この姿は本人が3年半前のカタール大会の後、描いた“10番像”とは違ったものになったかもしれない。それでも、これだけ犠牲心を持って献身的に守備ができる10番というのは今までいなかった。それはそれで素晴らしいこと。堂安は右ウイングバックとして圧倒的な存在感を示したし、彼ほどの守備強度を出せる選手は今の日本代表にはいなかった。そこは称賛されるべき点だ。“新たな10番像”を体現したと言ってもいいだろう。

 そこにアタッカーしてのストロングを加えることが、4年後に向けてのテーマになってくる。2030年の堂安は31~32歳(※大会期間中の6月16日が誕生日)。今の伊東純也よりも若い。それに彼はケガをせず、常にフル稼働できる強靭な肉体を備えた選手だ。衰えを心配する必要は全くないし、さらなる高みを追い求めることができるはず。「僕はそれほど牙を抜かれたわけではないので」と本人も不敵な笑みを浮かべていたが、点も取れて守れる絶対的なエースになろうと貪欲に突き進んでいくに違いない。

 この先、日本代表を率いるのが森保一監督なのか、また違った人物なのかは今のところ分からない。だが、堂安は森保監督との8年間で育んだリーダーシップをこれからも遺憾なく発揮し、チームをけん引していくはずだ。キャプテンは板倉滉が継続して務めることになるかもしれないが、堂安のブレない強さはこれからの日本代表に必要不可欠。今回チームに帯同してくれた吉田麻也や南野拓実、長友佑都らから託されたものをしっかりと引き継ぎ、次こそは鬼門の決勝トーナメント1回戦を勝ち上がり、頂点に近づいてほしい。その成否は堂安の一挙手一投足にかかっている。

取材・文=元川悦子


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