトローな人を審査する企画で審査員をやった。最初にタモリさんに挨拶をしに楽屋を訪ねた。

「初代鬼風刃です、よろしくお願いします」
「あぁ、よろしくね」

 タモリさんは、テレビと同じで優しそうな雰囲気だった。

「ねぇ、見た? 本物だよ、サングラスかけてたね」

 私たちは完全にミーハー状態(笑)。

 番組は生放送だから、放送で絶対に使ってはいけない放送禁止用語の一覧表を見ながらスタッフが教えてくれた。

「え〜? これが放送禁止用語なん? うちら一発でアウトじゃん」

 普段よく使う言葉がたくさん入ってた(笑)。

「これ全部使っちゃいけないんじゃ、しゃべんなってこと?」

 びっくりするぐらい生放送って気を遣うんだなぁ。

 本番では、アウトローの審査に栃木県のレディースが出場していた。

「なんだよ、栃木だ? 栃木のどこ?」

 私の血が騒いだ。

「壬生(みぶ)だよ」

 出場した子が言う。そのえらそうな言い方にカチンと来た。調子こんでるやつを見るとついケンカ吹っかけたくなってしまうんだよね。

「なんだ、田舎じゃん。帰れ」

 私はなんと、生放送でキレてしまった。あたりは一瞬ピリッとした空気になった。

 そこはさすが、タモリさん。

「そうだよ、早く帰りなさい」と笑いに変えてくれたのだ。

 ピリピリした空気を瞬時に面白さに変えるタモリさんのフォローに、やっぱり名司会者は違うなぁと感じたものだ。

(了。第1回から読む)

【プロフィール】
かおり/1974年3月3日、台湾・台北市生まれ。幼少期に両親が離婚、出稼ぎで日本に渡った母を追いかけるも母との生活は叶わず非行の道へ。16歳でレディース暴走族「貴族院女族」結成。雑誌『ティーンズロード』掲載がきっかけで、18歳でレディースを卒業後芸能界デビュー。その後結婚したが夫のDVにより離婚、女手ひとつで2人の子を育てた。2022年には初孫も誕生。TikTok: https://www.tiktok.com/@motoredisu.kaori