黒海でロシアとウクライナの応酬激化…穀物輸出ルート標的、価格急騰の懸念高まる
ロシアとウクライナの間で今月に入り、黒海とアゾフ海での攻撃が激化し、双方の穀物輸送が打撃を受けている。
穀物輸出大国の両国は相手の輸出ルートを封じ、戦費調達を妨げる狙いだ。港湾や輸送船への攻撃は、ロシアによるウクライナ侵略開始後で最大規模と指摘されており、価格急騰の懸念が高まっている。
港湾・船被害 小麦急騰
露国防省は27日、露軍が黒海に通じる河川沿いにあるウクライナ南部の輸送施設や貨物船2隻を攻撃したと発表した。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領も27日、ウクライナ側が露南部の輸出ターミナルなどを攻撃したとSNSに投稿し、「ロシアの戦争資金の調達を抑える」と表明した。
双方による港湾施設や寄港する民間船への攻撃は以前から続いていたが、一段とギアが上がっている。
発端とされるのが、ウクライナが今月上旬、ロシアが併合を宣言したウクライナ南部の本土やクリミアに囲まれたアゾフ海で攻撃を強化したことだ。ゼレンスキー氏は6月、無人機など中・長距離攻撃により「ロシアに戦争終結を迫る40日間の作戦」の開始を発表しており、その一環とみられる。これに対し、露軍も今月10日頃から黒海やウクライナ南部オデーサ州などへの攻撃を強化した。
ウクライナの無人機部隊の司令官は6〜22日にアゾフ海と黒海で穀物運搬船を含む196隻を攻撃したと主張している。ロイター通信は、黒海で20日までに穀物運搬船を含む民間船約30隻が露軍に攻撃されたと報じた。
両国は穀物の収穫期を迎えており、輸出に影響が出ている。
ロシアは世界最大の小麦輸出国で、世界総輸出量の15〜20%を占める。露有力紙コメルサントによると、ロシアの7月の小麦輸出は最大20%減少する見通しだ。露政府は輸出の代替ルートの検討を表明しており、バルト海経由などが取り沙汰されているが、輸送コストの面などから現実的ではないとみられている。
ウクライナ農業相も23日、船舶各社が農産物輸出のためにオデーサ港を含む黒海沿岸の港へ入港することを停止したと表明した。黒海を経た輸出は当面は困難になったとみられる。露軍はウクライナの耕作地などに対しても攻撃を続けている模様だ。
ロイターは24日、国際価格の指標となる米シカゴ商品取引所の小麦の先物相場が、2年ぶりの高値まで急騰したと報じた。トウモロコシなどの主要穀物も値上がりしているという。米ブルームバーグ通信は、中東情勢の緊張で起きた肥料供給の混乱や、今年の欧州の熱波など異常気象による農作物被害も重なり、穀物価格の上昇に拍車をかけかねないとの見方を示した。

