「お金なく病院に行けず…」赤ちゃん2人を遺棄した罪に問われた35歳の女 保険未加入で“孤立出産”「どうしたらいいかわからず」法廷で涙【裁判詳報・求刑 拘禁刑2年6カ月】
「誰にも言えず、すごくつらかった…」
35歳の女は、法廷で静かに胸の内を明かしました。
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2度にわたって出産した赤ちゃんの遺体を遺棄した罪に問われている女の裁判。
「ちゃんと病院に行って、供養できるようにしてあげたらよかった」
法廷で語られた、孤独な出産の背景とは――
(MBS大阪司法担当 柳瀬良太)
「幸せにしてあげられなかった」法廷で語ったわが子への後悔
「すごく申し訳ない気持ちでいっぱい。幸せにしてあげられなかった」
今は亡き2人のわが子への思いを静かに語った女。山地里美被告(35)です。
起訴状などによりますと、山地被告は大阪市で風俗店従業員として働いていた
▼2022年から2023年頃にかけて出産した赤ちゃんと
▼今年1月頃に出産した赤ちゃん
あわせて2人の遺体をビニール袋に入れ、段ボールやマンションのクローゼットの中に遺棄した罪に問われています。
これまでの裁判で、山地被告は「間違いありません」と起訴内容を認めています。
お金の不安と「太っただけ」…周囲に隠し続けた孤独な出産
検察側はこれまでの裁判で、山地被告が風俗店で不特定多数の客から追加料金を受け取って″本番行為″に及んでいたと指摘。
そのうえで、「妊娠検査薬で陽性反応が出たため妊娠を自覚していたが、社会保険や国民健康保険に加入していないことなどから病院を受診しなかった」と明らかにしました。
赤ちゃんは産声上げず 死亡していると思ってクローゼットに放置
また、同僚からお腹が大きくなっていると妊娠を疑われても「太っただけ」と否定して隠し続け、自宅の浴室でたった一人で出産。
自らへその緒を切ったものの、赤ちゃんが産声を上げなかったことなどから死亡していると思い、バスタオルで包んでビニール袋に入れ、クローゼットに放置したなどと指摘しました。
さらに検察は同僚への取り調べの調書として、「2~3年前にもお腹が大きくなっていたことがあり、『大丈夫?』と聞いたが、山地被告は『最近太っている』と話していた」と読み上げました。
母親が語った生い立ちと「相談できなかった」事情
12日の裁判では、山地被告の母親の証人尋問も行われました。
弁護人:「妊娠や出産の相談は?」
母:「何もなかったです」
弁護人:「なぜ相談できなかった?」
母:「常日頃、きちんとした生活をしなさいと口うるさく言っていたから、ちょっと相談しにくかったのかなと思います」
母親の証言を聞きながら、ハンカチで何度も涙をぬぐった山地被告。
また母親は、山地被告が脳性まひの影響で生まれつき右手と右足にまひがあることも明かしました。
「自分の子どもなので」転居のたびに遺体を持ち運び
続いて行われた被告人質問で、山地被告は働いていた旅行会社を退職し、風俗店で働き始めたと証言。
いずれも父親がわからず”望まない妊娠”だったとして、病院に行かなかった理由について次のように語りました。
「すごい悲しかった…」
山地被告:「保険に入っていないし、書類がなかった」「10割負担になると知っていた。お金に余裕がなく行けなかった」
弁護人:「赤ちゃんが亡くなっているとわかった時は、どういう気持ち?」
山地被告:「すごい悲しかった…」
赤ちゃんが亡くなった後も、手続きがわからず、届け出できなかったと証言。さらに、最初に亡くなった赤ちゃんの遺体を段ボールに入れ、転居のたびに持ち運んでいた理由について問われると、胸の内を絞り出しました。
山地被告:「やっぱり自分の子どもなので。どうしたらいいかわからなかったので、一緒に連れていった」
弁護人:「この件が明るみに出ることは、こわかった?」
山地被告:「こわかったし、すごく不安でした」
弁護人:「亡くなった子どもについてどういう気持ち?」
山地被告:「すごく申し訳ない気持ちでいっぱいです。幸せにしてあげられなかったというのもあります」
弁護人:「きちんと弔ってあげられなかったことについては?」
山地被告:「ちゃんと病院に行って、供養できる状態にしてあげたらよかったと今は思っています」
「こわいし、不安」「すごくつらかった」
周囲に助けを求められず、一人で抱え込んでいた当時の心境について振り返りました。
山地被告:「こわいし、不安だし、誰にも言えないので、一人で解決しないといけないというのもあり、すごくつらかった」
検察側「現実から目を背けた」 求刑は「拘禁刑2年6カ月」
検察側は論告で次のように指摘しました。
「自ら出産した赤ちゃんの遺体を、そのまま放置するというもので、死体には大量の蛆が湧いた形跡が認められ、高度に腐敗し、1人の遺体は、もはや人の体としての原型をほとんどとどめていなかった。遺棄の期間も約3か月と約3年以上と長期」
「死体の遺棄を避けようと努力した形跡は見当たらず、安易に問題を先送りし、現実から目を背け続けた。同様の手口で同種の犯行を重ねる事態に至っており、意思決定は強く非難されるべき」などとして、拘禁刑2年6カ月を求刑しました。
弁護側は「執行猶予付き判決」求める
一方、弁護側は「信頼できる相談相手がおらず、誰にも相談できず、一人で出産を決意せざるを得なかった」などとしたうえで、罪を認め反省しているなどとして、執行猶予付きの判決を求めました。
判決は9月17日に言い渡される予定です。
