2016年熊本地震でも開設された「ペット同伴避難所」

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 7月28日16時27分ごろ、熊本県熊本地方を震源とする地震が発生し、宇城市と氷川町で最大震度7を観測した。熊本県は31日11時時点で、死者35人を含む人的被害が126人に上ったと発表。熊本は2016年の地震に続き、再び甚大な被害に見舞われた。

【写真を見る】「ペット避難所」の開設にあたった徳田竜之介獣医師。避難所の内部の写真も

 特に大きな被害が出たのが、上益城郡嘉島町の大型商業施設「イオンモール熊本」だった。地震発生から約1時間後、建物の2階南側中央付近で爆発が発生。従業員による利用客の避難誘導は完了していたものの、館内に残っていたテナント従業員らが巻き込まれた。これまでに12人が救助され、うち7人の死亡が確認されている。

2016年熊本地震でも開設「ペット同伴避難所」

 地震後のSNSでは、人々の安否とともに、施設内にいた動物たちを心配する声も広がっていた。

 イオンモール熊本には、ペット用品や美容サービスを扱う「ペテモ熊本店」や猫カフェ「Cat Cafe MOFF」などのテナントが入っている。現場の情報が錯綜するなか、SNSでは〈動物たちの避難はちゃんとできたのか〉〈爆発に巻き込まれていないといいな〉など、動物たちの安否を案じる投稿が相次いだ。

 こうした声が上がるなか、イオンペットは30日、同社とテナントのスタッフ、店内にいた犬と猫の「全員の無事が確認できております」と発表した。一方、爆発後も館内に残されていた「Cat Cafe MOFF」の猫25頭についても29日、消防や警察、イオンモール関係者の協力を得て、すべてが無事に救出・搬出されたことが報告された。

 災害時に動物の命をどう守るかということは重要な課題だ。熊本市では、地震発生からわずか1時間後、ペットと飼い主が同じ施設内で過ごせる避難所が設けられていた。避難所開設にあたった竜之介動物病院の院長で、九州動物学院の理事長である徳田竜之介獣医師が、その背景を語る。

「東日本大震災で、ペット同伴避難所の必要性を痛感しました。ボランティアで現地に入ったところ、ペットと一緒に避難できる避難所がほとんどなかったんです。ペットを見捨てることができない飼い主さんたちが車中泊で過ごすなど、大変な状況を目の当たりにして、その経験から、動物病院と専門学校を新築する際、耐震性を高め、避難所として機能するように備えたんです」(徳田獣医師)

 その備えは2016年の熊本地震で生かされたと、徳田獣医師は語る。当時、徳田獣医師はいち早くペット同伴避難所を開設し、多くの飼い主とペットを受け入れた。その後も、病院・学校では抜き打ちの避難訓練を行い、防災態勢を整えてきた。

 訓練などの成果は、今回の地震における避難にも表れたという。同学院の教務課長・井上竜一さんが、地震発生時の状況を振り返る。

「地震が発生したのは、生徒たちが下校する直前でした。『ドン!』という大きな音とともに激しく揺れ、10年前と同じくらいの大きさに感じました。ただ、前回よりも揺れが長く続いた印象です。

 生徒たちはすぐに身を低くし、揺れが収まってから建物の外に集合して点呼を取りました。女子生徒が多いのですが、泣いたり抱き合ったりするなど、みんな動揺していました。すぐに保護者へ連絡し、生徒同士でも励まし合ううちに、次第に落ち着きを取り戻しました。帰宅できない生徒については、学校に泊まれるように対応しました」

 その後は帰宅困難となった生徒を支えながら、避難所の開設準備も同時に進めた。

「まず、避難者を受け入れられるよう、散乱した物を片付けて、教室を避難スペースに変えていきました。有志の生徒たちも手伝ってくれ、問い合わせが入り次第、受け入れを進めました」(同前)

すでに30組以上が避難

 今回の地震では、すでに多くの飼い主とペットを受け入れている。前出・徳田獣医師が続ける。

「現在までに30組以上の方が利用しています。問い合わせは、その3倍以上あったようです。犬と猫はさすがに同じ空間では過ごせないので部屋を別々にし、また避難した人たちのプライバシーが守られるように、施設内にはテントを設置しています」(徳田獣医師)

 徳田獣医師は、災害時に弱い立場に置かれるペットへ目を向けることこそ、「本当の防災」だと語る。

「日本人特有だと思うのですが、飼い主さんたちは、他人に迷惑をかけることを非常に嫌い、我慢してしまう傾向があります。

 また、これまでの災害で、ペットは見捨てられることもありました。普段は家族の一員であるペットも、災害時には『動物なんて』と言われてしまうことがある。ペットとの絆で助かっているのは飼い主のほうでもあります。だからこそ、一緒に避難できる場所が必要なんです」(同前)

 余震への警戒が続くなか、避難生活を送る人とペットは少なくない。飼い主とペットが離れることなく過ごせるこの避難所は、そうした人たちを支えている。