AGPL-3.0ライセンスのオープンソースソフトウェアとして開発されている「PeerTube」はYouTubeやニコニコ動画のように特定の企業が動画と利用者を一元管理するのではなく、独立した複数のサーバーがつながって動画を配信する分散型の動画プラットフォームです。利用者が動画の公開先となるインスタンスを選べるほか、サーバー間で投稿やアカウント情報を連携できるフェデレーション型の仕組みがPeerTubeの大きな特徴です。

GitHub - Chocobozzz/PeerTube: ActivityPub-federated video streaming platform using P2P directly in your web browser · GitHub

https://github.com/Chocobozzz/PeerTube

What is PeerTube? - Framatube

https://framatube.org/w/kkGMgK9ZtnKfYAgnEtQxbv

一般的な動画配信サービスでは運営企業が用意したサーバーに動画を投稿し、その企業のサイトやアプリ内で視聴します。投稿ルールやおすすめ表示、アカウント停止などの方針も、原則として一つの運営会社が決める構造です。これに対し、PeerTubeは「インスタンス」と呼ばれる個別のサーバーで構成されます。PeerTubeの各インスタンスには管理者が存在し、コンテンツの管理や利用者対応、サーバー費用の負担は各運営者が担います。利用環境やルールはインスタンスによって異なり、投稿できる動画の内容や利用規約、登録の可否をそれぞれの運営者が決められます。

また、PeerTubeの分散型システムはサービス全体を管理する単一の中央サーバーがないので、あるインスタンスで障害や運営終了が起きても別のインスタンスまで同時に停止するわけではなく、動画配信の場や運営主体を分けられます。

さらに、PeerTubeはActivityPubという通信規格を通信規格を使い、インスタンス同士を連携させるフェデレーション型のプラットフォームでもあります。あるインスタンスの利用者が別のインスタンスの投稿者をフォローして新着動画の情報を受け取れるため、サーバーが異なっていても一つのネットワークのように利用できます。



フェデレーション型の仕組みでは、動画投稿者が特定の巨大サービスだけに依存せず公開先を選べます。そのため、PeerTubeでは視聴者も関心のあるテーマや運営方針に合うインスタンスに参加しながら、ほかのインスタンスの投稿者や動画とつながることが可能です。



動画配信の負荷を抑えるため、PeerTubeはブラウザ同士で動画などのデータを共有するWebTorrentも利用できます。視聴者同士で動画データの一部を共有することで、人気動画へのアクセスが集中した際に配信元サーバーに通信負荷が集中するのを抑えやすくなります。



ソーシャルニュースサイトのHacker Newsでは、プロのYouTuberを名乗るユーザーが「良質な動画制作には多大な労力とコストがかかるのに、PeerTubeには収益化の仕組みがない」と指摘。高品質なコンテンツを作るには多くの人件費がかかり、寄付やPatreonだけでは生計を立てられないため、YouTubeのような大企業の支援なしに対抗馬は生まれないと述べました。これに対し、「そもそも全ての動画制作者が収益化を目指しているわけではなく、趣味や情熱で作られるコンテンツ、大学・団体の講義動画、会議の記録など、広告に依存しない非商業的な動画配信こそPeerTubeの本来の使い道だ」という意見もありました。

また、海賊版コンテンツがアップロードされた場合の責任の所在やNSFWコンテンツやモデレーション体制への懸念、記事作成時点でのUXが不親切だとする意見もありました。