AIブームでRAM価格が20年前の水準に逆戻り、DDR4の1GB単価は約2年で10倍近くに

AI向けデータセンターで使われる高帯域幅メモリ「High Bandwidth Memory(HBM)」の需要増加を背景に、個人向けのPC用メモリにも値上げの波が広がっています。現行世代のDDR5メモリだけでなく、旧世代のDDR4メモリについても1GB当たりの価格が2年で約10倍に上昇したことが報告されています。
Memory Prices | DAM
https://dam.stanford.edu/memory-prices.html
https://www.tomshardware.com/pc-components/ram/scientist-says-ram-pricing-has-reverted-to-normalized-2007-levels-memory-prices-have-been-falling-exponentially-for-decades-but-the-ai-shortage-undid-20-years-of-progress-in-a-matter-of-months
コンピューター用メモリは半導体製造技術の進歩や微細化によって、長期的には容量当たりの価格が下がり続けてきました。Stanford DAM Projectが公開している長期データでも、DRAMの1GB当たり価格は上下を繰り返しながら数十年単位では大幅に低下しています。

ところが2024年ごろには1GB当たり約0.9ドル(約142円)まで下がっていたDDR4の価格が、2026年7月には約8.41ドル(約1330円)まで急上昇。おおむね2年間で10倍規模の値上がりが起きた形です。

ただしStanford DAM Projectのデータは各時点で販売されている消費者向けメモリの最安価格を1GB単位に換算したもので、同じDDR4でも各月で最安となった製品は異なります。2024年半ば以降はAmazonの価格履歴を収集するKeepaのデータが使われており、平均販売価格やメーカー間の契約価格ではなく「店頭で確認できる最安クラスの価格」を追跡した指標とのこと。
また、現行世代のDDR5は2025年年7月の1GB当たり2.2ドル(約343円)から2026年7月には11.4ドル(約1800円)へと5倍以上高騰しています。

ソフトウェア性能研究者のダニエル・ルミール氏は長期的なメモリ価格を比較し、RAMの容量当たり価格が2007年ごろと同程度まで戻ったと指摘しました。Tom's HardwareによるStanford DAM Projectのデータ検証でも、名目価格で見たDDR5の11.41ドル(約1800円)〜13.28ドル(約2100円)という水準は、DDR2が1GB当たり11ドル(約1740円)〜15ドル(約2370円)前後だった2008年と近い価格です。

長年続いてきた値下がりが急反転した背景にはAIブームがあります。大規模なAIシステムで使われるHBMの需要が急増してメモリ業界全体の生産能力が限界に達した結果、一般的なDRAMの価格も上昇しているとTom's Hardwareは説明しています。
需要の伸びを供給側が追い切れていないことも価格上昇を加速させています。イーロン・マスク氏はメモリ生産量が年間約20%増えている一方、需要は年間200%あるいはさらに速いペースで増えているとの見方を示しています。数字はマスク氏による推定ですが、AI向け需要の増加速度が従来の半導体産業では想定しづらい規模になっているというわけです。
ルミール氏は「今後の状況を予測することは難しい」として、「AIシステムが必要とするメモリ量を減らす方法を見つけるか、より多くのメモリをより速く製造する方法を見つけることになるのではないか」と述べています。約20年かけて進んだ容量当たり価格の低下が短期間で巻き戻された中、Tom's Hardwareは「メモリ価格を巡る状況がいつまで続くのかは分かっていない」としています。
