アイスクリーム店「冨士冷菓」の中村彰宏さん(左)と妻久仁子さん=北海道函館市

 北海道函館市で70代夫婦が営む、1947年創業のアイスクリーム店「冨士冷菓」は、シャーベットも合わせて約40種類のフレーバーをそろえる。毎年のように新たな味を開発し、中には昆布や酒かすを使った変わり種も。夫で元ホテルマンの中村彰宏さん(78)は「思ったものを作れるのが楽しい」と語る。(共同通信=鈴木理明)

 手のひらサイズの容器のふたには、トマトの赤やラムレーズンの紫などフレーバーに合わせた色のシールがぺたり。「ゆっくり選んでください」。店のショーケースの前で目移りしている様子の客に、彰宏さんが優しく声をかけた。手作りで1個350円前後。全種類制覇を目指して何度も訪れる客もいる。

 一昨年新たに発売したのは、地元食材を使った「昆布醤油あいす」。とろろ昆布が練り込まれ口溶けは滑らかで、しょうゆの塩分がうまみを引き立てる。数回の試作で完成し「海の食材は初めてだったけれど、意外においしかった」と話す。

 創業者は妻久仁子さん(75)の父。久仁子さんの祖父が経営していた市内の映画館でアイスキャンデーを売り、飲食店に商品を卸した。1980年代から現在地に店舗を構えて小売りを始めた。

 同時期から店で働く久仁子さんは「お客さんは選ぶのが楽しいだろう」と考え、母とともに次々と新フレーバーを生み出した。彰宏さんがホテル退職後の2011年に店に入ると、商品はさらに多彩に。久仁子さんは「自分は型にはまっていたけれど、夫は新しいものを見つけてくる」と感心する。

 多様なアイスはいずれも、創業当時と同じ製法で作る「ナチュラルミルク」がベース。北海道産の牛乳や練乳を使った、昔懐かしいさっぱりとした味わいが、多くの商品に共通した魅力だ。

 最近体力の衰えを感じ、休日を週1日から2日に増やした。それでも「喜ぶお客さんのためにできるだけ長く続けたい」と夫婦で声をそろえた。

「冨士冷菓」のショーケースに並ぶアイスクリームやシャーベットのカップ=北海道函館市

北海道函館市の地元食材を使った「昆布醤油あいす」

北海道函館市のアイスクリーム店「冨士冷菓」