ケニア出身のウィリーさんと3歳のお子さんを子育て中のシンガー・yurioさん(31)。4月に入園式での家族写真をSNSにアップすると、差別的な投稿が相次いだ。

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 排外主義的な風潮が強まる中、移住も視野に入れているというyurioさんに、国際結婚のリアルや、実生活で感じる「差別」について話を聞いた。(全3回の1回目/2回目に続く)


yurioさんとパートナーのウィリーさん(写真提供=yurioさん、以下同)

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「1年間くらいずっと無視してた」ケニア出身のパートナーとの意外な馴れ初め

――パートナーでケニア出身のウィリーさんとの出会いは?

yurioさん(以降、yurio) 私はシンガーなんですけど、音楽イベントの出演者同士で会ったのが最初ですね。彼はその時DJをしてて。

――ウィリーさんはDJが本職なんですか?

yurio いや、DJは遊び程度で。私に会った時はすでに辞めていたんですけど、もともと20年くらい前に彼が来日したのはバスケット選手としてだったそうです。

 で、今は会社員として働いています。

――はじめて会った時の彼の印象は?

yurio めちゃくちゃ流暢な日本語をしゃべるなって思いました。私は仕事柄、外国の人と接することが多いんですけど、日本語をしゃべれない人も結構いるんですよ。

 でも彼の場合、めちゃくちゃ日本人っぽいイントネーションでしゃべれるのがすごいなと思ったのが記憶に残ってますね。耳がいいんだと思うんですけど。

――地元の名古屋弁でしゃべるみたいな感じですか。

yurio まあ、そうですね。ゴリゴリの名古屋弁ではないけど、こっちの東海地方のなまりといいますか。当時私はヘビースモーカーだったんですけど、「タバコは良くないと思うよ〜」って普通に言われました(笑)。あとはひげが印象的だな、くらいですかね。

 ずっとメールで「ご飯行こうよ」って誘われてたんですけど、当時は彼氏がいたから1年間くらいずっと無視してて。で、その後に私がフリーになったのでご飯に行って交際に至った感じです。

10代の頃に交際した“支配的な人”から「お前はサル以下だ」と言われ…

――外国の方と接する機会が多かったということですが、パートナーとしてお付き合いすることもあった?

yurio ありました。私は、気の合う人だったら国籍とか人種とか関係ないので。

 ただ、10代の頃に交際した人たちがあんまり良くなかったというか、支配的な人が多かったんですよね。

――束縛してくるような感じですか。

yurio ああ、そうですね。ずっと付き合ってた人が私の自己肯定感を下げてくるタイプというか。連絡をこまめにしないと怒ったり、ちょっとでも気に入らないことがあると「お前はサル以下だ」とか言ってきて。あとは服装についてもすごい指摘されましたね。

――露出が多い服を着るなとか?

yurio それもそうだし、私は当時ギャルギャルしてたんですけど、「ローリーズファームを着てほしい」って言われたり。

「自己肯定感を上げてくれたのが、はじめて付き合った外国の人だった」

――ギャルはローリーズファームはあんまり着ないですよね。

yurio あとは「カラコンをしてるお前が好きだ」って言われてカラコンを外せなくなっちゃったりとか。若い頃っていわゆる“メンヘラ”を通る人も多いと思うんですけど、私もすごいヘラってる時期があって。

 で、それを解放してくれたというか、自己肯定感を上げてくれたのが、はじめて付き合った外国の人だったんですね。

――無理せずにいられたというか。

yurio ですね。スッピンだろうがダル着でいようが、ほんとにありのままを肯定してくれるというか、すごい褒めてくれて、とにかく自信を持たせてくれる人だったんです。

 ああ、カラコンしなくていい、好きな服着ていいってなんて楽なんだろうと思いましたね(笑)。

 あとは実家にホームステイでお姉ちゃんの留学仲間が来ていたこともあって、それがきっかけで英語を勉強したりしてて。だから外国の人と付き合うことに抵抗もなかったし、むしろ自分の世界観が広がってうれしかったです。

「お、外国人だ」公衆浴場で下半身をジロジロ見られ…パートナーが日本で感じる“差別”

――ウィリーさんはケニア出身ということですが、日本に来てカルチャーギャップもあったのでしょうか。

yurio 家庭の事情で小さい頃に色々な国を転々としていたので、ケニア出身といってもいろんな国で暮らしてきた人なんです。

 来日して感じたことで聞いたのは、日本は治安がいい点では住みやすいけど、めちゃくちゃ差別を感じるから住みにくい、とも言ってました。

――どんな差別があったのでしょうか。

yurio 彼は背も190センチくらいで大きいから目立つのもあると思うんですけど、やっぱり視線を感じるみたいで、じーっと見られるのがすごい嫌だとは言ってました。日本に来て20年も経つので慣れたとはいえ、ずっと変わらず見られるんですよね。

 あとは、温泉とかは絶対行きたがらないですね。外国人は下半身が大きいみたいな話があるじゃないですか。

――公衆浴場の場で下半身をジロジロ見られるんですか。

yurio らしいです。「お、外国人だ」みたいな感じでめっちゃ見られるから、ほんとに行きたくないって。家族で温泉も行くんですけど、絶対お部屋にお風呂があるところしか行かないですね。

「どうせ黒人男性の下半身に惹かれて結婚したんだろ」と言われることも…

――日本人として恥ずかしいです。

yurio スレッズで幼稚園の入園式の写真を上げたらバズったんですけど、リプで「どうせ黒人男性の下半身に惹かれて結婚したんだろ」みたいなコメントをつけてくる人がめちゃくちゃいて。

――ひどいですね。

yurio あとは「国へ帰れ」とか「税金は納めてるのか」とか、いろいろヘイトがきて。「ちゃんと納税してます」とかって真面目に返すと、「すいません」ってなって、なんなんだこれはと思いました。

「子どもがこんな髪型させられててかわいそう」というコメントもありましたね。どうして黒人がブレイズにするのかも知らないんでしょうから、それも説明しました。

――ウィリーさんも投稿は見ていたんですか。

yurio スレッズはやってないので見てないし、嫌な話はしなくていいかなと思って、私からも話さなかったです。

 私が冷静に対処できるのは差別を受けてきてないからであって、彼にはトラウマもあるので。

「肌の色が違わなかったら絶対言ってこない」家族で歩いている時に街中で感じる“差別的な視線”

――ウィリーさんのトラウマについて話をしたことはありますか。

yurio ありますよ。幼少期、他国へ移住したら差別的な先生がいて暴力を振るわれたことがあったとか。

 大人になってからは、差別に負けないよう屈しないメンタルを育むとか、毎日ジムに2回行っているのも、なめられないように鍛えてるのかなと思いますね。

――一緒に街中を歩いていて視線を感じることもありますか。

yurio めちゃくちゃ感じます。日本人と歩いてる時に視線なんて感じたことはなかったので、圧倒的です。

 息子が0歳のとき、ショッピングモールでパンを食べてたら、おじいちゃんに「あんたの子?」と聞かれたことがあって。

「はい」と答えたら、「そうか。かわいいね」と言って帰っていったんですけど、肌の色が違わなかったら絶対言ってこない言葉じゃないですか。ショックでしたね。言いやすい相手を選んで言ってるなとも思いました。

――夫のウィリーさんがいると直接言ってこない?

yurio そうです。同じように国際結婚した友だちも言ってたんですけど、言いやすい相手を選ぶから、旦那と子どもと3人でいる時は言ってこないけど、お母さんと子どものセットの時だけ、「国へ帰れ」とか「まともな結婚できなかったのか」とか、「ビザ目的だろう」って言葉をぶつけて来る人がいると。最近はヘイトの言葉を投げつけられることがめっちゃ増えてると聞きました。

スーパーの駐車場でおじさんに怒鳴られて…

――女性差別と外国人差別が合わさってるというか。

yurio ちょっと前に旦那と息子と3人でスーパーに行った時、駐車場で前の車が急にバックしてきたんです。危ないと思ってクラクションを鳴らしたら、「うるせーわー!」ってその前の車のおじさんが怒鳴ってきたんですよ。

 で、旦那がバッと、「子どもが乗ってるのに危ないだろ!」と注意しに言ったら、あっという間におじさんはどこかに消えました。

 まさかNボックスからあのでかい人が出てくると思わなかったんでしょうけど、軽に乗ってる女だと思ってなめてかかってきたのがよくわかりました。

――そんな中でyurioさんが国際結婚の発信をはじめたきっかけはなにかあるのでしょうか。

yurio 自分があえて「国際結婚」を出して発信したいなと思ったのは、同じ仲間が集まるんですよね。みんな同じような悩みを抱えているので、それがまとまったひとつの声として届いたらいいなと思って、今回も取材をお受けしたんです。

写真提供=yurioさん

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(小泉 なつみ)