キーボードやマウスなどを手がけるKeychronが、ゲーミングマウス向けのオープンソースファームウェア「ZGM」を発表しました。ZGMはリアルタイムOSのZephyr RTOSを基盤とし、低遅延な入力処理やハードウェアに応じた柔軟なカスタマイズを可能にすることを目指しています。正式公開は2027年第1四半期が予定されています。

ZGM Firmware - Zephyr Gaming Mouse

https://zgm.gg/



GitHub - Keychron/zgm: Open source gaming mouse firmware built on Zephyr RTOS. Low latency, full customization, extensible driver model. · GitHub

https://github.com/Keychron/zgm

ゲーミングマウスには、センサーから読み取った移動量の処理、ボタンを押した際の判定、チャタリングを防ぐデバウンス処理、スクロールホイールや照明の制御などを担うファームウェアが搭載されています。しかし、一般的なゲーミングマウスのファームウェアはメーカーがソースコードを公開しておらず、利用者が内部の処理を確認したり、動作を変更したりすることは困難です。

一方、メカニカルキーボードの分野では、オープンソースファームウェアのQMKやZMKが広く利用されています。利用者や開発者はキー配置やマクロなどを自由に変更できるほか、新しいキーボードや部品に対応する機能をコミュニティーで追加できます。Keychronは、このようなオープンな開発文化をゲーミングマウスにも広げるためにZGMを開発したと説明しています。



ZGMは応答速度と一貫性を重視した低遅延の入力処理に加え、ボタン、センサー、スクロールホイール、照明などの動作を変更できる設計になる予定です。また、部品ごとの処理を独立したドライバーとして実装するモジュール式の構造を採用し、センサーやマイコンが異なる製品にも対応しやすくします。

通信方式については、有線USB接続と無線接続の両方を想定しており、無線マウスに必要なバッテリー管理や省電力機能も計画されています。ファームウェアはGPL-3.0ライセンスで公開され、ソースコードの確認や変更、再配布のほか、独自の派生版を開発することも可能になります。



ZGMの基盤となるZephyr RTOSはマイコンや周辺機器を幅広くサポートするオープンソースのリアルタイムOSです。Keychronは、Zephyr RTOSが備えるデバイス管理機能や拡張性の高いビルドシステムによって、複数のハードウェアに対応しながら長期的に保守できるファームウェアを構築できるとしています。

開発ロードマップにはファームウェアの基本構造に続いて、ボタンやスクロール操作をPCへ送るHID処理、マウスセンサーの統合、有線USB接続、ハードウェアごとの差異を吸収する仕組みなどを実装する計画が示されています。その後は、遅延や安定性を測定する検証環境を整備し、照明、無線通信、製品ごとのカスタマイズ機能へ対応範囲を広げる方針です。



ZGMを最初に搭載する予定の製品は、Keychronのワイヤレスゲーミングマウス「G6 HE」です。Keychronによると、G6 HEは光学式と磁気式を組み合わせたスイッチを採用しており、ZGMによるカスタマイズや低遅延処理に対応します。

ただし、記事作成時点でGitHubリポジトリはプロジェクトの基本方針や開発規則、ロードマップなどが公開されている初期段階です。実際のファームウェアのソースコード、対応基板、ビルド方法、マウスへ書き込む手順などは準備中であり、すぐに既存のマウスへ導入できる状態ではありません。

Keychronは完成するまで開発内容を非公開にするのではなく、早い段階から方針を公開することで、開発者や利用者から意見や技術的な貢献を受け付ける考えを示しています。ZGMが複数メーカーや幅広い製品で利用できる基盤へ成長すれば、メーカー独自の非公開ソフトウェアに依存してきたゲーミングマウスの開発やカスタマイズのあり方が変化する可能性があります。