広島テレビ放送

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 2025年シーズン大きな被害を受けた広島の特産・カキ。事態の改善につなげようと産地のひとつである東広島市安芸津町では広島大学の大学院生らによる地道な調査が行われています。 

 梅雨明け直後の7月10日。東広島市安芸津町で海の調査を行うのは広島大学大学院の小池教授です。

■広島大学大学院 総合生命科学研究科 小池 一彦 教授
「去年のような9割以上死んでしまう事態が2年続くと漁業者の経営体力を削ってしまうので。とにかくやれることをやっていくしかない。」

 大学院生の美野森也さん。実家のマルムラ美野水産は、4代にわたりカキを養殖しています。

■広島大学大学院 総合生命科学研究科 美野 森也さん
「去年のカキのへい死の被害をもろに受けているカキ。口が開いている。ぜんぶ空。初めてのことだった。お父さんとかおじいちゃんに聞いても、9割死ぬのは初めてのことなんで、ショックは相当大きいですよね。潰れるんじゃないかっていうの は、頭にまず第一にありました。」

■広島大学大学院 総合生命科学研究科 小池 一彦 教授
「上も冷たいね。3度違うね。」

■広島大学大学院 総合生命科学研究科 永田 悠大さん
「そうですね。あっちは24,7だったんで。ここは22度ぐらいです。」

 特殊な機械を使って調査するのが大学院生の永田悠大さんです。水温に加え、塩分濃度やカキのエサとなる植物プランクトンの量などを測定します。自ら開発したアプリを使い毎週行う調査の結果を伝えます。

■広島大学大学院 総合生命科学研究科 永田 悠大さん
「ここを3年間調査を続けてて、毎週毎週やっててデータを持っていたのでそれをどうにか生かせないかな と思って考えたときに、漁業者さんに見れるようなかたちにできたらなと思った。」

 梅雨明け直後のこの日、表層水温は24.3度。8月にかけ範囲を広げながら調査していきます。

■広島大学大学院 総合生命科学研究科 小池 一彦 教授
「去年より低いかね。」

■広島大学大学院 永田 悠大さん
「今の時期は低いですね。」

■広島大学大学院 総合生命科学研究科 小池 一彦 教授
「ただここからですよね。今からどんどん上がっていくので。特に雨も降らない。去年も梅雨明けの時期から、晴天が続いて、水温がグングン上がって川から栄養の供給もなくなるので、餌も少なくなる。カキにとっては高水温・餌不足というダブルパンチが去年効いたんだと思います。」

 対策として期待されるのが広島大学と地元企業が共同開発した揚水装置「スパロウ」です。7メートルほどつり下げられたパイプから冷たい海水を引き上げ表層水温を1度近く下げることができます。

■広島大学大学院 総合生命科学研究科 永田悠大さん
「1度2度言われると人からすると体感するのは難しいかもしれないけど、海の生き物にとっては水温はすごい大事で1度2度で行動が変わったりするので。」

 またエサとなる植物プランクトンの種も海底付近から引き揚げるため、カキの成長も促します。

■広島大学大学院 総合生命科学研究科 小池 一彦 教授
「おととし2024年も水温はすごい高かった。去年よりも高かった。ただ餌がいっぱいあったんです。だから水温だけじゃなくてエサがあるかないかっていうのもすごく大事。」

 実家が生産者の美野さんも現状を受け止めます。

■広島大学大学院 総合生命科学研究科 美野 森也さん
「高水温というのはもう変わらないんで、結構カキにとってはきついのが多分これから先続く。かなとは思いますけど。とても重要な1年になるんじゃ ないですかね。と思ってます。ちょっと言葉にするのは難しいですけど。」

(スタジオ)

取材をした7月10日の表層水温は24.3度。7月21日の調査では27.6度と大きく上昇。

 小池教授は海水温とともにカキのエサがあるかどうか。大きく関わるのは雨の量。実際、2025年に比べると2026年は梅雨の時期に雨が降ったのでこれまでのところカキのエサとなる栄養分あります。

美野さんが東広島市に報告した生育状況は、ここまでのところは順調に稚貝は成長しています。

東広島市のクラウドファンディング型ふるさと納税、6月補正予算に組み込まれた約800万円。内訳としては1つの筏に600本のワイヤを吊すところを480本に減らす。それにより獲れるカキの数は少なくなるが、カキ同士のエサの奪い合いがなくなるので、1つ1つの身ぶりが良くなれば生産の安定にもつながるのではという取り組み。

●海底耕運海底を掘り起こしてエサとなる植物プランクトンを増やす狙い。

●高温耐性のカキの養殖実験

30日に新たな動きがありました。東広島市の賀茂泉酒造がカキをモチーフにしたラベルのお酒の売り上げから30万円を小池研究室へ寄付。

 西条酒造協会では売り上げの一部を山や森の保全活動を行っていて山から海に流れていく親和性があるということで今回、寄付を決めました。

 小池教授も「カキは森から来るような微生物をエサにしていることもわかっている。海だけではなく森と川とのつながりが大事。」

【2026年7月30日 放送】