50時間にわたる観測で見えたその素顔 “ちょうこくしつ座”の渦巻銀河「NGC 300」
こちらは、ESO(ヨーロッパ南天天文台)のラ・シヤ天文台にあるMPG/ESO 2.2m望遠鏡で観測した渦巻銀河「NGC 300」です。ちょうこくしつ座の方向、地球から約600万光年先にあります。

NGC 300は、19世紀初頭にスコットランドの天文学者ジェームズ・ダンロップが発見した渦巻銀河です。淡く青白い光を放つ渦巻腕(渦状腕)には、星形成領域を示す電離水素領域がピンク色の斑点としていくつも連なり、まるで宝飾品のような美しさを感じます。
50時間にわたる観測で個々の星を把握
ESOによると、NGC 300は南天でもとりわけ明るく目立つ渦巻銀河のひとつで、双眼鏡でも見つけることができます。近くの銀河「NGC 55」と重力で結びつき、将来は合体する可能性もあるとみられています。
際立った特異性のない銀河ですが、それもまたひとつの特徴と言えます。ESOによれば、標準的な渦巻銀河と言えるNGC 300は、天の川銀河をはじめとする渦巻銀河の構造や組成を調べるうえで格好の観測対象になっているといいます。
冒頭の画像は、MPG/ESO 2.2m望遠鏡の観測装置「WFI(ワイドフィールドイメージャー)」で数年にわたって取得されたデータを使って作成されました。総露光時間は約50時間に達するといいます。これほどの手間をかけてNGC 300を観測したのは、恒星の数や種類をもれなく把握し、より詳しい観測が必要な星々や領域を拾い出すためでした。
ブラックホールや周辺の暗い銀河など相次ぐ発見
そんなNGC 300は、これまでにも興味深い発見の舞台となってきました。
ESOによると、NGC 300で見つかったX線源「NGC 300 X-1」は、太陽の約26倍の質量を持つウォルフ・ライエ星(進化末期にある高温の大質量星)と、恒星質量ブラックホールからなる連星系であることが確認されています。発見当初、ブラックホールの質量は太陽の約20倍と見積もられていましたが、その後の観測を通じて約17倍に下方修正されています。
また、2024年には、NGC 300の方向で非常に暗い矮小銀河「Sculptor A」「Sculptor B」「Sculptor C」を発見したとする研究成果も発表されました。このうちSculptor Cは、NGC 300の衛星銀河(伴銀河)である可能性が高いとされています。これらの銀河は古い恒星ばかりで構成されており、銀河で星形成が停止する経緯の手がかりが得られるかもしれないと注目されています。
冒頭の画像はESOから2010年9月8日付で公開されたもので、ESOの公式SNSアカウントが2026年7月30日に改めて紹介しています。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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