【ラグビー】日本代表、アイルランドに力負けも…20-36の裏側にある現実と収穫 控え選手の選択に検討の余地あり

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アイルランド戦は日本の現在地を知る重要な機会となった(C)Getty Images

 現地時間7月11日にオーストラリア・ニューカッスルでラグビー日本代表(世界ランク12位、以下ジャパン)とアイルランド代表(同3位)との、ネーションズチャンピオンシップラウンド2が行われ、20-36でジャパンが敗れた。両国代表の通算成績はジャパンの1勝13敗。ジャパンは2019年に日本で開催されたラグビーW杯予選プールの対戦で勝利して以降4連敗となった。

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 この試合、ジャパンのスタートは悪くなかった。前半4分、相手ラインアウトのスローがキャチャーを大きくオーバーしたところを、ディフェンスのために前に詰めていた左WTBメイン平がクリーンキャッチし、そのままインゴールまで走り切って先制トライ。相手のミスにうまく乗じ、ジャパンの強みであるスピードを見せつけての先制パンチは、この一戦のジャパンにとっての明るい結末を予感させた。

 しかし、前半だけで3回のノットストレートを犯し、安定しなかったアイルランドのラインアウトに付け込めたのはこの1回のみ。アイルランドはミスを致命傷にしない手堅いディフェンスと、強いフィジカルを全面に押し出したパワープレーで、この後の前半は攻めに攻めてきた。密集近辺をしつこく突いてジャパンのFWを引きつけ、BK同士のコリジョンでは体格差を活かしてボールを確実に保持しながら小刻みに前進。ゴール前に迫ると、今度はラックサイドをパワーランナーが次々に突いて、ジャパンディフェンスをねじ伏せる、という判で押したような同じパターンで3トライを奪った。

 ジャパンの攻勢の時間帯もあり、ゴール前まで迫って相手の反則を誘い、PGを2本返して追いすがり、前半は13-19と、僅差で終了。ここ数試合の敗戦時のように、前半終了までにほぼ試合の趨勢が決しているという状態ではなかった。内容的にも、アイルランドの「お約束」の攻撃パターンを防ぎきることはできなかったが、相手をスピードで上回ってチャンスに結びつける場面もあり、後半に期待が持てた。

 しかし、追撃したいジャパンに痛いアクシデントが生じた。イタリア戦でラインアタックのアクセントとしていい働きを見せていた左CTB廣瀬雄也が前半終了間際に負傷退場。さらに後半開始からはディフェンスの中心であり、アタックの切り札でもある右CTBディラン・ライリーもサム・グリーンとの入れ替えでピッチから消えてしまったのだ。

 廣瀬の代役ティエナン・コストリーはWTBでの起用例はあるし、フィジカルもアイルランド勢に引けは取らないが、流石にいきなりBKラインに入って、複雑なムーヴィメントをこなすまでにはフィットしておらず、BKラインで相手デイフェンスを切り崩すというレベルにまでは残念ながら達しなかった。そんな中でも、後半19分にはアイルランドのお株を奪うような連続攻撃でトライラインに迫り、トライを取り切って見せた。これは昨シーズンからの進歩の一つの現れと言って良いだろう。

 しかし、この後は残念ながらフィットネスの差が出てしまった。前半のアイルランドの3トライは得点以上にジャパンのスタミナを奪う効果をもたらしていたようだ。後半31分にPGを奪われると、終了間際にはジャパンがシンビンで一人少ない状況下を活かした力づくのトライを奪ってジャパンの息の根を止めた。

 この試合のテリトリーはジャパン46に対し、アイルランド54、ボールポゼッションはジャパン43に対しアイルランドは57。さほど差はないのだが、アイルランドは自チームが優勢な際には必ずトライをとって帰って行った。ジャパンも各局面で劣勢を強いられながらも、自チームが上潮に向いた際にはかなりの高確率で点を取れていた。つまり、ボール争奪戦、キックその他での地域の取り合いをもう少し改善できれば、勝負になる余地は十分にあると考えて良い。テリトリー、ポゼッションを向上させるためには、より素早くボールを動かして、相手のプレッシャーを最大化しないようにかわし続けるしかない。それこそが「超速」の一つの理想型となるはずだ。このテストマッチシリーズの間にどこまで向上できるのか。謹慎明けのエディ・ジョーンズHCの手腕に大いに期待したい。

 もう一つ。控え選手のセレクトも大きな検討事項となる。今回は先発の両CTBが後半まるまる不在という不測の事態に襲われたが、コンタクトの多いポジションゆえに、今後もこうした事態は出現しうる。FWの選手を数多く控え選手に登録する例が多いが、最低一人はCTBの専門家を控えに入れておくことを考慮する必要があるだろう。

 まだまだランキング上位国との間には大きな実力差があることを痛感させられた一戦。今後の戦いぶりに期待したい。

[文:江良与一]