JAXAが「H3」ロケット9号機を打ち上げ 「みちびき」7号機の軌道投入に成功
JAXA(宇宙航空研究開発機構)は日本時間2026年8月11日に「H3」ロケット9号機の打ち上げを実施しました。搭載されていた内閣府の準天頂衛星システム(QZSS)「みちびき」の測位衛星「みちびき」7号機について、JAXAは所定の軌道に投入したことを確認したと発表しています。
打ち上げに関する情報は以下の通りです。
打ち上げ情報:H3ロケット9号機
・ロケット:H3ロケット(H3-22S)
・打ち上げ日時:日本時間 2026年8月11日4時23分31秒
・発射場:種子島宇宙センター大型ロケット発射場(日本)
・ペイロード:準天頂衛星システム(QZSS)「みちびき」7号機(QZS-7)
日本時間2026年8月11日4時23分31秒に種子島宇宙センターを飛び立ったH3ロケット9号機は、リフトオフ1分56秒後にSRB-3を分離(※リフトオフからの経過時間はJAXA発表の速報値、以下同様)。リフトオフ5分00秒後には1段目エンジンが燃焼を停止し、その8秒後に1段目と2段目が分離されました。2段目エンジンはリフトオフ5分20秒後から12分43秒後にかけて第1回燃焼、リフトオフ24分26秒後から28分44秒後にかけて第2回燃焼を行い、リフトオフ29分04秒後に「みちびき」7号機を分離しました。
みちびき7号機について
「みちびき」はアメリカの「GPS」との互換性を確保した日本の衛星測位システムです。これまでは4機体制で運用されてきましたが、内閣府は測位精度のさらなる向上と「みちびき」のみでの持続的な測位を実現するべく、将来的には11機体制で運用することを目指しています。
2025年2月には「みちびき」6号機がH3ロケット5号機で打ち上げられ、静止軌道に投入されました。今回打ち上げられた「みちびき」7号機は準静止軌道(※)に投入されます。
※…静止軌道ではゼロになっている軌道傾斜角と軌道離心率が、少しだけ与えられた軌道。地上からはわずかに動くように見える。
内閣府は「みちびき」5号機・6号機・7号機の軌道投入後に「みちびき」の7機体制での運用を目指していましたが、2025年12月に発生したH3ロケット8号機の打ち上げ失敗で5号機が失われたため、今回打ち上げられた7号機が準静止軌道に配置されても6機での運用となります。
衛星が1機故障しても他国の衛星測位システムに頼ることなく「みちびき」のみでの測位を維持できる11機体制の実現は産業界からも強く要望されていることから、内閣府は開発の加速に取り組む方針です。
H3ロケットの本格的な飛行再開への一歩
H3ロケット8号機打ち上げ失敗の原因究明を進めたJAXAは、衛星搭載アダプタ(衛星をロケットに搭載するための部品のひとつ)に生じた損傷が主な要因となって、衛星の脱落やロケット2段目エンジンの燃焼異常に至った可能性が高いとしています。
8号機の打ち上げ失敗を受けて停止していたH3ロケットの飛行再開は2026年6月に打ち上げられた6号機で果たされましたが、6号機は固体燃料ロケットブースターを使用しない「H3-30S」形態(30形態)の試験機として性能確認用ペイロードを搭載していた(この他に6機の小型副衛星を搭載)ことに加えて、8号機の打ち上げ失敗原因究明の評価を行うために補修した衛星搭載アダプタを使用するなど、試験や実証としての側面が強い打ち上げでした。
一方、9号機では製造方法を変更した衛星搭載アダプタが使用されており、今回は原因究明を経て対策が施された機体による大型の実用衛星の打ち上げ再開となりました。今後はJAXAの火星衛星探査計画「MMX」の探査機をはじめ、新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」や、日本企業ispaceの月着陸船「ULTRA」の打ち上げでもH3ロケットが使用されます。
より低いコストで打ち上げ可能な30形態の6号機による成功に続き、本格的な飛行再開への一歩となった9号機の成功を弾みに、日本の基幹ロケットとして次回以降のH3ロケットの打ち上げも順調に進むことが大いに期待されます。
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文/sorae編集部 速報班 編集/sorae編集部
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