「なぜイスタンブールではなくトラブゾン?」 サラーが選んだ“異例の移籍” トルコ名門が仕掛けた極秘獲得作戦と街を変える34億円級の決断
リヴァプールを退団したモハメド・サラーの新天地が、トルコのトラブゾンスポルに決まった。ガラタサライ、フェネルバフチェ、ベシクタシュというイスタンブールの「ビッグ3」が大物選手の獲得で存在感を示してきたトルコで、サラーがイスタンブールではなく黒海沿岸のトラブゾンを選んだことは、大きな驚きをもって受け止められている。
英『The Guardian』によると、トラブゾンスポルのエルトゥールル・ドアン会長がサラー獲得に動き始めたのは、W杯期間中だった。エジプトの試合を見ていた会長がファティ・テッケ監督に「モハメド・サラーが欲しいか」とメッセージを送ったことが、移籍交渉の始まりだったという。
背景には、クラブの熱狂的なファン文化もあった。トラブゾンは人口規模や国際的な知名度ではイスタンブールに及ばないものの、地域全体がトラブゾンスポルを支えるサッカーの街。サラーの加入時には空港が赤い発煙筒で埋め尽くされ、さらに数万人のサポーターが本拠地パパラ・パークに集結した。
サラー自身も入団セレモニーで「こんな歓迎は人生で初めて見た。タイトルを獲得するために来た」と宣言。背番号10を背負い、2028年6月までの2年契約を結んだ。
契約は年俸1000万ユーロに加え、年間700万ユーロの契約ボーナスが設定され、2年間で総額3400万ユーロの純額を受け取る大型契約となった。さらに、クラブ公式ショップで販売されるサラー個人関連商品の売り上げについて20%のロイヤリティーを受け取る条項も含まれているという。
クラブ側にとっても、この移籍は単なる補強ではない。サラー到着から24時間以内に年間チケットが1万7000枚以上売れ、約1100万ポンドの収入を生み出した。チケット、スポンサー、グッズなどを合わせたサラー在籍期間の収益は約2200万ポンドに達すると見込まれており、移籍による投資を実質的に回収できる可能性もある。
もちろん、ピッチ上での挑戦は簡単ではない。トラブゾンスポルは2025-26シーズンに3位で終え、トルコ杯も制したが、ガラタサライはリーグ4連覇を達成。ベシクタシュやフェネルバフチェも大型補強を進めている。
それでも、かつてイスタンブール勢の独占に風穴を開けた「黒海の反逆者」に、世界的スターが加わった。サラーの加入は、トラブゾンスポルのタイトル争いだけでなく、街そのものの存在感を世界に押し上げる一大イベントになりそうだ。

