MOU締結後、日台の専門家らが大鵬湾の現状を視察

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日本と台湾は先月、海洋生態系が吸収する炭素「ブルーカーボン」に関する国際協力プロジェクトを台湾南部の屏東県・大鵬湾で正式にスタートしました。地球温暖化対策として、日本の技術を参考に台湾で実践し、そのモデルをパラオで展開することを目指しています。

■「ブルーカーボン」で国際協力

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台湾南部・屏東県にある大鵬湾。山梨県河口湖ほどの面積の内湾で、マリンスポーツやサイクリングなどのレジャーが楽しめる観光地として知られています。

ここで7月22日、地球の未来を見据えた国際協力プロジェクトが正式にスタートしました。テーマは「ブルーカーボン」。ブルーカーボンとは、海洋生態系によって吸収・貯留される炭素のことで、海草やマングローブなどが生長する際に二酸化炭素を吸収することなどを利用し、地球温暖化対策とするものです。

この日、大鵬湾で行われたのは「台湾・日本・パラオによるブルーカーボン国際協力・交流イベントおよび屏東県大鵬湾ブルーカーボン推進MOU調印記者会見」。台湾の中華碳匯産業推展協会が発起し、大鵬湾国家風景区管理処および海洋委員会が共同主催する形で、それぞれの政府関係者や専門家などが参加するなか、大鵬湾でブルーカーボン計画を推進していくためのMOU(覚書)が締結され、「日本の技術・台湾の実践・パラオでの展開」というスローガンのもと、海を越えた協力関係を推進していくことが確認されました。日本がもつブルーカーボンに関する“技術”を参考に、台湾の大鵬湾で実践、海洋国家パラオでそのプロジェクトモデルを展開するという趣旨で三者が手を握りました。

■「日本の技術」に期待集まる

今回の協力にあたって台湾側が注目しているのは、長崎県大村湾で行われてきた取り組み。当日の会場には大村市の園田裕史市長やブルーカーボンの研究者、日本カーボンクレジット産業振興協会の関係者も出席し、日台協力への決意を新たにしていました。

では、台湾側が求めている“技術”とは何か──?
温暖化対策のために生態系を再生するといっても容易なことではありません。計画を進めるにあたり、まず海草やマングローブが炭素をどの程度吸収して貯留できるのか、科学的に算定する必要があります。
また、安定的に藻場を維持するためには水質を改善し、生態系を再生しなければなりません。さらにそれを持続可能な事業につなげていくプロジェクト運営も求められます。

大村湾では2021年より地元漁協と協力して実証活動を推進しており、長崎大学や東京大学の研究者の協力を得ながら、具体的な知見を蓄積してきています。2022年には企業版ふるさと納税を活用、2026年3月には、Jブルークレジットの認証・発行を実現するなど、一歩先を進んでいることから、台湾側としては国際的に信頼されるブルーカーボンの評価・認証・事業化へつなげるノウハウを求めているのです。

■かつてカキ養殖が盛んで水質改善など課題も

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実は、台湾側が協力を求めたもうひとつの理由に、大村湾と大鵬湾がともに外海へつながる“水の出口”が極めて限定された閉鎖性の高い内海で、水の交換が限られ、水質の悪化や生態系の衰退という課題を抱えていることがあります。

実際、遊覧船に乗って大鵬湾に出てみると、水深が約2〜6メートルと浅い割には透明度が高くないことが実感できました。さらに、この地域ではかつてカキの養殖が大変盛んだったため、高密度養殖やその排水などによっても水質悪化が進んだということです。また、沿岸部は人工護岸も多く、カキの養殖池や関連の構造物が廃業後にそのまま放置されている場所もあることから、現場を視察した専門家は、こうした人工物をまず撤去して元の状態に戻し、流れ込む排水など水質の問題を改善したうえで、マングローブや海草などを植えて、沿岸生態系の回復を図る必要があると話していました。

今回の協力計画で台湾側は2029年までの3年間で大鵬湾における生態系の現状把握や炭素吸収量の測定などを段階的に進め、ブルーカーボンに関するポテンシャルを評価。日本側はそれに基づいてアドバイスを行い、必要な情報の提供も行っていくことになります。