学生とサラリーマンのオアシスが…(キッチンジローのHPより)

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【写真を見る】見るだけでお腹がいっぱいになる「よくばりジロー」ガッツリメニュー

よくばりジロー

 ハンバーグ、エビフライ、メンチカツ、クリームコロッケ、鶏のから揚げ、カレーライス……と聞いて胸やけするのは中高年で、胸が高鳴ってくるのが腹ペコな若者というものだろう。こうしたメニューから2品あるいは3品を選び、同時に食べられる“よくばりジロー”なるセットメニューで人気を集めてきたのが、洋食チェーンの「キッチンジロー」だ。学生街やオフィス街を中心に多くの店舗を展開していたが、6月で大阪・中之島店が閉店。とうとう全国で、東京・九段下店の1店舗を残すのみとなってしまった。キッチンジローがたどった波乱の道のりとは──。

学生とサラリーマンのオアシスが…(キッチンジローのHPより)

創業者は小林二郎

 1964年に小林二郎によって神田神保町で創業され、その名を冠したキッチンジローは、ガッツリと食べたい学生や若いサラリーマンのランチ需要を中心に、前出の“よくばりジロー”セットや、洋食になぜか豚汁がついてくるサービスが大好評で人気を博す。最盛期の1996年には、直営とフランチャイズを合わせて54店舗まで拡大。なかでも東京・秋葉原にあった外神田店は、アニメ化もされた人気ゲーム「シュタインズ・ゲート」に登場。いわゆる聖地巡礼の対象にもなり、青春の味として“アキバカルチャー”の一翼を担ったほどだ。

凋落のジロー

 そのキッチンジローが、なぜここまで店舗を減らしてしまったのか?

 外食ビジネスアナリストの三輪大輔氏は言う。

「まずハンバーグやフライを店内で調理するキッチンジローは調理技術を持つ人材の採用と育成が必要となり、店舗数が増えるほど負担になってくる。次に多彩なメニューはいいのですが、2000年代以降の外食産業のトレンドとしては特定の商品に絞った専門店が存在感を高めるようになった。それらが複合した結果として、最後に価格帯の難しさがあります。個人経営の洋食店などよりは利用しやすくとも、サイゼリヤをはじめとした低価格ファミリーレストランなどと比べると、圧倒的な安さを打ち出せる業態では無かった」

 かくして徐々に店舗数を減らしたキッチンジローは債務超過に陥り、2018年にファミリーレストラン大手の「ジョイフル」傘下に。夜はバル「ほろよいジロー」として営業する二毛作業態も開始していた。が、そこへコロナ禍が直撃。店舗の多くが、リモートワークが導入されたオフィス街にあったことが逆ザヤとなり、ランチタイムの行列は姿を消した。

 そして2020年、遂に15店舗中の13店舗を一斉に閉店。今年2026年の7月に、東京・九段下店が最後の1店舗になったというワケだ。

実食ジロー

 某日、九段下店を訪ねてみると、昼時を外した時間帯にもかかわらず、お客さんの数はそこそこ。“よくばりジロー”で月見ハンバーグと帆立のミルクコロッケを注文したが、そこから料理人の調理が始まるので、いわゆるファミレスなどよりは待たされる。しかし手作りの料理はやはり美味しいし、豚汁も変わらずホッコリとさせてくれた。トータルで考えると〆て1,300円は決して高くない、と感じたのだが……。

「メニューをハンバーグやフライなど数品に絞り、店内で手作りする工程や職人性を見せていく。かつてキッチンジローを追い込んだ店舗運営の重さを逆手に取って、省人化、省力化が進む外食産業のなかで個性として売りにしていければ、小規模でも支持されるブランドになれる可能性はあると思います」(前出・三輪氏)

 今さらジロー?

デイリー新潮編集部