スピードスケートで日本女子最多となる通算10個の五輪メダルを獲得した高木美帆さんが4日、首相官邸で行われた国民栄誉賞授与式に出席した。スピードスケート界では初の受賞。国民栄誉賞は1977年に創設され、野球の本塁打世界記録を達成した王貞治さんや、歌手の美空ひばりさんらが受賞し、2023年3月の車いすテニス男子の国枝慎吾さん以来、29例目となる。

 授与式後、取材に応じた高木さんは「本当に名誉ある賞をいただけて光栄で、身に余る思い」と感想を述べた。そして「長い期間スピードスケートを続けてこれたこと、これまで残してこれた成績は1人では成し遂げられなかったものだと思う。スピードスケートを始めるきっかけになった先輩たちは、私が軌道に乗るまで走り続けた先輩方がいた。スピードスケートではじめて賞をいただけたが、私一人ではなく、スピードスケートの代表として受けさせてもらえればと思う」と感謝も口にした。

 高木さんは10年バンクーバー五輪に、日本スピードスケート史上最年少の15歳で初出場し「スーパー中学生」として一躍、話題となった。18年平昌五輪では姉の菜那さんらと滑った団体追い抜きの金などメダル3個。22年北京大会は1000メートルの金など、冬季五輪日本勢初の1大会4個のメダルを獲得した。4度目の出場だった今年2月のミラノ・コルティナ五輪は銅3個を手にし、3月の世界選手権を最後に現役を引退した。五輪だけでなく1500メートル世界記録樹立、日本人初の世界選手権オールラウンド部門優勝など、長年第一線で活躍し続けてきた。

 先月28日に受賞が決まった際は「この度の国民栄誉賞の受賞、大変嬉しく思うと共に、正直なところ、私一人が受け取るのには、身に余る光栄だという思いもあります。スピードスケート競技では初めての受賞となりますが、これもひとえに歴史を作り続けてくださった諸先輩方や、共に戦い続けてきた仲間たち、支えてくれた関係者の皆さまのおかげです。そして何より、応援してくれる家族と、ファンの皆様がいたからこそ。皆さまを代表して受け取る心意気で、拝受したいと考えております」とコメントしていた。

表彰文は以下の通り。

表彰状

郄木美帆殿

あなたは、日々の修練と人一倍の努力の積み重ねにより、長年にわたりスピードスケートの第一人者として世界の第一線で活躍され、オリンピックで我が国女子選手として最多となる金メダル2個を含む通算10個のメダルを獲得し、スピードスケート・ワールドカップで我が国最多となる通算38勝を挙げるなど、歴史に残る快挙を成し遂げ、国民に広く夢と感動を、社会に明るい希望と勇気を与えられました。

よって、ここに国民栄誉賞を贈り、これを表彰します。

令和8年8月4日

内閣総理大臣 高市早苗

 ◆高木 美帆(たかぎ・みほ)1994年5月22日、北海道・幕別町生まれ。32歳。帯広南商、日体大卒。2018年世界選手権総合優勝。19年に1500メートルの世界記録樹立。20年全日本選手権で史上初の5種目V。五輪は10年バンクーバー大会に史上最年少15歳で出場し、通算10個のメダル(金2、銀4、銅4)は夏冬通じ日本女子最多。家族は両親と兄、平昌五輪2冠の姉・菜那さん。164センチ。

 ◆国民栄誉賞 1977年に野球で本塁打の世界記録を打ち立てた王貞治選手(当時)の功績をたたえるため、政府が創設。首相が授与式で表彰状や記念品を贈る。当初は広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与える顕著な業績を残した個人が対象だったが、2011年にサッカー女子W杯で初優勝した日本代表「なでしこジャパン」に贈る際、団体でも受賞できるように規定を変更。慣例として100万円相当の物品が副賞として贈られる。過去に27人と1団体が受賞。