米の対イラン作戦、出口見えず…海峡開放へ妥協点なく大規模攻撃には慎重論・米軍内ではメールでアイデア募集も
【ワシントン=阿部真司】米国のトランプ政権による対イラン軍事作戦が、出口の見えない状況に陥っている。
事態を打開するため、トランプ大統領は核問題を棚上げする譲歩案を検討した模様だが、イラン側はホルムズ海峡の開放に向けた要求を突き付けるなど対決姿勢を鮮明にしており、行き詰まり感がさらに強まっている。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは9日、トランプ氏が数週間前から、情勢の打開策として、ホルムズ海峡が完全に開放されれば、一方的に「勝利宣言」を行い、イランの核問題に関する合意を結ばないまま幕引きを図る考えを側近に示していたと報じた。米当局者の話としている。
核問題解決は米側が最大の懸案と位置づけてきたもので、トランプ氏はイランによる核兵器開発の阻止を掲げることで、攻撃を正当化してきた。核問題の棚上げは大幅な譲歩となるが、トランプ氏は自身の任期中に、イランが核兵器開発を進めることは不可能だとの認識を示していたという。
だが、その思惑は外れた。イラン側が8日、海峡の開放に応じる条件として、米軍の攻撃に対する損害補償や、イラン関連船舶を対象とした海上封鎖措置の解除など6項目の要求を発表したためだ。米側にとって受け入れがたい内容で、米戦略国際問題研究所(CSIS)の中東専門家は同紙に、「トランプ氏が面目を保ったまま紛争から抜け出すことがますます困難になった」と分析した。
米イランは、6月に全ての戦線で軍事行動を終結する「覚書」に合意した。だが、イランは断続的にホルムズ海峡で船舶への攻撃を重ねた。米軍は報復措置として空爆を続けたものの、イランの妥協を引き出すことはできなかった。
イランを軟化させるには大規模攻撃が必要との見方がある一方、イランに対する新たな攻撃を巡っては、米政権の内外で慎重論が強まっている。
米軍制服組トップのダン・ケイン統合参謀本部議長らは、米軍の弾薬不足が深刻化していることを踏まえ、空爆の再開に否定的な見解を訴えているとされる。トランプ政権が7月下旬にイスラエルとともに計画した大規模空爆は、サウジアラビアなどの賛同を得られず、見送った。中東諸国には地域の不安定化につながる戦闘激化を懸念する声が根強い。
トランプ政権に有効な手立ては残されていないようだ。米CNNによると、米中央軍は7月下旬、対イラン圧力強化に向けた「独創的で型破りな方法」のアイデアを募集する異例の内部メールを複数の関係者に送信したという。
トランプ氏は9日、米主要ニュースサイト・アクシオスの電話インタビューで「我々は控えめに構えている。インフレに苦しみ、金もないイランを注視しているだけだ」と述べ、情勢を静観する考えを示した。米軍による海上封鎖措置がイラン経済を悪化させていると強調したが、新たな軍事作戦には言及しなかったという。CNNは10日、「米国がイランに取り得る選択肢は尽きつつある」との専門家の見方を伝えた。
