今の日本でトップFWの上田。4年後を見据え、さらなる成長と進化が期待される。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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 優勝という目標を掲げ、北中米ワールドカップに挑んだ日本代表。ラウンド32で“王国”ブラジルを撃破し、その実力を世界に示したかった。

 日本サッカーの真価が問われる大一番。スタートは悪くなかった。序盤から相手にボールを保持されても、「前半のハイドレーションブレイクまでは無失点」というゲームプランを着実に遂行した。

 直後の29分に佐野海舟がダニーロのパスをカットし、そのままドリブルで持ち運んで右足を一閃。鋭いシュートが決まり、1点リードで試合を折り返した。

 後半に入ると、ブラジルのカルロ・アンチェロッティ監督は戦い方を変更。「(アンカーの)カゼミーロが前に上がって、サイド2枚が出て、センターバックからクロスをどんどん上げていこうという感じになった」と伊東純也が言うように、一気に圧をかけてきた。

 前半は2トップ気味だったヴィニシウス・ジュニオールは左の大外に張って仕掛けるようになり、日本は守備陣のギャップを突かれ始めた。
 
 その流れから56分、クロスからカゼミーロにヘディングシュートを決められ、同点に追いつかれると、日本は終盤にかけて失速。延長戦突入が濃厚かと思われた90+5分、田中碧が奪われたボールをつながれ、最後はガブリエウ・マルチネッリに逆転弾を許した。

 そのまま試合は1−2でタイムアップ。日本は5度目の挑戦にして、またも決勝トーナメント1回戦の壁に跳ね返される結末を強いられたのだ。

 終了直後、ピッチに倒れ込んで涙を流した1人が、エースFWの上田綺世だ。ガブリエウ・マガリャンイスやマルキーニョスといった世界レベルのCBを相手に起点を作り、ゴールに迫ろうと彼なりに工夫したが、なかなかボールを収められない。

 シュートらしいシュートは28分の右CKからのヘッドと、64分の力強いミドルシュートくらい。特に後半は孤立しがちで、上田自身も「チームを勝たせられなかった」という失望感でいっぱいだったという。

「日本代表は1トップなんで、フォワードは1人しか出られない。その試合において『日本で一番良いフォワードだと評価されている』ということとイコールだと思うんです。それはすごく誇りだし、責任があること。でも、今日の僕はその仕事を全うできなかった。

 どれだけ孤立するようなゲーム展開でも、チャンスもないようなシーンから1つ(得点を)もぎ取れるようなクオリティのある選手が、今後の日本代表に必要だと思うんです。

 それはこの先、成長した僕かもしれないし、これから出てくる新しい日本人選手なのか分からないけど、今日みたいな厳しいゲームは避けられない。個でゴールをこじ開けられるような存在は必要だし、そうならなきゃいけないと強く思います」と、背番号18は自分に言い聞かせるように話していた。

 2022年カタールW杯からの3年半で、上田は目覚ましい成長を遂げた。第二次森保ジャパンでの30試合で18得点、そして昨季のオランダ1部で25得点という実績が大きな飛躍を物語っている。

 だからこそ、ブラジル戦でのパフォーマンスが大いに期待されたわけだが、結果的には世界トップとの実力差を改めて突きつけられる形になった。この悔しさは上田の脳裏に焼き付いて離れないだろう。
 
 ブラジルのDF陣を置き去りにして、ゴールをこじ開けるのはそう簡単なことではない。ただ、キリアン・エムバペやハリー・ケインといったスターFWはそれをやってのける。彼らを擁する国々はいずれも世界トップクラスの実力国だ。

「ワールドカップの4試合目は、基本的にトップ10のチームに勝たないと先には進めない。そこはシンプルに力不足だと思う」と鎌田大地も神妙な面持ちで語った。上記のような強敵に勝ち切るためにも、上田には欧州5大リーグの強豪にステップアップして、そこで主力として活躍してほしいのだ。
 
 本人は「まだ先のことは考えられない」と慎重な姿勢を貫いたが、最高峰リーグで当たり前に点を取れる存在になってくれれば、4年後の2030年W杯で同じような失望感を味うことはなくなるはず。上田ならば、ブラジル戦の敗戦を糧に、前進を続けられるに違いない。

 かつての中山雅史が筆頭だが、点取り屋というのは、30代になって円熟味を増してくるケースも多々ある。間もなく28歳になる上田もまだまだ成長途上。よりスケールの大きなFWとして、大舞台に戻ってきてくれることを切に願いたい。

取材・文●元川悦子(フリーライター)

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